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将棋めしとおやつの旅・大阪市福島区(番外編)サンライズ出雲

 タイトルに偽り有りだ。将棋めしとおやつは出てこない。さあ、閉じてくださいな。
 深夜0時33分発の寝台特急に乗って、そこから飲食だなんて無理である。もたれやすい年頃なのだ。

 かくして、私は大阪駅の改札を颯爽と抜けた…つもりで阻まれた。乗車券だけでなく特急券まで入れてしまい、ゲートが閉じられたのだ。完全に舞い上がっている。
 この時間、女流Abemaトーナメントも最終盤であるが、私の旅もそうだ。サンライズ出雲は完璧なフィナーレに相応しい。たとえB寝台でも。

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 それにしてもホームに上がるまで、本当に11番線で良いのかとても不安だった。何故ならそこには「福井・金沢・富山方面」という案内表示。東京に帰りたいのに「東京方面」と書かれていない。アナウンスを聞いて初めてホッとした。

 列車がホームに入ってくる時はホームのみんな(にわか鉄子なのに仲間のような気分になっている)で揃ってカメラを構えてお出迎えである。そのくらい、この列車に乗ることは特別なのだ、きっと。

 さて、ここから先の動画はおいおい上げる。入線、車内、自分なりに撮った。
 興奮していたのと、買い替えたiPhoneに慣れてなかったせいで、自分の指や鏡に映る姿、窓ガラスに映るカメラレンズまで撮っていた。他の乗客の方々もところどころ入ってしまっている。
 YouTubeに動画を上げるだけでもやっとなのに、編集まで学ばなければならなくなるとは。
 鉄道系YouTuberの方々を尊敬する。歩きながら撮り、列車に揺れながら撮る。それは相当難しい技である。
 自分の撮った動画は画面の揺れで酔いそうだ。編集が終わり次第掲載する予定なので、不健康な画面酔いダイエット用にでもご利用いただきたいが、いつになるやら、そもそも着手できるのかも怪しいものである。

 では、B寝台シングル個室に入ってみよう。7号車の26号、2階の個室である。

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 消毒済の紙を巻かれたプラスチックカップがぽつねんと。

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 幅の狭いベッドは頭の側に茶色のフカフカしたものが貼ってあり、揺れで頭をぶつけても安心である。
 窓辺には物をおいても落ちにくいように窪みをつけてある。
 湾曲している窓は、2階だから。景色が見えやすいように2階を指定したのだが、窓に当たった雨が流れるのが見える。寝転がってみても当然星は見えない。残念だ。

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 足側には毛布と枕と寝巻。毛布はカバーの片側が袋のようになっていて、ペラペラめくれる方を足側にすると寝やすい。

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足元にゴミ袋1枚、スリッパ。

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 個室に入って右手、荷物置台の上の方にハンガー。

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 足側にテーブル。鏡の横にコンセント。この、足側にコンセントというのがどうも使いづらい。長いケーブルがあれば充電しながら横になってスマホを見られる。

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 頭側の壁にラジオと時計。

 寝巻と表記したのは、パジャマではなく、浴衣でもないからだ。襟付きの浴衣みたいな感じである。帯はよく伸びるゴム。
 寝巻を着る前に撮っておこうと半裸になってから思いつき、撮影しはじめたところに検札が来てしまって、慌てて着る羽目に。
 検札が来ることなどわかっていたのにうっかりしていた。それまでは荷物の片づけやスマホの充電くらいにしておいて、決して服を脱がないことが角の効きの確認と同じくらい大切だと痛感した。
 もちろん車掌さんは勝手に戸を開けたりしないが、車内はそれなりに走行音がしているので「着替えてるんでちょっと待ってください!」を3度言ってやっとわかってもらえた。
 シングルの車両にはモーターはついていないそうで、ソロ、ノビノビ座席だったらもっと音がするとのこと。それでも夜行バスよりは良いのではないだろうか。 

