Aゲームとティルトと母性のおはなし

昨今のポーカープレーヤーにとってなじみのある言葉として、「Aゲーム」という単語があります。正確な定義を調べたことはないのですが、各所での使われ方から察するに、「自分にできるベストなプレイを持続できたセッション」という風に私は解釈しています。ポーカーは、ベストなプレイをしていながら収支がマイナスということもありえるゲームですので、収支がプラス=Aゲームというわけではなく、雑なプレイが多かったけれども幸運に恵まれて収支がプラスになったというようなセッションはAゲームとは呼べないでしょう。その逆もしかりで、収支がマイナスであろうと、十分納得のいくプレイが持続できていたならば、それはAゲームと呼べそうです。

では、Aゲームを持続できてさえいれば長期的に収支はプラスになっていくのかと言えば、話はそう簡単ではありません。ベストな状態でも打率が2割を切る打者がスタメン起用されないのと同様に、自分のできるAゲームが、プレーヤープールの平均値を超えていなければなりません。つまるところ、ポーカーに関する勉強や実戦による経験は、「平均値を超えるAゲームをすること」が可能なプレーヤーになるためと言えるでしょう。そこに到達してはじめて、長期的な収支の上向きが見込めるというわけです。

順調にAゲームをこなし、収入を積み重ねるプレーヤーには、さながら家計をやりくりするやりてのお母さんといった趣があります。しかし、彼女にはひとつ、困った問題がありました。息子(もしくは娘)が全力で反抗期なのです。子の名前はティルト君(もしくはティル子ちゃん)。持てる力を総動員して母親の家計のやりくりを妨害してきやがるのです。

(イメージ図)

さて、この可愛らしいティル子ちゃん。人によってさまざまな性格をもっています。主な特徴は、

・すぐキレる

・自暴自棄になる

・集中力に欠ける

・暴走して歯止めがきかなくなる

・色々と雑になる

・一見冷静に見えるけど静かにキレてる

・自己嫌悪に陥る

などなど、およそ負の要素で満たされた厄介な娘です。

しかし、意外にも根は良い子で、お母さんの調子がいい時はほとんど邪魔してきません。彼女が猛威を振るうのはもっぱら家庭に不運が訪れた時なのです。そこをまず理解してあげましょう。そして、一人の親として、内在する可愛くも憎たらしいティル子ちゃんを教育していく必要があります。

およそ通常の子育てにも言えることですが、ネグレクト(育児放棄)は良くありません。すなわち、自分の中のティルトをないものとみなして無理に遠ざけようとしても、余計に反発されてしまうことになります。また、反抗期の娘を強く叱りつけても、それこそ火に油を注ぐようなものになってしまいます。それよりも、わが子の性格、特徴をちゃんと分かってあげて、慈愛の心で接してあげるのが大事なのではないかと思います。根気強く会話をしてあげて、ティル子の気持ちを理解していくのです。それが母性というものではないでしょうか。

まあなんだかよくわからないたとえ話をしてきましたが、結局のところ、発生するティルトを仕方ないものとして受け入れて、あたかも自分の子供であるかのように冷静に客観視し、自分自身の中で少しでも良い方向へ導いていく、というのが正しいティルト対策なのではないかと思い、子育てに例えてみた次第なのです。ティルトは敵ではありません。ちょっと厄介な子供なのです。また、疲れていたり眠かったりと、自分のコンディションが良くないときは、家計のやりくりと子育ての両立が極めて難しくなります。気持ちをリフレッシュして、反抗期の子供を根気強く良い子に育てながら、良い家庭を維持していきましょうね、というお話でした。

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