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アクセンチュアで入社半年で昇格した事例を整理してみた(後編)

前編はこちらになります。

※   記載の内容は、個人の意見であることに留意

はじめに(再掲)

対象読者(再掲):

・アクセンチュアなどコンサルティング会社に入社した直後から早期に結果を出したい人

・アクセンチュア(また総合ファーム)の昇格イメージを知りたい人

(僕は途中から、コスト削減や事業計画 なども所謂 戦略・経営コンサル寄りの仕事もしてますが 入社時はIT コンサルタントとしてスタートしたので 今回の記事は事例はIT コンサルタントのものです。ただし 書いていることは、戦略であろうとあてはまると思っています)

この記事を読むメリット(再掲):

・アクセンチュアのITコンサルタントで、入社半年で昇格した事例を知れる( 普通なら3~4年かかる)

書いてる人 と 書く理由(再掲)

書いてる人:

・元 アクセンチュア(2014入社) で、今はTech系スタートアップ複数社のCxOと事業開発のコンサルをしている人です。

(Twitterやっています。アカウントはコチラ

・キャッチアップは早いほうなので(Pythonなどのプログラミング独学習得、米国公認会計士の試験も2年で合格)、実践している内容はそれなりに参考になるのではと思っています。

書く理由:

・若手の方から、新卒入社や中途入社した後の評価を上げる方法について相談されることが多くこの機会に記事として整理しておこうと考えた

(マネージャーに昇格するために必要な方法などは、また別途まとめます)

記事の構成と全体感

構成としては以下になります:

① 評価されるポイントを知る ⇒ 前編 で読めます

② 評価に応じた成果を出す ⇒ 今回カバーする内容です。

 既に前編で確認したとおり、特に入社時のスタッフに求められるレベルは次から書いていくようなものだと理解していました。
(※個人の見解であることに留意)

 この、スタッフに求められる理想像と、その前提となるスキルや姿勢を踏まえ、これらを満たすために、どのように時間を使っていたかを整理してみました。

マネージャー未満のスタッフ・レベルに求められる理想(再掲):


① 作業を納期・品質など期待水準以上で完遂できる
② 成果物をより良くするための提案・改善の実施ができる
③ 工数が不足・未着手などの領域について率先して取り組める
④ (クライアントとのディスカッションやMTGのリードができる)

必要となるスキルや姿勢(再掲):

・論理性
・PCスキル(Excel、PPT)
・自走性 / 率先性
 -率先して自ら取り組む / 取り組むべきかの相談・提案ができる
 -プロジェクト全体と自チームの状況の理解ができる*
 -未経験の分野の課題解決に必要な道筋の整理と未習得の知識も
 -合理的・効率的に習得していくことができる

評価を出すためにどのように動いたか

↓ ここから、この記事のメインコンテンツになります ↓

基礎スキルを早急に習得した方法

 社会人になる前に、いろいろな会社のOB訪問をした際に聞いた言葉で覚えてるものがあります。

 「仕事は準備9割」

という言葉です。

つまり、商談やプレゼンテーションの場の成否の9割は、それ以前の準備に依存するということです。

 同じ様なことが、コンサルティング会社での仕事にも言えると思います。

 コンサルティングのしごとでは、限られた時間、限られた情報など多くの制限の中で、クライアントが持つ期待値を超える成果を出す必要があります。特に、短いプロジェクトになると1ヶ月~3ヶ月というものもあります。

 こうした厳しい制約の中で成果を出そうとするのであれば、ビジネススキルのOS部分 「論理性」、「PCスキル」 などの基礎スキルは、人並み以上にできないとクライアントどころかチームの期待値も超えることはできないでしょう。

 その意味で、これらの基本的なスキルをどのように、効果効率的に身につけるか非常に重要なことです。

論理性

 僕がよくやっていたのは、著名なコンサルタントが書いている本のワークを毎日、暇な時間にやるなどをしていました。以下のような本は入社前~入社後数ヶ月で一通り終わらせていたと思いますし、日々、電車通勤の際に何か広告を見たり、利用した店舗のビジネスモデルを頭の中でカシャカシャ回す、といったことをやっていました。

