笑顔になれない、わたしたち。
普段、顔の半分が隠れるくらいのマスクをしています。一時ひどいマスク不足が世間を騒がせましたが、そうなる前に購入した布マスクです。
肌触りは良いですが、さすがにゴールデンウィーク辺りから装着していると暑くなってきました。けれどこの夏は、いえ、これから先も、マスクは欠かせないのですね。
少しやるせなさを感じますが、仕方のないことです。
ファッショにもマスクが取り入れられたりして、オシャレだったり可愛らしいデザインのものを見かけるようになりました。
文化というのはその時代に合わせて生まれてくるのでしょう。
笑顔になれない、わたしたち。
マスクをしていて困ることは、暑さだけではありません。やはりどうしても声がこもるので、お店の人などの言っていることが聞き取れないこともあります。
「はい?」
と聞き返している自分の頭が、レジ前に設置されたビニールシートに触れていしまったのを感じて、妙に慌ててしまいました。
もう一度おっしゃっていただき、少し大きめの声でお互いに「ありがとうございました」と会釈をしあいました。
お店の方の表情も、目の辺りから上だけ。
私の表情も、目の辺りから上だけ。
笑顔なのに、笑顔になれない。
笑顔なのに、笑顔に見えない。
声が聞き取りにくいだけではなく、笑顔を見せられないというのは、コミュニケーションの効果を半減させることに気づきます。
ウィルス感染による健康被害も恐ろしいですが、「今まで通りのコミュニケーションが取れない」という状況についても、愕然とする思いです。
まるで、人間からにコミュニケーションを奪うような動きをしているような、そんな気持ちになってきます。
一人考えながら歩き、
「とにかくオーバーリアクション」
「声を出す時は明るめで」
「ありがとうは分かりやすく」
などど、ぶつぶつ呟きながら歩きました。
こんなものに負けるものかと。
マスクの下の笑顔を、感じてもらえるようにするぞと。
不思議な目標を立てた、昼下がりを過ごした今日でした。
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