ばあちゃんが 紅さした

ばあちゃんちにいったら ばあちゃんのようすがへんだった
「ばあちゃん なんか くちびるまっかだよ」
「ほんとだ なにしたの」
ばあちゃんは いった
「あんだだぢくっから 紅さしてみだの」
こえ ふるわして 
こたつの うえの まずいおやつに め おとして
わらうこと ひとつ じょうずにできない 志う子さん
どんなきもちで かがみのまえに すわり
砥粉色した ほしがきみたいな そのかおを みつめ 
くちびるとも わからないような うすいうすい その ひふに
紅をさしたのでしょうか
いまとなっては それを きくことはできないが
貴女の そのこういが わたしのハートを うちぬいたということは
正真正銘 まごうことなき じじつなのであります