SHISEIDOの地域戦略
2016年より、6つの地域とブランドカテゴリーを掛け合わせたグローバル経営体制を敷いています。地域本社がそれぞれのビジネスの責任と権限を持ち、「Think Global, Act Local」の考え方のもと、地域のお客さまのニーズに合ったマーケティングや迅速な意思決定を実行します。
将来の価値づくりに貢献する「センター・オブ・エクセレンス」は、スキンケアは日本、メイクアップやデジタルは米州、フレグランスは欧州など、各領域の最先端の地域で情報収集やリサーチを行い、グローバルの戦略立案などをリードしています。また、各「センター・オブ・エクセレンス」で得られた知見は、全世界で共有しています。
⚫日本事業
2019年の日本の化粧品市場は、消費増税の影響やインバウンド需要の成長鈍化により、1%程度の成長にとどまりました。
重点戦略として、スキンケア、ベースメイク、サンケアの「肌3分野」に注力しました。「SHISEIDO」では、美容液「アルティミューン」やファンデーションが好調に推移し、売上高が大きく伸長しました。また、素肌まできれいにする薬用スキンケア効果と美しい仕上がりを両立させる「薬用ケアハイブリッドファンデ」を発売した「HAKU」や「dプログラム」が好調でした。
⚫中国事業
中国では「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」などのプレステージブランドが高成長を維持したことに加え、日本発の「エリクシール」や「アネッサ」のコスメティクスブランドが大きく伸長しました。中国の売上高に占めるプレステージブランドの構成比率は前年からさらに伸び、プレステージファースト戦略が大きな成果につながっています。
成長著しいEコマースチャネルでは、デジタルを活用したマーケティングの展開や、中国のネット通販大手との協業の強化などを積極的に取り組んだことにより大きく成長しました。
特に、近年大型化が進む「独身の日(ダブルイレブン)」において、競争環「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」をはじめとしたプレステージブランドと日本発ブランドの「エリクシール」、「アネッサ」を中心に投資を集中します。また、実店舗での取り組みとともに、デジタルマーケティングやEコマースも一層強化します。
⚫アジアパシフィック
プレステージブランドの「Laura Mercier」や「クレ・ド・ポー ボーテ」が好調を継続したことに加え、「エリクシール」、「アネッサ」、「Dolce&Gabbana」が大きく伸長しました。韓国は市場環境の変化により厳しい状況となりましたが、東南アジア地域では直営店展開を拡大し、好調な実績となりました。プレステージブランドおよび、日本発のコスメティクス・パーソナルケアブランドを強化していきます。
プレステージブランドでは、ブランドショップやEコマースなどのチャネルをさらに拡大します。
⚫米国事業
メイクアップを中心に厳しい市場環境が続く中、「SHISEIDO」や「Dolce&Gabbana」などが成長を継続しました。「bareMinerals」は、収益性が低い直営店の閉鎖など、構造改革を引き続き進めました。また、米国のライフスタイルブランド「Tory Burch」とのライセンス契約を締結し、さらに米国市場を中心に急成長しているプレステージスキンケアブランド「Drunk Elephant」を買収するなど、ブランドポートフォリオ強化に取り組みました。
構造改革の推進による固定費の削減およびデジタルシフトによるマーケティング費用の効率化などにより、状況が改善した。
米国事業は、販売事業、グローバルで展開するメイクアップブランドの開発等を負担するブランドホルダー機能、メイクアップ、デジタル、テクノロジーの価値創造の拠点となる「センター・オブ・エクセレンス」機能を持ち、これらのグローバル機能の戦略的投資費用も負担しています。
⚫欧州事業
新製品が好調に推移した「Dolce&Gabbana」や「narciso rodriguez」などフレグランスブランドが成長をけん引。「SHISEIDO」はメイクアップ製品が好調に推移したほか、「NARS」も成長を継続しました。「クレ・ド・ポー ボーテ」は2019年10月にイギリスのロンドンに出店し、好調なスタートを切りました。
欧州事業は、販売事業、フレグランスのブランド開発等を担うブランドホルダー機能、フレグランスのグローバル展開を強化する「センター・オブ・エクセレンス」機能を持ち、これらの機能の戦略的投資費用も負担しています。販売事業では10%超の営業利益率となり、当期はブランドホルダーコストを吸収してブレークイーブンの水準まで改善することができました。
⚫トラベルリテール事業
旅行者の増加に伴いアジアを中心に市場が拡大した中、世界各地の空港における広告宣伝など積極的なマーケティング投資の効果により、韓国、中国、タイなどアジアを中心に「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「NARS」、「アネッサ」等の主力ブランドが前年を大きく上回る成長を継続しました。グローバルプレステージ領域でのポジションを一層強化するため、マーケティング投資を継続します。具体的には、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「イプサ」、「NARS」、「Laura Mercier」などのブランドを強化していきます。
2020年より、日本のトラベルリテール事業も統合し、全世界のトラベルリテール事業が連携する体制を整えました。さらに、加速するデジタルコミュニケーションを通じた旅行者向けマーケティングの強化、主要オペレーターとのより強固なパートナーシップの確立、店頭対応力の強化などにより、さらなる成長を目指します。
https://corp.shiseido.com/report/jp/2019/business_strategy/global.html
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?