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山本健『ヨーロッパ冷戦史』(ちくま新書、2021年)

今からもう12年も前のことになりますが、日本国際政治学会が学会設立50周年を記念して、全四巻の「日本の国際政治学」というシリーズの本を刊行しました。私は、第四巻の編集を担当して、「歴史の中の国際政治」というテーマで、組むことに。そうそうたる方々にご執筆を頂きましたが、そこで最年少でLSEで博士号を取得して帰国された山本健さんに、「ヨーロッパ冷戦史」というタイトルで、一章を書いて頂きました。


英仏独のアーカイブを使い、冷戦史と欧州統合史の最先端の研究を行っていた山本さんこそが、これからの日本でのヨーロッパ国際政治史研究を牽引すると考えて、ご提案をさせて頂き、皆さんにご了承を頂きお書き頂いた内容が、素晴らしいものでした。


今回、それから12年ほどが経過して、同じタイトルで、しかしながらこの12年間の山本さんの研究者としてのさらなる充実を証明するかのように、510ページ!という新書にあるまじき分厚い一冊として、充実した内容で読みやすい最新で最先端のヨーロッパ冷戦史の通史を書かれました。心から尊敬します。一人の人が、通史を書くということは、とても勇気がいることです。でも共著の本にはない、全体的な統一的フレームワークや、一貫したストーリーという、読者にはとても有り難い仕上がりとなっているはずです。


大学での教育や事務もお忙しいなかかと思いますが、これだけの内容を仕上げる体力と気力にも敬服します。これからゆっくりと、内容を堪能をさせて頂き、またゼミでもぜひ活用したいと思っています。

(2021年2月14日記)

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