音が聞こえた

 和室が自分の部屋だった中学生の頃、家にはマルチーズがいた、名前はレオ。
 キィッと部屋のとびらが開いてカッカッカッカッカッと畳をこする爪の音が聞こえると、どんな時でも眠っていてもレオが部屋に勝手に入ってきたな、ということがわかった。
 今日、夢の中であの音が聞こえた。
 寝ぼけたまま、レオを抱き上げベッドに乗せてからだをなでた。レオは体毛が絡まりあっていて、触り心地は決してよいものではなかった、でもおなかがほよほよしていて温かくってそれが好きだった。
 姿は見えなかったけど、確かにあの音が聞こえてのひらにあの感触があった。
 そんな始まりの今日いつものように仕事に集中できないまま夢の話を書いている。