泡雪屋電影譚に触れて
あんっ♡HappyGirlsCollection 激情公演「泡雪屋電影譚」
――バ美肉だって、恋をする。
そして、どれだけ誹謗中傷で人が死んでも、
あなた方は変わらない。
泡雪屋という作品に、5作目にして初めて完全に外部の視点から触れた。
いままではフココレ主宰:おはなさんに非常にお世話になり、ピアノの精・音楽として関わらせてもらったが一身上の都合で演奏活動休業のため、口惜しくも新たな泡雪屋には参加出来なかった。
だから今回は上演を見るまで、話を知らない、演出を知らない、小ネタも知らない、無茶振りされない、前日ゲネで転調を要求されない、そんなまっさらな状態でこの泡雪屋に触れた。
それが非常に新鮮だった。
そんな状態だったから、改めておはなさんがしたいことというのを客観的に見つめ直し、自分が思ってたことと違うこと、逆にやっぱり正しかったと思えたこと両方を感じることができた。それは話の筋・台本とか演出とかもそうだが、"伝え方"に感じたのだ。
まず今回電影譚に一番感じた違いは、過去参加した作品と比較してもファンタジー味が減りより現実味を帯びていた。
かつてはノンフィクション的な事象を架空の世界観に取り入れた体裁だったが、今回は架空の近未来とはいえ現実世界に非常に近い舞台。
その点で泡雪屋的と言うよりフココレ的だなと率直に感じた。
だからこそ不幸女子ネタがよりダイレクトに伝わる。
僕はかつて音楽でそんなノンフィクションのネタを"美しく仕立て見世物にしよう"としていたのかもしれない、でも本当はより現実的で生々しい「あんハッピー」を泡雪屋に託したのかと思った。
泡雪屋シリーズの音楽で一作目からずっと踏襲されたテーマ曲「鎮魂歌」の長尾ユウヘイさんのアレンジは素晴らしく、少なくとも僕にはできない音楽性を備えると同時にこの曲の可能性を魅せてくれた、そしてまた新しい泡雪屋像を確立してくれた。
そんなことを冒頭で感じた。
おはなさんは、エンタテインメントとして僕らが安心して消費できるように不幸を買って出ているのかもしれない。
パンフ序文のように諦めさせること・戦わなくてもいいと諭すことは簡単だが、でもそうだもっとやれと求めてしまう。
だからこそ自分だけはこんな不幸を撒き散らさないよう、「どこかで誰かを殺しているのかもしれない」と戒めながら生きていこうと思う。結局みんな普通の人なのだ。普通の人が多かれ少なかれ無自覚に人を殺すのだ。避けられないならせめて意識しよう。それが泡雪屋に触れた人の義務なのかもしれないと思う。
日時
10月22日(金)11:30/19:30
23日(土)11:30(男)/19:30
24日(日)11:30/16:00
上演約100分
※(男)…男子回。不幸女子の話を、台本はそのまま役の性別を入れかえて「不幸男子」の話にし、同じように受け取れるのか試みる公演です
是非通常回と両方ご覧ください!
場所 ひつじ座
南阿佐ヶ谷駅から徒歩10分
阿佐ヶ谷駅から徒歩20分
東京都杉並区梅里2-40-19 ワールドビルB1F
今回僕は初日の夜公演を観た。
初めましての方もいらっしゃり役としても非常に面白く拝見したわけだが、個人的にはフルチンさんのバ美体の無機質な可愛さ、表情が非常に良いなと感じた。
それは半身であり、それに愛着を感じさせる、でもそれは生き物ではない絶妙な役どころが好きだった。
相変わらずこの公演でも配役シャッフルという鬼畜業をやってのけているらしいので他の方のこの役はどうなるのか、そして変わったことによる"印象"はノンフィクションの事象をどう彩るのか。あと2日間、4公演も必見な演目である。