婚活アプリの問題点
概要
本記事では婚活アプリについての問題について思ったことを記載する。
婚活アプリは近年の婚活手法において中心的な存在になってきている。しかし、このアプリには様々な問題が内包されていると考える。
この問題点があまり考えられないことで多くの人が時間と資金を浪費し、最終的に結婚できないまま退場していくと考えている。
その問題点について本記事では記載する。
根本的な問題
まず、根本的な原因は「ユーザの目的達成≠婚活アプリの収益」である点だと考えている。
婚活アプリにおける「ユーザの目的達成」とは当然結婚に成功することである。そして「婚活アプリの収益」とは、多くの場合メッセージを送るための課金といえるだろう。
この2つは実は相反している。
例えば全てのユーザが1度のメッセージ(課金)で結婚が決まってしまえば、運営に入る利益は最小になる。しかし、(極端な話)いつまでも全てユーザの婚活が決まらなければ利益は最大になる。
婚活は1度成功してしまえば大部分の人は再び再開しない。つまり、一度アプリを辞めた人は戻ってこないため、利益を考えるのであればユーザに結婚させないことが利益に繋がってしまう。このアプリの目的と矛盾した利益設計になっているのが根本的な問題であると考える。
そのため、アプリ側が用意した便利機能も、「本当にユーザの利益になっているのか」という視点が常に必要になる。そこを見誤ると、いつのまにか不利な土壌で延々と婚活をすることになる。
選択肢が多すぎる
多くの人は「2つの選択肢」と「100個の選択肢」を選べるのなら、後者の方を選ぶだろう。その方が選べる手段が広いからだ。しかし、選択肢が増えることが、そのまま最良とは限らない。
心理学でいうところの「ジャムの法則」にあたる。
https://asu-yoku-laboratory.com/jam-study
早い話が、選択肢が多すぎると人は選べなくなるのだ。
理由は簡単で、まず全ての製品(今回は人)を吟味することができない。そしてすべてを吟味できないのなら、検討していないものが必ず存在してくる。そうすると、「もっといい選択肢があるかも...」と必ず心の中で思えてくる。そのため決定できなくなるという心理学だ。
まさに婚活アプリではこの法則が適応される。
上記の実験では24種類のジャムだったが、婚活アプリには数千人の異性が登録されている。これらを全て吟味することはできない。そのため、無限に選択肢が広がったようにみえて、実は非常に決定しずらい構造になっている。
アプリとしては選択肢が無限に広がることは1つの強みと言えるかもしれないが、ユーザの婚活成功の確率を下げているのは間違えない。
恋愛という要素
この選択肢が多いと決定しずらい、という要素に拍車をかけるのが恋愛という要素だ。婚活はジャムと違い、自分一人では成り立たない。必ず「相手も自分を気に入る」という条件が付く。
選択が困難な中でなんとか人を選んだとしても、相手も同じように無限に近い人の中から自分を選んでくれないと成り立たないのだ。これは確率だけみるなら紙のように薄い確率になる。
特に、人というのは定量的に測れるものではない。年収や年齢など一部は定量的に他者と比較可能だが、多くの他の要素(容姿や性格)は曖昧な感覚で他者と比較することになるだろう。
定量的に測れないのだから、ジャムの法則でいう「もっといい人がいるかも」という心理が殊更強く働く。つまり決められない。
なん股でも可能なシステム
多くのアプリでは3股4股が可能である(仮交際など)。
仮にあなたが5人と仮交際まで発展し、一緒に食事をしたとする。しかしその5人も、それぞれ別の5人と一緒に食事をしているとみるべきだろう。
当然、あなたはその5人の中の1人(あるいは0人)を選んで本交際を申し込むだろうが、それで成功するのは20%以下である。当然、相手も一番いいと思われる人を選んでいるからだ。
確率的にみると非常に不毛なシステムである。この5人と食事をするために、アプリへの課金、食事代、デート代、時間など、貴重なリソースが大量に消費されている。しかし、そこまでやって決まるのは20%以下である。
このN股可能なのもユーザからすれば婚活が効率的に進めるようにみえるが、数字的には遅延の原因になっている。
あなたは心理学の専門家ではない点
多くの人は、1度や2度の会食で相手の性格や相性を見破ることはできない。よほど人生経験が豊富で有能な人か、心理学者ならできるかもしれないが、一般的なサラリーマンでそれをやるのは不可能だ。
それなのに多くの人は、1度の会食で少しの欠点が見えただけでその人との交際を中止してしまう。
合理性という観点からみれば不毛だ。逆言えば、1、2度の会食で100点だと感じたからといって、その人の欠点が全て洗い出されたわけではないのだから。正直、その人との本当の相性なんて同棲してみるまでわからないというのが普通ではないだろうか。
このように、ユーザそのものが非常に相手に厳しい基準を求めるため、さらに婚活終了が難しくなっているといえる。
強い人が総取りするシステム
婚活アプリは100点の人は100点の人と、50点の人は50点の人とマッチングするシステムではなく、全ての人が100点の人とマッチングしようとするシステムである。
全ての女性はイケメン高収入にアプローチするし、逆もまた然りである。
つまり、「普通」の人が活躍する場面はほとんどないといっていい。これは今まで記載したように、「選択肢が多すぎる」「定量的に測れない」「何人でも同時に選べる」という点も合わさり、一般的な人はどこかの段階で相手の選択肢から落とされる。
つまり、普通の人はかなり長い時間アプリを使用しないといけないということがわかる。
まとめ
以上が、私の婚活アプリに対する感想である。
早い話が、婚活アプリを使うのは合理的ではないと考えている。
本気で婚活を決めたいのなら、お見合いや結婚相談所で、プロが指名してくれた少ない選択肢を真剣に選んだ方が早いのではないか。
婚活できる時期というのは無限ではない。一般的に年齢が高くなればなるほど不利になる。決めるのならば判断を早くしないと泥沼にはまることになる。
少なくとも、競争相手が100人200人という婚活アプリ上で、普通の人が戦うのは無謀という感想を持っている。競争相手が少ない土壌で戦うのが勝負の鉄則なのだから。
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