文章を書くのが好きになった時の話

プロフィールに「イラストレーター」「作家」を名乗りつつ絵を1つも載せないnoteなんかをわざわざやっているのだから既にバレていると思いますが
私は文章を書くのがとても好きです。
学生の頃、読書感想文や作文は書けば大体賞を頂いていた気がするので、得意と言っても許してもらえると思います。
いや、私は自分の特技は特技と認めている。 もっと堂々としろ

でも本当に最初、文字を滞りなく書けるようになった小学校低学年の頃は文章を書くこと、がとても苦手でした。
作文の授業で、最初の一行が思いつかずに全て宿題として持って帰ってくるタイプ。
何とか書き上げても時系列に事実を並べて「楽しかったです」と書くことしか出来ませんでした。

そんな作文嫌いの子供だった私が作文好きに変わった劇的なきっかけがあります。
小学校3年生の時のことです。

2歳上の姉がさくらももこ先生のエッセイ「まる子だった」を親に買ってもらっていました。「すごく面白いよ」と言われたので私も借りて読んでみたのですが。

衝撃でした。

「文章って、こんなに面白く描いていいんだ!!!」
と初めて知ったのです。

そもそも「作文」に出会ったのが「学校の授業」だったためかもしれませんが、私は作文とは「ポジティブで綺麗なこと」しか描いてはいけないと思っていたのです。ネガティヴさや、良くなかったことを書くなんて許されない。遠足は楽しい。お花はきれい。そういうことだけを書かなくてはいけないと思っていました。

さくらももこ先生のエッセイは、愚痴だったり、「〇〇が嫌いだ」というエピソードだったり、時には口語体で悪態が書かれていたり。文章とはこんなに自由に書いてよくてこんなに面白いものだということを私は初めて知ったのです。
「だ、である」調で書かれた文章も当時の私には新鮮でした。

そのあとすぐにあった、作文の課題で私はさくらももこ先生のおもしろおかしい文章の書き方を一生懸命真似して書きました。
シュールな目線、相手の笑いを誘う言葉回し、時には愚痴を交えた文章。
どのくらいしっかり出来ていたかは今や分かりませんが、これまでの中で1番楽しく書けた私のその作文はクラスの「優秀作品」と花丸を頂けました。
苦手が得意に変わった瞬間です。

その後もさくらももこ先生のエッセイを何冊か買ってもらい、何度も何度も読み返しました。
そして今でも私は趣味として、こういった文章を頼まれてもいないのにわざわざ書いています。

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この文章は、さくらももこ先生の訃報が流れる以前から書いていましたが、書きかけで放置していたものです。
今回の訃報を知ったのは奇しくも私の誕生日の日で、衝撃的ではあったもののよく分からないままふよふよ数日が経過しましたが
思っていたよりショックは根深いようで、今も重い気持ちを引き摺っています。

故人になった途端好きだったことを言うなんて
信じてもらえないかもしれないし
ただのかまってちゃんみたいだし
何より本人に絶対届かないし全然意味がないことだけれど
私はさくらももこ先生に確かに影響を受けて生きていました。
そこに嘘はないから自己満足でも記録しておきたい。

ちびまる子ちゃんは実は苦手だったけど(誰かが可哀想な目に遭うエピソードしんどかった)(映画版は好き)、エッセイ、コジコジ、富士山、
とっておきの宝箱みたいにぎゅっと描き込まれた一枚絵が大好きでした。

さくらももこ先生、今までありがとうございました。

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