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「やめることリスト」を作ると人生が楽になる

序章 「やめることリスト」を作ることは、メリットだらけ

時代が進むにつれて、私たちの日常生活における「選択肢」や「できること」はどんどん増えているように思います。

ご飯を食べるにしても、さまざまな食材がスーパーで簡単に手に入りますし、作るのが難しい料理も扱っている飲食店を探せばたいていすぐに見つけることができるでしょう。

暇をつぶす場合も同様です。頭に思い描いたことは少しのお金さえあればだいたい実現できてしまいます。旅行に行きたくなっても、新幹線や飛行機を使えば遠い場所へも無理なく移動が可能です。

携帯やPC、テレビを通して、意識せずに自然と多くの情報が入ってくるようにもなりました。

便利な世の中になったことで、選択肢の幅が増えて、できることが多くなり、一見幸せなことのように感じるかもしれませんが、人間は選択肢が多すぎても不幸を感じてしまうと言われています。

何かを選んで買おうとした時に、3つ程度であれば無理なく選べますが、選択肢が5つ以上あった場合はどうでしょうか?

選ぶことが大変になり、買うこと自体を諦めてしまう人が多くなってしまうのだそうです。

つまり、私たちの今の生活は選択肢が多すぎることで、無意識にストレスや不幸を感じている可能性があるということです。

不幸と聞くと、大袈裟で悲惨なことのように感じる感じるかもしれませんが、具体的に生じている不幸を、例として以下に挙げてみました。

・無駄なことに時間を費やしてしまう
・正しくないことをしてしまう
・選択する際に疲れ、ストレスを感じてしまう
・本当にやりたいことが見えづらくなってしまう
・同じ失敗を繰り返しやすくなってしまう

「やめることリスト」を作ることで、これらの不幸を避けやすくなります。そして言い換えれば、より幸福度が上がる可能性があるということです。

それぞれについて、詳細を本章で説明していきますが、事前に伝えておきたいのは、今回説明するのは、「やめること」についてです。

何かを積極的に行うのと、何かを積極的にやめるのとでは、やめることの方が遥かに簡単です。

自己啓発本やノウハウ本の多くは、「するべきこと」を説明しています。

私も昔は、とにかく成長しようとやる気に満ち溢れ、自己啓発本を読み漁っていました。しかし、気付いたときにはやるべきことが積み重なり、何をすればよいのか曖昧になり、結局どれもやらない状態になっていました。

そして気が付きました。

「何かを積極的に行うよりも、何かを積極的にやめる選択をする方が遥かに簡単であり、実行しやすい」ということに。

ダイエットするために積極的に運動するよりも、食べすぎないという選択をする方が簡単なのと同じです。

そのため、気持ちを楽にして、読み進めていただければと思います。きっと貴方の人生がより楽に、生きやすくなるのに役立つはずです。

第1章 「やめることリスト」を作ると、無駄なことが少なくなる

無駄なことというのは人によって大きく異なります。

ある人にとってはとても重要なことでも、ある人にとってはどうでもいいことだったりもします。

つまり、無駄なことというのは、あなたにとっての無駄なこと、という意味です。あなたにとっての無駄なことが、「やめることリスト」を作ることでだんだんと少なくなっていきます。

無駄なことが少なくなる理由は以下の2つです。

  1. 一度無駄だと思ったことは、「やめることリスト」に加えることで、再び行うことがなくなる

  2. あることをして無駄だったと感じてしまっても、「やめることリスト」に加えるための経験だったと考えれば、その出来事自体が無駄ではなくなる

私の実体験として、「やめることリスト」を作るまで、特に買いたい物や食べたい物も無いのに、仕事帰りにコンビニに寄る習慣がありました。無駄にお金と時間を費やしていたわけですが、ある日それを「やめることリスト」に追加しました。

やめること自体は、さほど難しくはありませんでした。仕事帰りにコンビニに寄るという積極的な行動を、やめれば良いだけだったからです。

やめてからは、結果的に毎日時間とお金を節約できるようになりました。そして、お金だけを見ると1ヶ月に約1万円も節約になり、浮いたお金で野菜のサブスクサービスを利用するようになりました。

そうすることで、野菜不足も解消されより健康的な食事をとれるようになりました。さらに、野菜でお腹が満たされたおかげか、少し増えつつあった体重もゆっくりと減少していったので一石二鳥でした。

