口唇性欲求

「口唇性欲求(こうしんせいよっきゅう)」は、精神分析の用語で、フロイトの発達理論に基づいています。
 これは、乳児期における口を中心とした性的な快感を求める欲求を指します。
 この段階では、赤ちゃんは口を通じて快感を得ることが多く、授乳やおしゃぶりなどがその例です。

 フロイトは人間の発達を「口唇期」「肛門期」「男根期」「潜伏期」「性器期」といった段階に分け、各段階で異なる身体部位が性的快感の中心になると考えました。
 口唇性欲求はその最初の段階にあたります。

 フロイトの発達理論によれば、赤ちゃんの頃に口唇性欲求が十分に満たされない場合、成人後に「口唇期固着」と呼ばれる状態に陥る可能性があると考えられています。
 これは、口を中心とした快感や満足感を無意識に追求し続けることを意味します。

 口唇期固着の具体例として、以下のような行動が挙げられます。

  1. 喫煙: タバコを吸うことで口唇性欲求を満たそうとする。

  2. 爪を噛む: 不安や緊張時に無意識に口に集中する行動。

  3. 過食: 食べることを通じて安心感や満足感を得ようとする。

  4. 飲酒: アルコールの摂取によって心地よさを追求する。

 また、口唇期固着は性格形成にも影響を与えるとされています。
 たとえば、口唇性欲求が十分に満たされなかった人は、依存的な性格や過度に批判的な性格を持つ傾向があると言われることがあります。
 しかし、これらの考えはフロイトの理論に基づくものであり、現代の心理学では異なる見解もあります。

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