エクイティディストリビューション(1)

スターティングハンドの選択は、プリフロップ単体だけで考えてプレイ可能なハンドを選ぶものではありません。PLOはポストフロップゲームですので、常に色々な状況のフロップを予期しなければなりません。参加人数、ポジション、イニシアティブ、等々です。覚えておいてほしいのは、様々なハンドの「エクイティディストリビューション(分布)」によって、それぞれ異なるプレイ方針がある、ということです。あるいくつかのハンドは、ほとんどフロップでヒットしません。しかし、ヒットしたときはものすごく強くなります。このようなハンドは「ポラライズド(両極化された)エクイティディストリビューション」と言われています。その一方で、もっと頻繁にフロップでヒットするハンドもあります。しかしフロップではドローになりやすく、メイドハンドはそれほど強くなりません。このようなハンドは「スムース(なだらかな)エクイティディストリビューション」と呼ばれます。

ポラライズドエクイティディストリビューション

ポラライズドエクイティディストリビューションのハンドはほとんどのフロップでヒットしません。しかし、ヒットした場合は、他のあらゆるハンドに対して高いエクイティを持つことができます。代表的なハンドとしてKK72レインボーを例にあげます。このようなハンドは、フロップでセットを引いたときに大抵大きなポットを勝ち取れるでしょう。これから、KK72r対様々なレンジのエクイティディストリビューショングラフを見ていきます。そしてその極端さが明らかになっていくでしょう。


KK72r vs 10%レンジ

かなりタイトなレンジに対して、KK72rはそれほど良くはありません。50%以上のエクイティが保証される(セットやトリップスを引く)フロップは22%ほどしかないのです。少ないフロップで極めて高いエクイティを得る一方で、多数のフロップでのエクイティはかなり低いです。加えて、このハンドは頻繁にフォールドしなければなりません。たくさんのフロップで、低いエクイティになるからです。グラフは大きくカーブしていて、それこそがポラライズドエクイティディストリビューションの重大な本質なのです。


KK72r vs 30%レンジ

先ほどより弱い30%のレンジに対しては、エクイティディストリビューションが大きく変わっています。40%以上のフロップで少なくとも50%以上のエクイティが保証されています。たくさんのフロップでオーバーペアが有利であるためです。90%ものフロップで少なくとも33%のエクイティがあります。


KK72r vs 100%レンジ

ここまでの概要を完成させるために、100%レンジに対する理論上のエクイティディストリビューションを検証していきましょう。見ての通り、全てのボードにおいて全体的なエクイティが高いです。これはKKというハイペアによるバリューによるものです。とはいえ、60%のフロップ(30%~90%の範囲)ではコインフリップであるに過ぎません。一般的にオマハでは、エクイティディストリビューションは互いに接近するものだからです。スーツのない単なるワンペアは、あらゆるストレートドローやフラッシュドロー、そして当然ツーペアに対して脆弱です。KKはフロップではそこそこのエクイティがありますが、単なるオーバーペアにとって、ショウダウンへ到達するまでの道のりはいつもギャンブルになってしまうのです。

代表的なポラライズドハンドであるKK72rの一連のグラフを見てきた通り、フロップでヒットした時のエクイティは(とりわけ強いレンジに対して)非常に高く、しかしそうなる事はそれほど多くありません。ただ、ヒットさえしてしまえば、このようなハンドはあらゆる状況でとても安定して戦えますし、下セットのような他のハンドをドミネートして、利益的なフリーロール(この場合は、逆転される可能性が少ないという意味合い)をすることもできます。したがって、こういったハンドは(ナッティであるがゆえに)よりいっそう、マルチウェイや高いSPR状況に適しているのです。



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