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パン屋さん訪問~Floury Catさん~


千葉のパン屋さんに取材

稲毛 |パン屋| Floury Cat (フローリーキャット)| 千葉市

住宅地にひっそり佇む、週末(金土日)のみ開店のパン屋さん。
ご夫婦で営むこちらのお店でお話を伺う機会を得た。

きっかけは以前夫がひとりで来店したとき、妻がパン屋をやりたいという話をしてくれたこと(素敵なお店の存在は知っていたので、行ってみたいな~と話していたらパンを買ってきてくれた)。

とはいえ全然常連でもない私たち。というか初対面。
にもかかわらずお役に立てることがあれば!とパン屋での就労も自営業の経験もない素人がお話を伺いに行くことを快諾してくださった。
客足が落ち着いてそうな時間を狙っていざ訪問。
その前に出店されていたイベントでご挨拶だけできて、優しそうなお人柄を感じていたものの、、、どきどきしながら敷地内へ。

ご自宅の一部を改装したお店
パン屋部分は玄関より左手の奥まった場所にあるが、
お客さんはその日のメニュー看板を見てから
安心して中に入っていける
1回に1組のみ入れるスペースの店内
その日ごとにメニューを記載
手書きの温かさがとてもマッチしている

お店のコンセプト

ずばり「ハレの日のパン」。
営業日や立地、材料と価格、作りたいパン
色々な要素が組み合わさって今のお店の在り方に繋がっているとのこと。

ショーケースを望むときのワクワク感
ケーキ屋のそれと通じるものを感じた

金土日ごとに扱う商品のテーマが変わり、いつもの主食パンを買い足しに行くところではない。
お客さんはインスタやHPの情報(パンの内容が逐次更新されている)を見て
承知のうえで買いにきている。ハレの日のパンに心躍らせて。

多くは地域のお客さんで、開店当初から大きな告知や広報を打たず、まずは隔週日曜だけから、ひっそりと始められてきたのだそう(別のお仕事をしながらのスタートだった)。
自宅店舗で、住宅地の奥地(決して人通りが多い場所とはいえない)で開業。

パンは現在も妻おひとりで作られている。
開業当初はカンパーニュ5種類前後のみ、やれる範囲で始めたとのこと。
現在は曜日ごとにお菓子、食事パン、ご褒美パンとパン生地や材料の種類がとても多くて目移りしてしまうほど。
これはお客さんの要望に沿っているうちに増えたのかと思っていたけれど、そうではなく作りたいものを作っているから、というのが意外だった。
開業当初のカンパーニュも作りたいパンでのスタートだったとか。
徐々に動きや段取りの幅が広がってくるなかで、自分が作りたいパンを少しずつ広げていったのだ。

天然酵母パン

天然酵母(主に果実でストレート法、パンに合わせてルヴァンも使用)を扱っているのもご本人が面白いと思って学んで、やっていて楽しいから。
パンづくりにおいては安定するような工夫もされていた。

季節や作りたいパンによって果実を変えていたり、このパンフィリングでの組み合わせはどうかな、と考えている間もまた楽しいのだそう。

こんなに種類が多くてさぞ仕込みが複雑だろう、、、と思っていたけれど、
沢山(本当に沢山!!)のタイマーを駆使して分刻みの多重作業をこなす仕組みを作り上げられていた。
「見ていきます?」と気さくにお声がけくださった小さな工房内はとても清潔で整頓されていた(お店の通路同様、ご自宅玄関も綺麗だった)。

やらされてる感が全くなく、自分が楽しんで続けられるパンを自覚している店主さん。
そのパンを買う客層を考えてお店作りを仕掛けている夫の戦略。
そのバランスと説得力たるや、実際にお話を伺えたからこそ知れたことだった。

このほかお金のこと、組合や保険のこと、役所のことをはじめ
本当に親身になってお話をしてくださった。

そして厚かましくも勇気をだして、パン屋さんに自作パンを食べてもらうことができた。一年前だったらありえない行動だった。

右からFloury Catさんのパン
ドリアン式カンパ
ブロン(レーズン)

Floury Catが用意してくださっていたパンはふんわりしているけど弾力があり、小麦の味のある優しいパン。もっちりかつ食べやすい、親切なパンという印象。

毎日自作やドリアンファミリーのパンを食べていたからわかりにくかったけれど、食べ比べしてみると自分のパンはやはり万人受けするパンではない。一般的なものよりギュッとつまった食感と、単体で食べるのはちょっと物足りない味のような。

一方で「好きなひとはこの路線のパン、好きですね~」とコメントくださった。ここでもどんなパンを作って人に食べてもらいたいか、しっかり軸を据える大切さを教わった。

自分のパンはこういうパンです、
こだわりは押し付けないけどコンセプトははっきりさせて、
いいと思ってくれるお客さんを大切にする。

ドリアンと同じ学びをこの日も得ることができた。

連れて帰ったご褒美パンたち
珈琲と味わう幸せ

潜在意識の書き換え

こうして現場を見せてもらう、お話してもらう、自分の話をする、
パンを食べてもらう
行動することでじわじわ「自分もパン屋やる。やれることだ」という意識に書き換えられていく。

実は最近、これまでパン屋開業に対して懐疑的(というか無謀)に心配していた夫が夫婦二人でやっていくか?という向きになってきた。
夫自身も勤め人として思うことが沢山あるけれど、何より私ひとりでやろうとしているのが危なっかしいらしい(特に経営のこと)。楽観的すぎで不安なのだそう。

夫が前向き、むしろ参加型になってきたことに当初は戸惑った。
だって想定外だったから。
でも考えてみれば生活スタイルもお金のことも住まいのことも子育てのことも、どういう働きかたをしたとて全部ひっくるめて夫婦で相談して決めていくことだ。戸惑うってどういうこと?って自分にツッコミをいれた。

今回のFloury Catさんとのご縁も夫がきっかけを作ってくれたおかげ。
ああ、そこには愛しかないなとしみじみ感じたし、
先輩としてもお人柄もとっても素敵なお二人にご縁がつながっていったのは
良いエネルギーが循環しているような。

パン学校同期が教えてくれた、TakerよりGiverのほうが幸せという話。
Floury Catのお二人を見ているとまさにそう。
自分もGiverでありたいなと思う。

改めてFloury Catのお二人には、営業時間を超えてお時間を割いていただき感謝ばかり。本当にありがとうございました。

温かい軒先の雰囲気はご夫婦そのもの。
ここに足を運んで買いたいお客さんの気持ちがよーくわかったのだった。

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