3ベットレンジ(7)

ランダウン

3ベット可能なハンドのカテゴリーは他にもあります。必ずしもエクイティアドバンテージがあるわけではありませんが、3ベットポットにおいて、そのスムースエクイティディストリビューションによって、プレイアビリティアドバンテージを持つハンドがあります。それが、ランダウンです。

ランダウンは、ブロードウェイ(ハイカード)ランダウン(AKQTやKQJTなど)と、低~中程度のランダウン(JT98や9876など)を、区別しなければなりません。相手の様々なレンジに対して、プレイの仕方が異なるからです。タイトなレンジ、とりわけUTGオープンに対しては、AやKのあるハイカードランダウンは、低いランダウンほどうまく働きません。これは、タイトなレンジの中には、たくさんのハイカード及びハイペアが含まれている事によります。特にこちらがAを持っていない場合は、必然的にUTGオープンの中に、AAxxやこちらをドミネートするハンドが入っている確率が上がります。その点低いランダウンは、フロップ後により良いビジビリティとプレイアビリティを持つ事ができます。

一方、ハイカードランダウンは、ルースなレイトポジションのオープンレンジに対して、多くのバリューがあります。この場合は、相手のレンジのかなりの部分をドミネートもしくはフリーロールしています。例えば、相手のJT98に対するKQJTの様に。

先に述べたように、ランダウンは通常、大きなエクイティアドバンテージをもっていません。ダブルスーテッドでAハイの強いランダウンでさえ、広いレンジに対してわずかに有利である程度なのです。なのであなたは、何故これらのハンドで3ベットをたくさんするのか疑問に思うかもしれません。これにはいくつかの回答があります。

まず、ゲーム理論的観点から見ると、3ベットをAAだけに限定して他のハンドでいっさいしないのは、極めて悪い事です。こちらのハンドが透けてしまっているようなものなので、3ベットを受ける側はいとも簡単に、3ベットポットであなたをエクスプロイットできてしまいます。したがって、あらゆるボードをカバーする多様なハンドで、3ベットレンジをミックスアップする必要があるのです。そうする事によって、もしボードに3枚のローカードが落ちても、あなたのハンドは時々強いものになるのです。そうしなければ、ローカードばかりのボードで常にチェックフォールドしなければならなくなり、あなたはかなりエクスプロイットされるプレーヤーになってしまいます。とは言え、それほど高い頻度で3ベットレンジがローカードボードにヒットするわけではありませんが、レンジの一部はプレイを続行する事が出来るのです。

非常に強いハイカードのランダウンでさえそれほど大きなエクイティアドバンテージがないのであれば、ランダウンについて議論する時、どこに注目するべきでしょうか。これらのハンドのパワーは、非常によいプレイアビリティと、コールレンジをドミネートする力が組み合わされているという事にあります。また、ポストフロップにおいて、優れたエクイティディストリビューションもあります。スムースエクイティディストリビューションによって、はるかに高い頻度のフロップで良いハンドになるという事です。そして、フロップにヒットした時は通常、メイドハンド+良いドローなどの非常に良いものになります。トップツーペア+フラッシュドロー、トップペア+ストレートドロー、あるいは強いラップ(アウツが非常に多いストレートドロー)などの強いコンボドローをヒットする能力は、フロップにおいて極めて価値の高いものになります。

よって、ランダウンは2つの重要な特性をもっています。まず1つ目に、全てのランダウンはスムースエクイティディストリビューションの性質と、複数の構成要素によって、たくさんのフロップでプレイの続行が可能であるという事です。フロップで、ペア、ストレートドロー、フラッシュドロー、そしてしばしば、それらを組み合わせたメイドハンド+ドローになります。それこそが、ランダウンの2つ目の特性なのです。様々なボードでかなり強くヒットすると言う事です。そして、あらゆるタイプのハンド、セットに対してさえも、充分なエクイティになります。

私たちはこれから、ランダウンをそれぞれのカテゴリーとして見ていきます。Aハイ、Kハイ、Qハイ、そしてミドル、ローカードのランダウンです。概ね、ギャップのない純粋なランダウンについて話していきますが、ギャップのあるハンドに関してはどうなのでしょうか。JT98とJT97の間にはほとんどエクイティの差はありませんが、普通、ランダウンのギャップは、わずかに全体のエクイティを少なくします。覚えておいて欲しいのは、大きなギャップやトップギャップ(J987など)は、ポストフロップでのプレイアビリティに影響を与えます。フロップでヒットできるナッツドローの数を減らしてしまうからです。

全体的に見れば、通常は、カードのランクが高いランダウンほど良いと言えます。高いランダウンはより高いペア、よりよいフルハウスやナッツ寄りのドローを引くことができます。一方、中~低ランダウンは、多くのデセプションが加えられ、ナッツストレートドローは同様に引く事ができます。低いランダウンのフラッシュドローは、通常多くのバリューがあるとは言えません。より高いフラッシュドローに簡単にドミネートされるからです。低いフラッシュドローは、ブロッカー効果の方に価値があります。より高いフラッシュドローがフラッシュを引く事を妨げているという点は、特定のオールインシチュエーションにおいて、良いバックアップになってくれるでしょう。

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