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そこにはいつも、ジュエリーがありました。

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拙い言葉で紡ぐ、誰かとジュエリーのお話。
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#小説

素敵な思い出と指輪。

「自分へのご褒美」という言葉を聞くと、多くの人は高価なものや贅沢品を思い浮かべるかもしれない。しかし、私にとって最大の自分へのご褒美は、思い出を作ることだった。 ある日、私は早めに仕事を切り上げて帰路についた。ここ数日、残業続きで疲労が溜まっていた。そんな日は、なるべく気分転換ができるように、自分自身を労ってあげるようにしている。 「よし。散歩して帰ろう・・・」 その日は天気が良かったので、近くの公園に行って散歩をすることにした。季節は春。あっという間に冬が終わり、桜の

珈琲とネックレス。

朝の光が部屋を照らし、目を覚ました彼女は、まずは窓を開けて新鮮な空気を取り入れる。そして、キッチンに向かい、彼女はいつも通り自分のために珈琲を淹れていた。それは彼女にとって、心の安らぎを与えてくれる習慣だった。 深い焙煎の豆を挽いた香りが、彼女の鼻をくすぐる。沸いたばかりのお湯を珈琲の粉に落とすと、湯気が立ち上る。彼女はしばらく立ち止まって、その様子を見つめた。 時が経つにつれて、彼女にとっていつしか珈琲は生活の一部となっていた。苦い味わいは彼女にとって、人生の中にある苦

彼女とリングと自然体と。

彼女は仕事に疲れ果てていた。建前に縛られ、自分自身を表現することができず、毎日が辛くて仕方がなく、人生に意義を見出せない日々を過ごしていた。そんなある日、彼女は先輩から誘われ、仕事後に一緒に飲みに行くことになった。 「先輩、私ってどうすれば仕事でもっと自分らしくいられるんでしょうか。」彼女は先輩に尋ねてみた。 「そうだね、まずはもう少し自分自身を知ることから始めてみようよ。自分が何を大切にしているのか、何が好きで、何が嫌いなのか。それを自覚することが大切なんじゃないかな。

私にぴったりのネックレス。

夕暮れ時、私は公園のベンチでぼんやりと空を見上げていた。心の中には不安や悩みが渦巻いていたが、空を見上げると少しだけ心が落ち着いてくるような気がした。 風が吹き抜ける音や、遠くの車の音が聞こえる。そんな小さな音たちが、私を癒してくれる。 そんなとき、目の前を通り過ぎる女性に目が留まった。彼女はシンプルなデザインのネックレスを身につけていた。そのネックレスが彼女の女性らしさをより引き立てている。洗練されたオーラを身に纏い、凛として歩く彼女がとても素敵で、私は思わず声をかけてし