「やめることリスト」を作るまでは、仕事帰りにコンビニに寄ることが無駄なことだなんて、考えることすらなかったですが、「やめることリスト」を作ることが習慣になってからは、「これは無駄ではないか?」と考える習慣ができ、無駄なことに気が付けるようになりました。

このように、「やめることリスト」を作ることで仕事帰りに無意味にコンビニに寄る、という私にとっての無駄はなくなったわけですが、それだけでなく、私は仕事帰りになんとなく立ち食い蕎麦を食べたり、そこまで食べたくもない牛丼を食べてしまったりもしていたのですが、それもやめることができました。

コンビニに寄るという無駄な経験を日々していたからこそ、他の無駄なことにも気が付けた、という風にも考えることができるので、コンビニに寄るという行為も無駄ではなかったと思っています。

第2章 「やめることリスト」を作ると、正しくないことをしにくくなる

1章では、普段から習慣として行っていたことを見つめ直すことで、無駄なことを見つけ、「やめることリスト」に追加する、という説明をしました。

しかし、それだけでは、実際に無駄なことを経験してからではないと、「やめることリスト」に追加できないことになってしまいます。

実際に経験する前に、あからじめ「これは絶対にしない」と決めて、「やめることリスト」に追加しておく、というのも「やめることリスト」の使い方の一つです。

例えば、「浮気や不倫をしない」と決めて、「やめることリスト」に追加すると仮定します。浮気や不倫は犯罪ではありませんが、してしまうと相手を傷つけてしまうだけでなく、間違いなく良くない方向に進んでいくことになるでしょう。

そのため、自分の中であらかじめ「やめることリスト」に追加しておくことで、自分に制限をかけるのです。

リストに入れるだけで効果があるのか?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、「やめる」と意識しているのと、していないのとでは大きく違います。

なぜなら、リストに入れておくことで、それをしそうになっても一つ大きなハードルができるからです。

また、重要なのは、「やめることリスト」に入れたものは、絶対にしないという強い意志を持つことです。そうしなければ、「やめることリスト」の意味がなくなってしまいます。

しかし、絶対にしないという強い意志を持っていても、破ってしまうのが人間という生き物です。

そこで、破ってしまった時のために、自分への厳しいペナルティを決めておきましょう。絶対に自分がやりたくないと思うようなきついペナルティにしなくてはいけません。

私が自分に課していたペナルティは、大嫌いなパクチーを大きな丼に山盛りで食べる、というものでした。普段は臭いを嗅ぐだけで吐きそうになるくらい嫌いな食べ物です。

一度だけ、「やめることリスト」に入れていたのに、破ってしまった経験があるのですが、その時は本当に地獄の苦しみを味わいながらパクチーを完食したことを今でも覚えています。

その苦しさを経験しているからこそ、同じ過ちを繰り返さないでいられるので、ペナルティを決めることは非常に重要です。

また、「やめることリスト」は、消すことはいつでもできないように、2ヶ月に1回しかできない、など制限をかけておきましょう。

この制限をかけておかないと、やりたくなったらリストから消すというずるいこともできてしまうからです。

自分の気持ち次第ですが、細かい設定を決めておくことで自分の中で重要度が増して、より生活に溶け込み、意味のあるものになっていきます。

第3章 「やめることリスト」を作ると、選択するストレスが減る

「やめることリスト」を作ることで、選択するストレスから解放されていきます。

冒頭で、私たちには選択肢が多すぎることを説明しましたが、何をする場合でも私たちは無意識に「選択」をし、ストレスを感じています。

例えば、友達とご飯に食べに行くことになったとします。

その場合、

・いつ会うのか
・どこで会うのか
・どこのお店にするのか
・お店で何を食べるのか

など、友達に会うだけで、こんなにも選択しなくてはいけないことがたくさんあります。

それぞれの選択において、私が「やめることリスト」をどのように活用しているのか、例として以下でご説明します。

・いつ会うのか
「やめることリスト」の中に、「友達と休日に会う場合は、夜はやめる」という項目を入れています。そのため、休日に会う場合はいつもランチを食べることを提案します。このようにしているのは、私はお酒が苦手だからです。昼からお酒を飲むことはあまりないので、友達に気を遣わずにノンアルコールで時間を過ごすことができるのです。

