甘い硝子玉

む、今日は2月14日か。
…まあ、この質素な病室にはそんな明るいイベントは関係ない。
 少なくとも、私には。

そもそも私にはそこまで親しくしている友人なんて居ないし、甘いものもそこまで好きではない。
いや、少しくらいは甘いものも食べられる。むしろ好きなくらいだ。

…世間の男女は今頃お菓子を送り合って笑っているのだろうか。
何個貰えたかと競い合う男子とか、想い人の為に一生懸命にお菓子を作る女子とか、
あるいは学園モノのアニメのように紙袋に山ほど入れて持ち帰るような人もいるのだろうか。
ふふふ、やはり男女の関係が動くようなイベントは面白いなぁ。
…私も一度くらいチョコを送ったり送られたり、してみたかったなぁ。

…ん?なにあれ。
(死角にあって気付かなかったが、こぢんまりとした水玉模様の袋がある。)
なんでこんな所に?誰かの忘れ物かな…
でも、私の名前が書いてある…?
(包みを開いてみると、つるりと透明な飴玉。)
ガラス玉みたいに綺麗…
誰が私にくれたのかな…

ふふ、なーんて、わかってますよ?

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