『トマスによる福音書』⑦~⑨


イエスは言った。
「大事だなと思ったこと以外は遠慮なく捨てていいんだよ。だから何でも俺に聞いてよ。
たとえばの話だけどさ、腕のいい漁師は網にたくさん引っかかった魚の中から、大きくて良い魚だけ選んで、ほかの小魚たちは逃がしてやるそうだよ。
頭いいよね。これが実は一番効率がいいって分かってるんだよね。
だからさ、聞きたいことがあったらじゃんじゃん聞いてね。」


イエスが言った。
「おっ見ろよ。種まきが出ていったぞ。あんなに種をポロポロこぼしていいのかね。
道に落ちた種はどうなるかって?鳥たちが食べてくれるよ。
岩に落ちたら?うーん根が張らないから芽なんか出ないだろうね。
茨に落ちたら?茨に塞がれちゃうけどきっと虫たちが食べてくれるだろうね。
よく肥えた土に落ちたら?それはきっといい実がなるだろうね。何十倍にもなってね・・・。そりゃ、じゃんじゃん聞いてねとは言ったけどさ。さっきから何を聞いてるんだい。」


イエスが言った。
「おっとどうやら俺は世間というものに火をつけてしまったようだ。見てみなよ、炎上してるぜ。

せいぜい見守ってやらないとな。」

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