『トマスによる福音書』④~⑥


イエスは言った。
「目の前にあるものをよく見てみなよ。
何があなたの眼をくらましているのか、すぐに分かるはずだ。
なぜかって?『目くらまし』というものはいつも目の前にあるからさ。」


弟子たちがイエスに尋ねてこう言った。
「断食した方がいいですか。
どのように祈ればいいでしょうか。
また施し物はどのくらい人に与えるべきですか。
どんな決まり事を守るべきでしょうか。」
イエスは答えた。
「おいおい、正直になれよ。
なにも自分を痛めつけるためにやるんじゃないんだって。
本当のことから目を背けないためにやるんだ。目を背けないことが大事なんだよ。
自分に嘘をつき続けたって何も残らないぞ。」


イエスは言った。
「性欲?うーん、性欲ね。
ライオンみたいだよね。うん、ちゃんと手なずければいいんだよ。
食欲と一緒さ。きちんと敬意を払って消化すること。性欲を目の敵にすることないよ。
だけどさ、逆に性欲に食われちゃった人間っているじゃん。あれは惨めだよねえ。
ほんとにライオンみたいだよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?