温風至

あつかぜいたる。
この時期の、雨が降る本当に直前の水分をたっぷりふくんだ強い風が好きだ。
気温としては暑くなってきているときの、ひそかな清涼剤は曇りの時こそその真価が発揮されるような気がする。
特に、田んぼのはたで、陸の波の音を聞きながらだとなおいい。

そのあとに来る、曇った雨も好きだ。
雲の間から光と一緒に降りてくる水粒は、なんとなく心地がいい。
あまり風が吹かないと肌がじっとりとして、あまり風が強いと傘が役に立たないのも愛嬌なんだろうと思う。

クーラーの効いたすっきりと冷たく涼しい部屋の中にいるのも快適だけど、時々外で情報に溢れた空気に触れるのも楽しい。
多分、昔の人はこの情報を情緒と言ったのだろう。

雨の日も、こうやって見たら意外と悪くない。
ただ、ガラスを通すと良さが伝わりにくくなるだけで。

そうそう、植物や窓ガラスを伝う雨粒も私は大好きだ。

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