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予祝26

いつかこんな日が・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・
・・・
・・・・

遠くから声が聞こえる。
僕はチューニングを合わせるように、意識をそこに持っていく。

ゆきよ・・


言葉が聞き取れた。

ゆき  はい、ゆきです。あなたは?

おまえの守護神じゃよ。


「彼」はそう言った。これは唐突な展開だ。

ゆき  守護神?
守護神 そうじゃ。ようやくこの日が来た  
    の・・

ようやく・・なのか?

守護神 今までおまえはいろんなものと戦って
    きたじゃろう。邪魔する者もおった。

    じゃがようやく時が来て、こうして
    ワシと繋がることが出来たという
    わけじゃよ。

ゆき  ・・・

ちょっと身構えた。
けど僕は気を取り直す。

ゆき  ありがとうございます。まだ実感が
    湧かないけど・・
守護神 ホッホッホ。そうじゃろう、そう
    じゃろう。

僕は、笑う「神」は初めてだ。

ゆき  部屋に神様のおふだを置きたいんです
    けど、どこに行ったらいいですか?

僕は尋ねる。どこの神社か。

守護神 「紙」に力があるかの?
ゆき  へ?

意外な展開に、僕は戸惑う。
守護神は続ける。

守護神 神社に神はおるかの?

シビアなところを突いてきた。これは鋭い質問だ。

だが相手は神、ウソは通じないし、その必要もないだろう。

ゆき  正直・・神を感じられない神社もござ
    います。特にここ2年ほど。
守護神 うむ。

そう頷いているようだった

ゆき  ですが、私には信仰心がございます。
    氏神様にも産土神様にも、崇敬の神々
    にもお世話になっておりますので、
    ご奉仕などもさせていただいており
    ます。
守護神 それは良いことじゃ。神々はお喜び
    になられておる。上の方でな。

上、か。それならわからないでもないな。

僕は質問する。

ゆき  ではあなたはどこにおられるのです
    か?

守護神 おまえのそばにおるよ。


そうなんだね。

ゆき  以前、師匠が、「神社に行かずとも、
    祈りはどこででも捧げられる。」と
    言っていましたが、そういうこと
    なんですね。
守護神 そうじゃ。

ただ、繋がれるかどうかは、僕の「感度」の問題なのだろう。

ゆき  ところで神様・・

僕は閃きのままに問う。

ゆき  2〜3日前、私をお呼びになりました
    か?部屋のおふだが一枚だけ倒れた
    のですが。

さあ、どう来る?

守護神 ホッホッホ。あれはワシがおまえを
    呼んだのじゃよ。早く気付け、とな。

やはりそうか。あれは神の仕業だったのだ。予想が当たって、ちょっと嬉しい。

守護神 よいか、「紙」に力はないのじゃぞ。
    「下」に神はおられんのじゃぞ。
    よく覚えておくがよい。

ゆき  はい、わかりました。

少し寂しい気もする。だが気持ちのあり方を少し変えればいい。神社であれば、「上」にも気を向ければ良いのだ。

ゆき  神様、あなたのお名前は?
守護神 ・・・

彼は答えなかった。

守護神 ゆきよ。ワシはいつもおまえのそば
    におる。いつでも話しかけてくれば
    よいのじゃ。

ゆき  いつでも、どこでも、何時でも?
守護神 そうじゃ。

なんか、すごくありがたい状況じゃないだろうか?審神者は必要だが、一歩、違うステージに進む気がする。

守護神 では、これまでじゃ。いつでも・・

こうして神は消えた。

こういう場合・・
神は二度とその「姿」を見せることはない。だから、それを信じて行動できるか、ある意味僕は試される。だが、それでもよい。

マグマ・・


そんな言葉がうっすら残っている。

なんだろう。

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