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セルフIDが導入されたら、何が現在と変わるのか

日本以外の先進諸国では既に多くの国で「セルフID制」が取り入れられており、トランスジェンダーは自己申告と所定の審査を行えば、性器の手術無しでも性別を変更することが出来る。
現在の日本では性器の手術と生殖腺の除去が必要要件として組み込まれており、人権侵害であるとしてWHO等から注意を受けている。

現在の国の方針

現在の国・法務省のトランスジェンダーの扱いは、次のとおりだ。

①GID学会準拠の専門医の診察を受けて、性同一性障害の診断が下された者をトランスジェンダーとして法的・社会的に認める。

性同一性障害とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者と定義されている。

② 個人がその真に自認する性別に即した社会生活を送ることができることは、重要な法的利益である。

③ その真に自認する性別に対応するスペースを使用することを制限されることは、当該個人が有する上記の重要な法的利益の制約に当たる。したがって、トランスジェンダーは自認する性別に対応するスペースを使用できる。

④しかしながら、そのスペースにおいて利用者が他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態があるかどうかで、トランスジェンダーのスペースの利用を認めるかどうかを判断する。

つまり、トイレや更衣室などのスペースは、利用者が他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態が起こるとは考えられないので、トランスジェンダーの使用を認める。

一方、共同浴場の浴室や脱衣場は、他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態が想定されるから、性別適合手術がなされたトランスジェンダーのみに使用を認める。

⑤トランスジェンダーの性別変更は、以下の条件で家庭裁判所の審判によって認める。

・二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
・18歳以上であること
・現に婚姻をしていないこと
・現に未成年の子がいないこと
・生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
・他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

セルフIDを導入すると

トランスジェンダーは自己申告と所定の審査を行えば、性別適合手術無しでも性別を変更することができるようになる。ただ自称すればいいだけではない。

自己申告と所定の審査だが、現状を踏まえれば、GID学会準拠の専門医が性同一性障害と診断した者だけが対象となるだろう。この診断をもとに家庭裁判所に申し出て、審判を受けることになる。審判を受けるためには、次の条件が課される可能性が高い。

・二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
・18歳以上であること
・現に婚姻をしていないこと
・現に未成年の子がいないこと

さて、戸籍の性別が変わったら、何が変わるのか。
①自認する性別が戸籍上の性別となるため、法令その他による扱いが変更後の性別に対するものになる。その性別に対する施策が性別変更したトランスジェンダーにも適用される。
②自認する性別のスペースが使用できることは今までと変わらない。他の利用者に見えるような態様で性器等を露出するような事態が想定される共同浴場の浴室や脱衣場が、性別適合手術がなされたトランスジェンダーのみに使用が認められることも今まで通り。

セルフIDが採用されても、②の自認する性別のスペースの使用は全く現在と変わらない。女性と自称するだけで女湯に入れるなどということはありえない話。セルフID反対論者のデマや誇張に騙されないように。

むしろ、セルフIDの導入は①についての方が障害になるのではないかと思う。全ての法令で変更後の性別が適用されることになるので、各法令が想定していない事態が起こりうる。こちらの調整の方が手間取るんじゃないかと思う。各自治体の条例や規則にまで及ぶことだから。

なお、性別変更の家庭裁判所における審判の条件のうち、

・現に婚姻をしていないこと
・現に未成年の子がいないこと

という条件は、セルフIDとは別に、撤廃を目指している。

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