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zine Pursuit vol.3発売開始!

昨年8月にvol.2を発売してから半年経ち、新たにvol.3が完成いたしました。
実は構想段階から含むとvol.2リリース前から始まっているので、制作者としては「長かったよ〜!」という感じで、なのでこうして無事リリースできて本当に嬉しい。そして何より、ほっとしています。

vol.1、2とこれまで一般的なzineのスタイル、つまり冊子スタイルで作ってきたのですが、なんと今回は封筒スタイルに挑戦。開けてみるまで何が入っているのかわからない。「こんな賭け大丈夫なのか?」と自分に問うと同時に、こうでなければ伝えられない内容だという揺るぎない確信だけはありました。

いろんな意味で原点に立ち戻ろうと思った今号。zineという自由な自主制作だからこそできる(でしかできない)ことをやり、他の誰もやったことのないことをやる。なぜ私がわざわざ自腹を切ってでもこれを作るのか、という問いにも改めて向き合い、その全てに対し自分なりに答えを出したのがvol.3です。

もう私としては、みてください、としか言えない。というのも、どちらかというとインタスレーションとか、アートピースという表現の方が合うような気がするからなのです。体感が全て。そういう作品になりました。

今回ゲストにお呼びしたのは、音楽家のYoshimiOさん(OOIOO、Boredoms)、写真家の森川靖大さんです。YoshimiOさんにはインタビューを、森川さんには作品を数点預けていただき、そこから私が様々なスタイルに落とし込んでいきました(相談の上で)。そこに私のテキスト作品も組み込み、他では絶対に生まれないPursuitオリジナルのコラボレーション作品が生まれました。
森川さんもこちらの記事でお話いただいております。
https://note.com/haikei/n/n020014b31a2d

以下は封筒の背面にもあります、今号に向けた私の声明です。

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ごあいさつ 編集長 厚地由佳子

 寺山修司が「書を捨てよ、町へ出よう」と訴えてから53 年、相変わらず人々は書を捨てず、町はおろか家の外にすら出ない中高年の引きこもりだけで 61 万人もいるという。東浩紀は、旅に出ることで得る検索ワードにより現代人は規定された自分の限界を超えるといい、やはり外を指している。外には一体何があるのだろう。
 国内・外とあらゆる外に足を運んできた私だが、長い間、それでも何か超越できな い閉塞感のようなものを感じていた。それは外に出るだけではだめなことを、実感として私に訴えていた。
 ある夏の日、家で本を読んでいると、ふと自分のいる場所も存在すらも見失うという体験をした。眼前の言葉から立ち上がる世界に自分の「感」 が最大限に開いていたため、一種のトリップ状態に陥っていた。それは中や外といった空間概念を、そして 自分さえをも超越した瞬間だった。私はそこで言い表せない解放感と、巨大な世界との繋がりを感じた。夕方のベランダにでると、静かに恍惚と光る空の向こう側が掴め るような気がした。「感」への意識が変わることでこんなにも世界は変貌するのかと、 私は愕然とした。書を捨てる / 捨てないとか、町へ出る / 出ないとか、そういうことの前に、なければならないのは、「感」に開けた私自身だったのだ。
 vol.3 となる今号は趣向を新たに『予感の紡ぎと解き』を核に編集を進めた。視覚 的マガジンとしての意義はもとより、聴・触・嗅覚までをも総動員させ<体感する マガジン>として機能できればという願いを込めた。今回一番大きな賭けとなるのは、読者であるあなたに結果の全てを委ねなければならないことだ。この一冊が放つメッセージを受け取れるかどうか、それは全てあなた次第。私にできることは、大きな問いを投げかけることでしかない。その問いを生み出すため、今回は音楽家のYoshimiO(OOIOO)、そして写真家の森川靖大をフィーチャーした。『問い』は同時に『答え』ともなる。一見バラバラにみえるものの間に共通項と差異を「感」によ り見出し紡ごうとする時、私たちの目の前にそれぞれ異なるものが浮かび上がってくる。その存在はあなたが余白に押し込めてしまったあなた自身なのかもしれない。そのあなたとの再会を通して、あなたはあなたの限界を超えていくのではないだろうか。     
 この作品を通して、私は余白を排除しがちな現社会の在り方に抵抗しようとしてい るのだと思う。関係がないと線を引いて分断してしまえば、全てはそこで終わる。しかし世界はそんなに単純ではない。隔てられて見える二世界の境界線を消し、接続を試み、全てが交わる場所で立ち上がるものを予感し捉えていく。そこで見えてくるものの中に、自分を超越した世界との繋がりや、答えのようなものが現れてくるのではないだろうか。それを実現可能にするものは、「感」へ開けた意識であると私は信じている。「感」が紡ぐ私たちそれぞれの物語は決して風化することなく、過去・現在・ 未来を繋ぎ、必ずこの瞬間に生きている私たち、そして未来の人々に、大きな生命力を新たに吹き込むことができるはずだ。あの日私が体感した記憶は、この現在を生きる私の光となり、今日もこうしてこの命を未来へと導き続けているのだから。
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ウェブ購入はこちらから:
https://zinepursuit.stores.jp/items/5e5512b994cf7b3876243eed

一人でも多くの人にこのメッセージが届くことを願っております。

Pursuit編集長 厚地由佳子

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