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 個室の壁に貼られていた車内案内。
 3号車・10号車のシャワー室にも興味があったが、ホテルで風呂は済ませているし、この時間ではシャワーカードは売り切れているだろう。
 だいたい、既に寝巻になってしまっているので、車内をフラフラと歩き回るのは憚られる。大失敗だ。
 それでも同じ号車の1階個室廊下を歩いたり、洗面台で歯磨きをしたり、トイレで用を足したりの外出はした。

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トイレは、残念なことに清潔ではないところもあった。用を足す男性の方、揺れの中では立ってなさらないでいただけないだろうか。的が外れたのか池ができていたし、池には小銭が数枚落ちていた。寺の池と間違えて投げ入れるほど酔っていたのだろうか。

 時間が時間なので寝た方が良いのだろうが、マップの点が進むのを見ているのが楽しくて眠れない。

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 揺れのせいか古い方のiPhoneで撮ったせいか不明だがブレている。
 マップをずっと眺めていたいくらいだが、いかんせん酔う。横だけでなく、縦の揺れも強く感じるのは2階だからだろうか。

 翌日(正しくは今日)のために寝なければならないと思い、常夜灯だけつけてみたり消してみたり色々試して結局真っ暗にした。揺れ心地を楽しみながら寝るのだ。
 行きの夜行バスに比べたら100倍くらい楽である。値段は5倍くらいだから、20倍のコスパだということだ。なんとお得なのだろう。算数は苦手だから間違っているかもしれない。

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 1時44分。米原駅だと後から知った。客の乗り降りのためではなく乗務員交代などの理由で停まる運転停車。

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 3時19分。豊橋に停まっていた。こちらも運転停車。
 ちょうど駅名がわかる位置でラッキーだった。振動のせいか、停車のせいか、こんな時間に目が覚めてしまうとは。
 それがむしろ嬉しいだなんて、にわか鉄子は完全にのぼせ上がっている。

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 5時27分。沼津辺りである。目が覚めて慌ててシャッターを切ったり動画を撮ったり。忙しいが楽し過ぎる。(個人の感想です)

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 5時44分。熱海駅らしい。ここはもう運転停車ではない。乗客は逆側のホームから降りているのだろうか。
 寝巻姿では見に行くことができないし、正直眠い。
 しかし、ここから先、終点まで安らかになってしまうと、うっかり寝間着姿で東京駅のホームに降り立ってしまう危険があるため、気を引き締めてかからなければならない。

 出雲の車窓から。6時25分ごろである。車内アナウンスが旅の終わりを感じさせる。それは、暗に「起きるのだ!絶対にこれから深い眠りに落ちるのではないぞ」と警告してくれているようだ。益々緊張する。そろそろ着替えて化粧をしなければならない。
 窓にiPhoneを立てかけて撮りっぱなしにしながら身支度をした。後から確認した動画は、朝6時台という早い時間であるが、横浜駅、品川駅のホームにちらほらと人の姿があり、まるで隠し撮りをしていたかのような申し訳ない気分になってしまったのでここには載せられない。
 
 大阪からの6時間ちょっと、寝ていたのか起きていたのかもわからないまま東京に着いてしまった。あっけないものだ。でも、つかの間の鉄道旅気分の自己満足度メーターは振り切っている。

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 次に乗るチャンスは、JT杯高松大会の帰り。高松からなら10時間近く乗れるのだ。それだけ時間があれば、将棋めしかうどんかはわからないが、車内で飲み食いも楽しめる。シャワーカード争奪戦にも加われそうだし、弱すぎるドライヤーの風に舌打ちしたりもできそうだ。

 来年はコロナが落ち着いてほしいし、木村九段がJT杯の出場棋士になってくれたらとても嬉しい。なってくれなきゃ嫌だ。
 私はというと、来年こそ、いや、今すぐに、木村九段関連の対局やイベントその他諸々において、著しくクジに弱い己を克服するつもりである。

(終)






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