大事なのは、実際に手を動かすこと、自分の頭で考える機会を実際に増やしたことだと思っています。

『戦略コンプリートブック』
『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』
『論点思考』
『仮説思考』
などなど

 また、こうした日々の「論トレ」に加えて、論理性の観点で受けた指摘は、後に書くようにメモに溜めておき一日の終わりに見返すなどをおこなっていました。なぜ、指摘を受けたのか?どうしたら改善できるか?同じミスをしなくなるか?など考え続けたのも論理性を磨く良い訓練になったのではないかと思っています。

PCスキル

 PCスキルに関しては、入社後の研修でもしっかりと学ばせてくれます。

ただ、最も役に立ったのが、以下の3つです:

・できる人から盗む
・自分でもすぐ ググる
・与えられたフィードバックを無駄にしない

 できる人から盗むのは、前編でも書きましたができる人に、「Excelの操作方法めちゃめちゃ早くないですか?(笑)早すぎて何やってるか見えないんですが(笑)」 などとは積極的にからんでいくことで教えてもらっていました。

 また、「うーん。こういう処理してみたいんだけどできないかな」 と思ったら、すぐにGoogleで検索するということをしていました。この繰り返しでExcelもPPTもかなり詳しくなることができました。人に聞くときは最低でも「ググった上での カ●」の状態で聞くようにしていました(笑)

 与えられたフィードバックを無題にしない、ですが、僕は、指摘を受けた点はExcel にチェックリストとして記入して、成果物を作成して提出する際に見直す時に使っていました。リストに従って見直しすることでミスは大分防げます。また、それ以上に、指摘を受けた内容を見る頻度を増やすことが良かったと思っています。単純な理屈ですが、見る頻度が増えればそれだけ記憶としても定着し習慣化します

自走性・率先性

 自走性・率先性に関しても、やはり先輩社員といる時間が増えると自然と身にについてくるように思えます。

 「できる社員」は、誰もやっていない空白の領域を、自分から埋めに行きます。

 そうした様子を間近で見ていると、自然と「ああ、自分もこう動けばいいのか」 と理解することができます。

 理解できたとしても、時間がなくて率先して仕事を取りにいけない、という場合もあるかと思います。その場合は、まずは上述の基礎的なスキルの習熟をおさえながら、次から説明する「業務時間における時間の使い方」を参考にしてもらえればと思います。

業務時間における時間の使い方

 次に、業務時間にどう動いていたか、方も見ていきます。

 以下の①~④ができるようになることが望ましいですが、実際に、この順序でしかできるようにならないと思います。

① 作業を納期・品質など期待水準以上で完遂できる
② 成果物をより良くするための提案・改善の実施ができる
③ 工数が不足・未着手などの領域について率先して取り組める
④ (クライアントとのディスカッションやMTGのリードができる)

 上記を着実に達成していくために、掲げていた方針は以下になります:

ひとつひとつの作業を 猛烈なスピードで終わらせる
「50点でもいいから早く出せ」 の実践
納期 と アウトプットイメージは常に確認
余った時間でPJ全体やチームの課題や状況の把握、ITや業務の知識の習得に努める
作業中の疑問点は 紙に書きなぐることで作業スピードは落とさない
「誰に何を聞くべきかわかっている」 状態をつくった
人にどう動いてもらうかを常に意識していた

ひとつひとつの作業を 猛烈なスピードで終わらせる

 たまにマルチタスクを頑張ろうとする人がいますが、僕は目の前の作業に全力取り組むことにしていました。作業の時間は作業の時間と割り切って、猛烈なスピードで一つ一つのタスクを終わらせることにしていました。これを支えてくれたのが、既に延べたEXCELやPPTの操作方法、フォルダの切り分けやエイリアスからのフォルダ呼び出し、辞書登録などのテクニカルかつジェネラルなスキル群です。

 また、今やってることに加えて他のタスクを振られたとしても断っていました。

 「今はこれをやっていますけど、どちらを優先しますか?」

 と明示的に確認することで、複数のタスクに着手して、どのタスクも追われない、という新人のよくやりがちなミスを回避していました。

「50点でもいいから早く出せ」 の実践

 どんどんタスクはふってきますので、「50点でもいいから早く出す」ことも意識していました。

(参考:岩瀬大輔さん の 『入社1年目の教科書』)

