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ニュース映画から見る川崎のコミュニティの変化

川崎市は戦後から現在に至るまで人口の増加、発展の変化が日本でも特に激しかった地域である。下の図は川崎市の人口及び人口増加率の推移である。

スクリーンショット (373)

引用:国勢調査100年-川崎市の昔と今-

川崎は昭和20年の第二次世界大戦中に大規模の空襲を受け、大きな被害を被った。終戦は同じ年の昭和20年であったものの、戦争による川崎の被害を考えると、上のグラフで昭和22年まで急激な人口減少が起こっているのはこの空襲が原因だと考えられるのではないだろうか。しかし、川崎は大規模な被害を受けたにもかかわらず復興も早かった。そして高度経済成長期にかけて急激な人口増加がおこる。そんな人口増加や発展を経た川崎市は地域の関わり、コミュニティの変化も激しかったのではないだろうか。
川崎市のニュース映画をもとに戦後から高度経済成長期、その後現在に至るまでの川崎市のコミュニティ、取り組みについて生活スタイルとともに考えていきたいと思う。

戦後~高度経済成長期

ここでは昭和20年の第二次世界大戦から昭和31年から始まる高度経済成長期までの間の川崎市のコミュニティについて見ていきたい。

川崎には、戦時中軍関係の工場が多くあり、重化学工業が発達していたことから空襲の標的となったが、比較的早い復興を遂げた。

・昭和28年 ボーイスカウトのキャンプ​

2000名ほどの多くの若者が参加していてボーイスカウトが盛り上がりをみせていることがわかる。

・昭和28年 最寄りのない老人の施設 恵楽園

設備が整っており、娯楽もあって老人の楽園と呼ばれる場所ができる。
今でいう老人ホームのようなものだろうか。老人のコミュニティの場がつくられる。

・昭和30年 保育園

仕事が忙しいお母さんのために子供を預ける場所である保育園がつくられる。市内の1800人の子供が通い、市の24か所に医療福祉法に基づいて設置された。

このように、戦後から高度経済成長期以前の川崎市は多くのコミュニティが存在しており、新たに施設などもつくられて活動が活発に行われていたということがわかる。
市内に多くの保育園や老人ホームのような施設をつくるなど、川崎市は先進的な取り組みをしていたといえるのではないだろうか。

高度経済成長期

高度経済成長期に差し掛かると川崎は劇的変化を遂げていった。それとともに川崎への転入者も増加し、川崎市は工業都市を目指したために下水処理場、川の埋め立て、交通整備などもこのころから行われていた。

・昭和35年 マンモス団地

人口増加に伴ってこのような団地もつくられ、新しい駅もできた。

・昭和37年 青少年会館

青少年の成長を目的とした施設で、図書室、化学室、工作室、ホールなどがあった。この後も続々とこのような施設は増えていった。また、青少年会議なども開かれ、川崎市が青少年育成に力を注いでいたことがわかる。

・昭和40年 2万人のマスゲーム

幼稚園児から高校生までが参加できる体育大会的な場である。

このように、青少年の施設や保育園のような施設は拡充され、インフラが整備されてこの高度経済成長期というタイミングで川崎は著しく発展し、多くの人々の生活スタイルが変化したことがわかる。
しかし、インフラが整備された一方で交通事故も多くなり、交通安全大会などが開かれたり災害救済制度なども制定されることになる。

青少年会館や体育大会的な場がわざわざ設けられるというのは地域での関わりというものが少し薄れてきていたことが原因としてあげられるのかもしれないと考えた。

高度経済成長期以降

高度経済成長期以降の川崎市のニュース映画を見ていると、いくつかの単語が良く目についた。それは「ふれあいの場」「環境」「健康」といった言葉だ。

まず、「ふれあいの場」といった言葉が目立つようになるということは市民の触れ合いがへってしまったということだろうか。市民祭りなども開催されていたことを考えると意図的に市民同士でのコミュニケーションを助長していた可能性があると思った。次に、「環境」や「健康」といった言葉は、高度経済成長期で急速に発展したものの環境汚染、公害問題に悩まされたことへの現れだと考えた。

おわりに

住民の生活スタイルが変化し、それとともにコミュニティも変化していった。高度経済成長期前は都市部では自治会などが、農村部ではその地域での共同体が形成され、これらはどれも地縁に基づいて形成されていたが、高度経済成長の過程で住民層が多様なものになったことで地縁によるコミュニティが希薄になっていった。そこで意図的に人とコミュニケーションをとる場が設けられるようになったり、コミュニティ維持のために現在でもボランティア活動やイベントなどが催されている。


参考文献



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