・どこで会うのか
「やめることリスト」の中に、「東京で友人と会うことになり、こちらから場所を提案しなくてはいけない場合、渋谷、新宿、有楽町、六本木周辺以外では会わない」という項目を入れています。そのため、自然と場所は絞られ、あとはその友人が最も来やすいであろう場所にすれば良いだけなので簡単です。このようにしているのは、他の場所はあまり詳しくなく、行きたいと思える飲食店がないからです。友達が「ここでしか会えない」と場所を指定してきた場合は、この項目はあてはまらないので、その点もリストに入れる時には工夫しました。

・どこのお店にするのか
「やめることリスト」の中には、行くことをやめる店を決めて追加しているので、選択肢がかなり狭くなっている状態からお店探しを始められます。また、行かない店も決めていますが、だいたい好きな店も決まっているので、選択にストレスを感じることはなくなりました。「やめることリスト」は更新する度に選択肢が減ることになりますが、その分ストレスも減っていると思うと、更新するのが楽しくなります。

・そのお店で何を食べるのか
お店に着いて、メニューを決める場合も、選択肢は山積みです。私も昔は選ぶのに多くの時間を費やしていましたが、嫌いな食べ物やそこまで美味しいと思わなかった食べ物は「○○は注文しない」として、「やめることリスト」に追加しています。そのため、メニューを決めるのに徐々に時間がかからなくなっていきました。毎回「やめることリスト」を見返すの?と思った方もいるかもしれませんが、嫌いな食べ物を忘れないのと同様に、「やめることリスト」に追加したものは頭の中に覚えているので、「やめることリスト」をいちいち見返す必要もありません。

「やめることリスト」の削除は期間を決めて行うべきであることをご説明しましたが、追加する際もある程度は慎重にしなくてはいけません。

あまり深く考えずに「やめることリスト」に入れてしまうと、簡単に破ってしまうことにもなりかねません。人生で二度と経験しなくても良いと心の底から思ったこものだけを「やめることリスト」に追加しましょう。

選択肢がどんどん少なくなってつまらない人生になりそう、と思う方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

私は「しないことリスト」を作るようになって5年以上経っていますが、選択肢が少なくて不幸を感じたことは一切ありません。むしろ幸せや充実を感じることの方が遥かに多くなりました。

私だけでなく、これまで「やめることリスト」のことを伝えて、私と同じように実践している人は皆同じように言っています。

物を捨てることが嫌いで、家の中が物で溢れているような人であれば向いていないかもしれませんが、何かをやめたいと考えて、「やめることリスト」を実践しようと思える時点で、あなたには向いているということです。

また、「やめることリスト」を作って実践しても、選択肢が余るほど存在しつづけるのが現代なのです。

第4章 「やめることリスト」を作ると、自分が本当にしたいことが見えてくる

「やめることリスト」を作ると、次第に本当に自分がしたいことがわかってきます。なぜなら、自分がしたいこと以外は削除されていくからです。

好きな”こと”だけではなく、自分が本当に好きな”物”も見えてきます。

なんとなく好きだと思っていた物に、傾向や共通点があることを発見できる場合もあります。

それでは、食事を例に見てみましょう。

人間が一生のうちにとる食事の回数は、

・1日3回
・1年で約1000回
・人生80年と過程すると約8万回

しかありません。

約8万回という限られた食事の回数しかないのであれば、どうせなら自分の本当に好きな食べ物だけを食べて、嫌いな物はなるべく避けたいですよね。

もちろん、健康のことを配慮し、バランスを考える必要はありますが、一度食べて嫌いだった物や、あまり美味しいと感じなかった物を無理に2回食べるのは避けたいところです。

また、自分の好きな物に共通点が見つかれば、食べたことがない物であっても、それが自分が好きなのか嫌いなのかはだんだんとわかってきます。

食べ物以外の場合も同様です。

私は、「やめることリスト」を作る前まで趣味という趣味がありませんでした。しかし、「やめることリスト」を作るようになってから、自分がどういうことやものが好きなのかがわかるようになり、趣味を見つけることができました。

