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人生を始めることにした。 / Nonda創業エントリ

人生を始めることにした。

23年前、私は九州にある小さな酒蔵の家に生まれました。

数代に亘って続いてきた家業は兄が継ぐことになりそうだったので、
自由な進路選択を許された私は、薬剤師にでもなって安定した人生を送るつもりでした。

まさか創業エントリを書く日が来るとは、夢にも思っていませんでした。

気ままな人生を送っていた大学生の私に、ある日突然、転機が訪れました。
学生インターンとして働いていた会社の代表(@ryo_nagata_)から、退職祝いとして本を貰ったのです。

『暇と退屈の倫理学 』
なんだか小難しそうなタイトルだったので、数ページめくって、そっと本棚にしまいました。

半年ほど経ったある日、こんな言葉を耳にします。

「人間には2つの人生がある。そもそも1つしか無いと気付いたとき、2つ目が始まる」

この言葉を聞いた私は、
「人生は有限であるにもかかわらず、多くの人はその事実に向き合わず日々を消費している。我々は人生が有限であることを自覚し、消費から解脱した自由な人生を取り戻すべきだ」という主張だと解釈しました。

たしか似たような論調だったという淡い記憶から、完全にインテリアと化していた『暇と退屈の倫理学』を開くと、半年前は気付かなかった、永田さんからのメッセージを見つけました。そのままの勢いで読了し、

ブックカバーで綺麗に隠れる場所

この日、人生を始めることにしました。
もう始まっている人生に対して「始めることにした」と表現するのはいささか不自然に感じられますが、人生が有限であることを深く自覚したこの日から、私の人生が始まったのです。

では、限りある人生で達成したいことは何か。
Nondaの企てを通じて、少しだけお話します。

Nondaのある1日

『スープのある1日』という伝説の企画書をご存知でしょうか。
スープストックを起案した遠山正道氏による物語形式の企画書です。その内容は、スープをめぐる具体的なシーンからお店や会社の将来の在り方まで多岐にわたり、企画が実現した未来のことを、さらに先の未来から振り返って過去形で書かれています。

ここでは、『スープのある1日』の物語形式に倣って、Nondaの企てについてお話します。『スープのある1日』のクオリティには遠く及ばない駄文となったこと、あらかじめご容赦ください。


  1. プロローグ

  2. PR大使とリターン

  3. マーケットプレイス

  4. お酒業界のVertical SaaS

  5. Nondaが目指す世界

1. プロローグ

京都のIT企業に勤める赤井は、グルメが趣味で、最近は飲食店開拓に夢中だ。この日は会社帰りに同僚の白川と日本酒バルを訪れた。店内は外国人観光客と馴染みのお客さんらしき人たちで賑わっている。壁面には数十種類の日本酒がずらりと並び、お酒好きには堪らない光景だ。

二人は、メニューとNondaを見比べながらお酒を選ぶ。メニューを眺めるだけでは好みの味か分からないが、Nondaには日本酒・ワイン・ビールなどお酒全般のレビューが集まっており、お酒選びの頼もしいパートナーになってくれる。
(→お酒全般のレビューアプリ)

ほどなくして店員さんが、注文したお酒と一緒に酒瓶を運んできてくれた。飲んだお酒の写真をコレクションしている赤井には嬉しいサービスだ。夏らしい爽やかなデザインのラベルが素敵で、早速写真を撮ってNondaに投稿した。友人ばかりのInstagramに感想を投稿するのは格好つけているようで少々気が引けるが、Nondaにはお酒好きが集まっているので思う存分記録できる。
(→飲んだお酒の記録)

投稿にいいねやコメントがつくのも嬉しいポイントだ。映画レビューサービス『Filmarks』のお酒版とでも言えようか、あるいはコスメ・美容口コミサービス『Lips』のお酒版かもしれない。とにかく、Nondaはお酒好きが集まるレビューサービスなのだ。
(→バーティカルメディア、コミュニティ)

一方、同僚の白川は、注文したお酒を飲みながらレビューを読んでいた。
お酒を飲むこと自体は好きだが、味の違いがイマイチ分からず、それっぽい感想を言えないのが最近の悩みだ。飲みながら「なるほど、たしかにフルーティーな気がする」などと呟いている。
(→お酒の知識を深めたい「見る専」ユーザー)

