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「ELLE JAPON」の悪質な捏造記事に対する反証

今年2月下旬に公開され、3月7日にヤフーニュースで取り上げられた
「ELLE JAPON」によるヴィスコンティ監督に対する事実無根の捏造記事について検証します。

その記事は前半がアンドレセンの生い立ちに関するもの。
ここで取り上げるのは後半部分の「ヴィスコンティ監督がアンドレセンに対して売春を強要した」とする部分です。

一笑に付して終わりのような出鱈目な捏造記事ですが、中には真に受けている人もいるようなので驚いています。

私は、海外のアンドレセン関連の記事にはすべて目を通していますが、そのような記述は一切見当たりません。

そもそも、なぜヴィスコンティ監督がアンドレセンに売春を強要する必要があるのか。
売春の斡旋というのは言うまでもなく「ヤクザの凌ぎ」です。
常識で考えれば分かると思いますが、イタリア屈指の名門公爵であるヴィスコンティ監督が、なぜそのようなヤクザの真似などしなければならないのでしょうか。

そしてヴィスコンティはあくまでも映画監督であり、アンドレセンが所属する事務所の社長でも何でもありません。
借金があるわけでもないアンドレセンが、雇用関係にもないヴィスコンティの言うことを拒否出来ないのはどう考えても不自然な話です。そもそも監督にそのような権限などあるはずもないのですから。
またアンドレセンの保護者である祖母は、未成年である孫を売春夫として男たちに差し出すことを良しとしたとでもいうのでしょうか。

以前にも書きましたが、アンドレセンがパリで一年間そのような生活をしていたことは事実です。
しかしそれは本人のインタビュー記事によると1976年、21歳の時の話です。
パリで富豪の男性に囲われ週500フランの契約で豪奢な住まいとプレゼントを与えられて暮らしたと本人が答えています。

そしてヴィスコンティはその年の3月に他界しており、一切何の関係もありません。
成人済みのアンドレセンが自分の意志でしていたことです。
アンドレセンが言うように「ベニス一作で使い捨てにされた」のであれば
「ベニス」の製作から6年も経って、その間一度も新作に起用せず、完全に没交渉である相手にどうやって売春を強要することが可能なのでしょうか。

ちなみにアンドレセンは監督のお葬式に参列すらしていません。

「ELLE JAPON」の記事は、本人に直接インタビューして書かれたわけでもない上に、事実関係の時系列を意図的に捻じ曲げて創作された悪質極まりない捏造記事です。そしてヴィスコンティ監督やアンドレセンの祖母など、もの言えぬ死者に対する冒涜以外の何物でもありません。

どうかこのような愚劣な記事を真に受けてブログやSNSで安易に発信し、無責任にデマの拡散に加担することのないようご注意ください。

決して裕福とは言えない暮らしの中で、孫を引き取り育てたお祖母さんのことまで悪し様に罵っているブログなどを見ると、悲しいというよりも呆れてしまいます。

お祖母さんは、幼いアンドレセンにピアノとギターを習わせています。
その後音楽学校に進学させたのは、自分の亡き後ひとりでも生きていけるように…と孫の将来を見据えての事かもしれません。

そしてその熱心な音楽教育が後年、アンドレセンの人生の大きな支えとなったことは紛れもない事実です。

清潔な服を着て、ギターを抱え得意げにポーズを取る幼いアンドレセンの写真からは、大切に養育されたことが伝わってきます。

そのお祖母さんを、いくらアンドレセン本人がそう発言しているとはいえ、何も知らない第三者が安易に「金の亡者」呼ばわりするのは愚の骨頂であり、「無知に基づく正義感」は害悪でしかありません。