そして、気が付いたのは、これまでは「なんとなく」やっていたことが多かったということです。

深く考えずに、なんとなくやりたいと思うことをやって、なんとなく満足しなかったり、心の底から楽しめない、ということが多かったように思います。

それにはしっかりとした理由があったのです。

「やめることリスト」を作ることで、その理由が自然と明確になっていき、自分という人間がどういう人間なのかといった、深い部分まで理解できるようになりました。

第5章 「やめることリスト」を作ると、同じ失敗をしにくくなる

「やめることリスト」を作ることで、同じ失敗もしにくくなります。

ここまで読んでくれた方は、もう説明をしなくてもわかるかもしれませんが、失敗には必ず何かしらの原因となる誤った行動が伴っています。

その行動を、「やめることリスト」に追加してしっかりと守れば、同じ失敗は自然としなくなります。

誰しも、失敗をしたら同じ失敗はしたくないと考えるはずです。そして、「同じ失敗はしないようにしよう」と頭の中では考えるのです。

しかし、どうしたら同じ失敗をしないようにできるのか、ということまで深く考えれる人は少ないです。

考えることができたとしても、それを忘れてしまう人も多いです。

「やめることリスト」を作れば、定期的に見返すことにもなるため、忘れにくくなりますし、忘れたとしても見返すことでまた思い出します。

また、しっかりと「やめることリスト」に記載をする、という行為自体が記憶を定着させやすくする行為でもあります。

正しくない行動は驚くほどたくさん出てきます。私も、こんなにも自分は正しくない行動をしていたのか、と恥ずかしくなりました。

中には、正しくないと思っていた行動も、実はそこまで間違っておらず、他に改善するべき行動に気付くこともあります。

どれが正しくて、どれが正しくないかは、自分で想像しているだけでは明確にはわかりませんが、「やめることリスト」を日々調整していくことで明確になっていきます。

繰り返しになりますが、一度「やめることリスト」に加えてしまったら、一生消してはいけない、なんてことはありません。

リストに加えて実践してみる、という経験が重要なのです。

私も、リストは2ヶ月に1回定期的に調整しています。もちろん、調整するときは慎重にしています。気軽に過去にリストに入れたものを消してしまうと、これまでの経験が無駄になってしまう可能性もあるためです。

「やめることリスト」を作るようになってから、同じミスをすることが極端に減り、仕事もうまくいくようになりました。

上司や先輩からひどく注意を受けるケースの多くは、たいてい同じミスを繰り返してしまった場合です。初めてのミスであれば、「仕方ないな」と思ってもらえることが多いです。

業務内容によって大きく異なりますが、意外と同じことの繰り返しで成り立っている業務も多いです。そのため、自分の中で正しくないと思える行動を、「やめることリスト」に追加すれば、仕事はうまくいくようになっていきます。

仕事のミスには、必ず誤った行動が伴い、その誤った行動にはそこまで多くのパターンは存在しません。だいたい似たようなことなのです。

そのため、「やめることリスト」を作ってしっかり守っていれば、自然と仕事のミスはしなくなっていきます。

終章 「やめることリスト」を作って、人生を変えよう

「やめること」と「すること」は表裏一体ではありません。

例えば、「朝9時に起きる」という「すること」があったとします。

これを「やめること」に置き換えて「朝9時を過ぎるまで寝ない」といった捉え方をするのは間違い、ということです。

やめることの正しい考え方は、「寝る前にスマホを見ない」「寝る1時間前からは何も食べない」といったように、今既に行っていることにしなくてはいけません。

また、寝るという行為は無意識に行う生理現象なので、意識をするだけではできないことが多いです。

そういった生理現象を、「やめることリスト」に追加してしまうと、すぐに破ることになってしまい、ペナルティを何度も受けなくてはいけなくなってしまいます。

ペナルティをたくさん受けた後にはじめて「これはリストに入れない方が良いな」とわかるかもしれませんが、あらかじめ理解しておくと、より短期間で「やめることリスト」を自分の生活の中に落とし込めます。

私は、「やめることリスト」を作りはじめてから、だいぶ人生が楽になりました。何気ない日々が充実し、全てが良い方向に向かっている気すらします。

また、一番大きかったのは、「やらなくても良いことがこんなにあったんだ」ということに気付き、選択する時間やストレスが減ったことです。

私たちの人生は思ったよりも短く、限られています。

そのため、多くのことはできないですし、するべきではありません。

幸せというのは、自分が本当にするべきこと、したいことだけに時間を費やすことで感じることができるものなのです。

あなたも、あなただけの「やめることリスト」を作って楽しく充実した人生を送れることを願っています。

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