奥村チヨ「終着駅」

奥村チヨの歌った「終着駅」という歌を歌っていたら、実は結構不思議な歌だということが分かった。

「終着駅」千家和也作詞、浜圭介作曲 奥村チヨ歌唱(https://www.uta-net.com/song/2500/

この歌は女の人が恋に破れて旅に出るという、定番の歌詞(「津軽海峡冬景色」とか)かと思っていたら、この「終着駅」は「悲しい女の吹きだまり」で、一人でなく、一人、また一人と「悲しい」女が汽車から下りてくるという。しかも、「真冬にはだしは冷たかろう。大きな荷物は重たかろう」とあり、なぜか、この女たちはみんな「はだし」で、「大きな荷物」を抱えて、「過去から」「涙を捨てに」来るという。一体この終着駅はどんなところなのだろう。

最初は、これは女子刑務所かなにかかと思ったのだが、刑務所に行くのに「一人また一人」と「汽車」をおりてくるのは変だし、「大きな荷物」を抱えるのもおかしい。

となると、どこかの工場で日雇い労務者として働きに来ている女性たちなのかとも思ったが、それもはだしで来るのはおかしい。男から着のみ着のまま手あたり次第もって逃げてきた女性たちで、そこにはシェルターでもあるんだろうか。工場ではなくて、海に潜る仕事?海女とか。

あるいは、この終着駅はメタファーで、「悲しい女たち」の心象風景を表してでもいるんだろうか。そうするとこの女たちを見ているのは第三者ではなく、この悲しい女の一人?でも、それなら「真冬にはだしはつめたかろ」と想像するのは変。

汽車から下りるのを見たのと、実際に重い荷物を抱えてはだしで海に潜るのをみるのは別の時間とか。でも、海女さんなら「悲しい女」とみるのはおかしいし。一体何なんだ。やはり、女刑務所で、当時は私物は一部持ってきてもよかったとか、検査するときにはだしになるとか。

それこそ、愛を失って、自殺でもして、この世からあの世に行く汽車に乗って、過去から逃げてきた女性たちなのか。

謎は深まるばかりなのである。