知識の多寡によらず、お酒を選び・飲み・語る時間を楽しめることがNondaの醍醐味だ。

今ではすっかり「お酒のレビューサービス」が世間に定着しているが、サービス開始当初は、国内に代表的なプレイヤーはほぼいなかった。世界に目を向けると、ビールのレビューサービス『Untappd』は1,000万人以上、ワインのレビューサービス(かつマーケットプレイス)『Vivino』は5,000万人以上のユーザーを有していたにもかかわらず、だ。
(→国内外のプレイヤー)

2. PR大使とリターン

Vertical SNSが下火の時代、なぜNondaには多くのユーザーが集まっているのだろう。聞くところによると、Nondaには、一般ユーザーがメーカーのPR大使としてレビューを投稿する代わりに、リターン(報酬)を受け取る機能があるらしい。流れはこうだ。

  1. 各メーカーが販促強化したい銘柄とリターンを設定

  2. ユーザーは、PR大使としてレビューを投稿

  3. メーカーの提示条件(投稿数や銘柄カバー率)をクリアしたユーザーがリターン獲得

クラウドファンディングのリターンに近い仕組みだ。メーカーは魅力的なリターンを設定すればするほどユーザーに選ばれるようになり、ユーザーはお酒を飲めば飲むほど得するようになる。PR大使と言っても、嘘をつく必要はない。正直なレビュー自体がプラットフォームにとって価値であり、また、実際に購買していることがメーカーにとって価値であるためだ。
(→メーカー/ユーザー/プラットフォームにとって三方よし)

3. マーケットプレイス

Nondaはマーケットプレイスの役割も果たす。1年間で最も盛り上がるのは父の日だ。クラフトビール飲み比べセットは、ギフトランキングで常に上位にランクインする人気ぶりである。お酒選びに自信がない20代の若者でも、外さない銘柄を選べると評判らしい。
(→贈り物需要、センスの良いお酒がすぐに見つかる)

ワインの定期便も人気サービスだ。20,000円/月のサブスクリプションで、毎月決まった日に3~4本のワインが届く。ソムリエが厳選したワインは美味しさに定評があり、特に30代〜50代の夫婦に支持されている。
(→ワインの定期便)

4. お酒業界のVertical SaaS

当初はC向けサービスとして展開していたNondaだが、最近はメーカー向けサービス「Nonda for business」にも力を入れている。Nondaのデータベースを活用し、メーカーが効果的にユーザーにアプローチするためのマーケティングツールだ。莫大な資金力や高度な知識がなくとも、自社のブランド価値を魅力的に訴求できる優れものらしい。
(→メーカーのマーケティング支援)

5. Nondaが目指す世界

・知識の多寡によらず、お酒を選び・飲み・語る時間を楽しめること
・造り手が訴求したい価値を伝えられる場であること
・プラットフォームにいる全員の「できない」を「できる」に変えること

このような構想をもとに生まれたサービスが「お酒のレビューアプリ Nonda」であるが、単にお酒関連の事業をやるために創業した会社ではない。

最も重要で、達成したいことは
「世界中のコミュニケーションをシームレスにすること」である。

世界には、自分が感じたことや胸に秘めた想いを上手く表現できず、損をしている人が多すぎる。例えば、コミュニケーション能力が足りず家族や友人と良好な関係を保てない人がいたり、物づくりに対する熱量はトップレベルなのに、お客さんに価値訴求する方法がわからない作り手がいたりするだろう。

前者には、日本のケータイ文化がemojiという概念を発明し、感情表現が苦手な人が自分の想いを上手く表現できるようになった。 後者には、ShopifyがD2Cプラットフォームを提供し、誰でも簡単に自社製品の価値を訴求できるようになった。サービスや会社は必ず終わりを迎えるが、emojiやD2Cプラットフォームといった概念は別サービスとして世界に残り続ける。

Nondaは、世界中のコミュニケーションをシームレスにする"仕組み”をつくるために存在する。


終わりに -正式リリースのお知らせ-

最後までご覧いただきありがとうございます。
Nondaの石蔵(@yui_ishikura)です。

先日、お酒のレビューアプリ「Nonda(ノンダ)」のベータ版をリリースしました。テストユーザーとして数百人の方にお申込みいただき、多くのフィードバックが集まりました。本当にありがとうございました!

そして、
この度「Nonda(ノンダ)」を正式リリースすることになりました。

…とは言っても、現時点では、プロローグさえ達成していない未完成なサービスです。

これから長い年月をかけ、愛されるサービスに育てていきますので、少しでも興味を持ってくださった方は是非ダウンロードしてみてください!



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