『トマスによる福音書』序~③


これはイエスが生きていたときに語っていた、ナイショの話だ。
ディディモ・ユダ・トマスっていう人が書き残してくれた。
イエスはこう言ったそうだ。
「これから言うことを理解できたら、死ぬことなんて怖くないよ。」


イエスは言った。
「(真実を)探し求めている人がいたら、それが見つかるまで決して邪魔をしてはいけないよ。見つけたら彼はアッと驚くことだろう。世界はこのようである。自分とはこのようであるとね。彼はもはや何物にも惑わされることはなくなるだろう。」


イエスは言った。
「もし君たちの先生が『見てみなさい。真実は天にあるんだよ』と言ったとしよう。それなら空を飛ぶ鳥が君たちより先に真実を見つけるはずだろ。『いやいや、真実は海にあるんだよ』と言ったとしたらだ。やっぱりそれなら魚が先に真実を見つけてしまうだろう。そうじゃなくて。真実はどこかにあるんじゃなくて、いつも君たちの真っ只中にあるんだよ。真実はいつでも自分の『中から外へ』開かれていくんだ。まず自分自身を知ることができれば、自分こそが君たちのいちばんの良き理解者だったということに気がつくはずだ。君たち自身が、真実という名の親を持っているんだから。逆にね、自分自身を理解しようとしないなら、『親に駄々をこねる子ども』のようになってしまうよ。そんなただ喚き散らしているだけの人間になりたいかい?」


イエスは言った。
「日々暮らしているご老人たちは、生後間もない赤ちゃんからも『いのちとはなにか』を素直に教わるんだよ。それが生きる力になるからね。みるみる若返るでしょ。なぜだと思う?みんな同じいのちだ、いのちに本来年齢は関係ないって分かるからだよ。人生は一方通行じゃないんだよ。」

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