これは2つの意味で非常に有効です。

①: 100点を目指して時間をかけて出してから間違えるよりも、50点=途中の状態でもいいから出してみて、自分の作業が成果物の方向性として間違っていないのかを確認したほうが効率が良いです。

②: また、指示者もアウトプットイメージを明確にイメージできていないことがあります。指示が比較的 明確な場合でも、完成仕切ってから出すよりも、「仕掛り」の状態で出して、再度確認するほうが効率が良いです。

 こういう意味で、クオリティを軽視していたわけではありませんが、どちらかというと納期のほうを重要視していたように思います。

納期 と アウトプットイメージを徹底的に確認

 コンサルティング・ファームは、結構指示が曖昧であることが多いように思いますが(これはまたどこかで書こうと思います)、僕の場合は、声をかけられるときは、常に身構えていて、納期 と 最終アウトプットイメージまでの確認は必ず行っていました。(気を抜いてると、「じゃあ、オレちょっと次のミーティングあるから~」 と指示者がその場からいなくなってしまうことがある)

このような状況における、新卒・中途入社の人が犯しがちなミスは

① 「悶々と一人で考えこみ時間を浪費する」

② 「自分の理解で資料を仕上げて後でダメ出しを食らう」

 ですが、僕は 納期 と 最終アウトプットイメージは、必ず明確に掘り下げていました。このスタイルでも、品質と納期の期待値を常に超えていれば、「ああ、コイツはこういうコミュニケーションなら、納期通りに問題なくやってくれるから時間を割いてあげるか」 ということにもなります。 

余った時間でPJ全体やチームの課題や状況の把握、ITや業務の知識の習得に努めた

 納期とアウトプットイメージをしっかりと確認したうえで、かつ、作業スピードが相当早ければ、アナリストに求められるレベルの作業は時間内に終わることもあります。

 アサインした直後は、余った時間で、過去の資料の読み込みなどをして、PJT全体やチームの立ち位置の理解に努めました。また、過去資料の読み込みは、PJTアサイン後 の 最初の一週間は、常駐先のオフィス近くの喫茶店に1時間早く立ち寄って、そこで出社するまでは、過去資料を読み込むということをやっていました。

作業中の疑問点は 紙に書きなぐることで作業スピードは落とさない

 また、なにかスライドや資料をつくったりしていると、疑問は山のように湧いてきますので(前提知識が無いものが多いので)、それらは思いつくたびに紙に書きなぐっていました。

 PCではなく紙に書いていた理由は、作業をしているPPTやExcelの画面から、メモをする別のアプリに画面を切り替えるのが時間としてもったいないですし、画面を変えてしまうと脳の短期記憶が飛んでしまい集中が途切れてしまうからです。結果、後で自分が分かる程度のメモをザーッとかいておき、一日が終わる前ごろになるとそのメモを見返したながら 「これは●●さんに今度、ランチに行ってる際にでも聞いてみよう」などど、聞く人とタイミングをイメージしていました。

 こうした行為を繰り返していると、上級職も「コイツ、こいつキャッチアップが異常に早いな」 とか 「アサインされてから早々に話についてこれてるな」 など感じられる機会が増え、注目されるようになります。

(これはアクセンチュアだからどうだ、ということでもなく、貴重な戦力に対して目をかけるというのはどこでも同じだと思います)

人間関係の構築にも努めた

 早々に評価が上がると、リリース(PJTから外される)リスクも大幅に減り、マネージャーや上級職もランチに早々にランチに誘ってくれたり、飲みに誘ってくれるようになり始めます。また飲み会に参加すれば、知り合いが増えます。知り合いが増えれば、困ったときに相談できる人が増えます。

 そうして、知り合いが増えてくると、「この領域の質問はAさんにしか聞けないな。 汎用的なことはBさんやその他の人に聞こう」 など頭の中で、領域別に詳しい人および相談するべき人のマッピングが出来あがってきます。

「誰に何を聞くべきかわかっている」 状態をつくった

 上記のようなマッピングが頭の中に出来上がっていると、

・領域別に質問すべき人がわかる
・忙しそうであれば、他の人に聞けばいい という配慮が可能になる
・自分にとっても心の余裕ができる
・同じ人に何度も聞く頻度が下がるため、心象がよくなる

