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もらってきたうさぎがねずみに囲まれてパニクった話

今朝Facebookでこんな記事を見て思い出した。

もう、20年以上前の話・・・。街を歩いていて玄関先に「うさぎの里親募集」の貼り紙のお家を発見。「子うさぎが生まれたのかな?」と訪ねると、そこそこ大人のうさぎが一羽いた。正直あまり可愛くない、顔が小さめのグレーのうさぎだった。

ご主人の話によると、オスの迷いうさぎらしく、持ち主も現れないので引き取り手を探しているという。困っている様子のご主人を見て、いきがかり上引き下がれないような気がして家に連れ帰った。キャリアじゃなくても #PlannedHappenstance ですからね。

くーちゃんと名付けたうさぎは、あまり触られるのが好きではないタイプで、撫でると海老のように、後ろへ後ずさるようなうさぎだった。

ある日、買い物から帰ってくると、うさぎのゲージに入っているくーちゃんの周りをネズミが取り囲んでいた。わらわらと5匹くらいいる・・・。

????????えっ???どういうこと?ゲージ閉まってるよね?どこから入った?いや、気持ちわるっ!!!これ、どうすればいいの?

パニクった!

くーちゃんを救わねば!でも怖い!

恐る恐るくーちゃんの様子を見るが、本兎は平然としている・・・ように見える。少なくともパニクっている様子はない。

よくよく見ると、ねずみじゃない・・・。鼻が尖ってない。耳が少しデカい。つるつるしてる・・・。

え?子うさぎ?

あれ?くーちゃんオスじゃなかった?

オスであったはずのくーちゃんは、紛れもない、目も開いていない、毛もふわふわしていない、ネズミ様の生まれたての子うさぎに囲まれている・・・ということは・・・。

メスだったんだ!

衝撃的な事実に愕然としながら、事態を把握し、対処をせねば!と思った。くーちゃんは子どもに囲まれているが、献身的に可愛がっている様子がない。そもそも「無関心」を装っている。だから、なおさらネズミに取り囲まれているようにみえたのだ。とりあえず、ゲージの床に放置されたままの子うさぎの寝床を作らねばと、ゲージを開けるとくーちゃんが飛び出してきた。

普段、我が家ではうさぎは室内で放し飼いなので、くーちゃんは出かける時にしかゲージに入らない。それでも、我が子がいるのだから子どもを守るために、何らかの抵抗があるかと思ったが、くーちゃんは子うさぎを振り切り、さっさと外に出てきて子うさぎに執着する様子がない。早速の育児放棄か?と思った私は、うさぎ用のミルクってあるのか?とペットショップコジマに電話をかけた。

「うさぎが子どもを産んで、ミルクをあげる様子がないのだけど、うさぎ用のミルクって売ってますか?」と。

ペットショップコジマの店員さんは、うさぎ用のミルクは売っていない。しばらく様子を見てはどうか?と冷静な応答をしてくれたが、私はとにかく色んな意味でパニクっていた。

子どもを顧みない母うさぎを横目に、ゲージにボロ布を敷いて、恐る恐る子うさぎを並べて、寒くないか?と見守った。母うさぎをゲージに戻すが、すぐにぴょんと飛び出てしまう・・・。人口保育・・・できるのだろうか・・・?不安は募るばかり・・・。

そうこうしてたら・・・夜も寝る頃になって、部屋でくつろいでいたくーちゃんが、やっとゲージに戻った・・・と思うと、それまで大人しく固まっていた子うさぎたちがわらわらと母うさぎにすがり、おっぱいを飲み始めた。

ほっとした・・・。ああ!よかった!おっぱいあげた!

見ていると3分もしないうちに、くーちゃんは子どもたちを振り切って、またぴょんとゲージから飛び出てきた。子どもたちを舐めたりもしない。全然お母さんらしくないくーちゃん。子うさぎたちは、突然無くなったおっぱいに、仰向けのまま手足で空をかいていたが、そのうちまた、もそもそと固まってうさぎ団子になった。

色々、調べていると、草食動物のうさぎは普段子どもにつきっきりで育児をしないらしいことがわかった。子うさぎを安全なところに隠して、授乳の時だけ巣に帰るのだそうだ。

子どもの頃から、猫や鳥の子育ては見ていたが、彼らは実に献身的な子育てをしていた。自分の中の子育ての常識が覆された瞬間だった。半信半疑でくーちゃんの子育てを見守っていると、子うさぎたちは、ドライなくーちゃんの元ですくすくと育って行った。目も開き、ふわふわになってくると俄然可愛くなってきた。

6羽のうさぎを飼い続けることができないので、今度は我が家が「うさぎの里親募集」の貼り紙を貼る羽目になった。






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