などのメリットが生じます。

 最終的には、初のPJTにて配属 3ヶ月で工場の常駐 リードになることができましたが、しかしながら、はっきり言ってSAPも 業務知見についても ド素人だったと思います。

 そんな僕でもなぜ、なんとか、日々発生する 課題を切り分けて対処法を定義し立案し実行できていたか、というと、ベンダーの方も含めて、他の人からの相当な協力していただけたからです。

 僕の務めていた役割は、現状発生している複数の課題を洗い出し、ビジネス・インパクト(重要性) や 解決可能性(時間軸など)、その前提と体の問題の構造 を明確化し、どれから対処していくかを工場内でもどれから対応していくかを判断し指示したり、明確に本部に報告することでした。

 おそらく、この問題の整理能力 という点に関してはPJT内でも相当高かったように思いますが、ITや業務の知見が無いとそもそも問題の構造的な原因を理解することもできません。その意味で、相当な回数の質問を地方の工場から、本部のエキスパートたちにさせてもらうことになりましたが、聞かれる相手の負担も分散させることで心象も損ねずに他の人にも聞けるという意味では 「誰に何を聞くべきかわかっている」 というのは効率的に情報をキャッチアップする上で非常に機能したように思います。

人にどう動いてもらうかを常に意識した

 最後に、「人にどう動いてもらうかを意識していた」 という点について話します。

 僕は、初のPJTにて配属 3ヶ月で工場の常駐 リードになることができました。これはアクセンチュアという会社の中でも滅多に無いアサインだと思っています。

 しかしながら、ポジションは上がっても、自分の知識は追いついていないのでわからないことだらけです。

 自分がわからないことがだらけで、時間が差し迫っている場合になにができるか?人に動いてもらうしかありません。

 もともとそうでしたが、工場の常駐 リードをするようになってから、更に僕はどう 「人に動いてもらうか」を考えることがおおくなりました。最後に僕が、人に動いてもらうことを考えていた際によく使っていたフレームワークを紹介します。

人にどう動いてもらう方法をおさえている方法論=MEAT

MEATは次の頭文字からなります:

M:Merit、メリット。具体的なメリットを挙げることで人を動かす
E:Emotion、感情。感情に訴えかけて共感してもらい動いてもらう。
A:Authority、権威。上位者や権力を持つ人間の威光を借りて動いてもらう
T:Threat、脅威。実行しない場合は、実質的な脅威を訴えて動いてもらう

具体例を以下に示します:

・M、メリット:●●さんにとっても、これ先にやったほうが手戻りがないと思いますよ。

・E、感情: クライアントのビジネスを成功させるために、ぜひともやりましょうよ

・A、権威: クライアントや上司の威光を使う。●●さんも言ってましたけど~

・T、脅威: クライアントとの契約上もそうだし、そうなったら●●さんもまずいですよね?

 もちろん、具体例はその時々やお話させてもらう相手によって変わりますし、特に、Threat 脅威を頻繁に振りかざす人は好まれないでしょう。とはいえ、こうした注意点を踏まえて使えば、短時間で人に動いてもらう言い方の選択肢をざざっと頭の中で洗い出す上では、非常に協力なツールだと思います。

 また、その他にも基本的ですが、メール、電話、チャット、全てで以下のようなポイントはおさえていました。

・結論ファースト
・構造的な情報整理
・ビジネス・インパクトも意識

まとめ

 入社4ヶ月で、クライアントの執行役員やIT部門の部長や工場長とやりとりすることができ、かつ、入社半年で昇格できたのは、今まで上記してきたような徹底的なOSの底上げと、アプリとしては、必要な知識を誰に聞けば良いのかわかっていたこと、そして、効果的に人に動いてもらう上でのコミュニケーションの仕方を抑えていたことが大きかったと思っています。

 総合コンサルティング・ファームに行って短期間で成果を上げたい方や、キャッチアップ力を身に着けたい方、その他 一般的なビジネススキルを高めたい若手の方などなどに参考になれば幸いです。

 今後も、具体的で、面白く、皆様の参考になるような記事を発信していきたいと思っています。

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