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将棋めしとおやつの旅・神奈川~愛知(10)カフェ ジャンシアーヌ・その1

 名古屋駅の新幹線ホームを眺めることのできる格安の宿で朝を迎えた。
 にわか鉄子は700系に乗って博多に行ってしまいたい衝動に駆られたが、今日も朝から将棋めしとおやつに関する予定を着々とこなして、家路へと向かう必要がある。

 名古屋と言えばモーニングだ。名古屋の喫茶店では、コーヒーを注文するとトーストと卵料理などがついてくると聞いて驚いたのは15年位前。今では全国に、コメダだ、星乃だ、さかいだ、カメダだなんだと色々なカフェが林立し、すっかり当たり前になってしまった。
 とは言え、本場名古屋でのモーニングは是非とも経験しておきたい。
 カフェは既に決めてある。本年の王位戦第1局のおやつで一躍有名になったぴよりんを提供する店である。
 ただし、王位戦でのおやつは、名古屋マリオットアソシアホテルとのコラボで生まれたぴよりんアイスで時期限定のものだった。
 その元となった生スイーツ、ぴよりんなら今でも手に入る。そのカフェでなら。

 店の名は、カフェ ジャンシアーヌ。JR名古屋駅のコンコース内、新幹線改札の近くにあるという。
 私はこのコンコースと言う場所を、改札内、つまりエキナカと勘違いしていたのだ。東京駅で言えばグランスタ、あの駅弁屋 祭などが並ぶような類の通路じゃないかと。
 入場券を買い、改札に入り、同伴者がSuicaで入場してしまったものだから、窓口で取り消してもらい、入場券を買い直し、新幹線改札に入るなど、ありとあらゆる勘違いを重ねた末、駅員さんにお尋ねすることになった。
 「ぴよりんどこ?」を若干丁寧な言葉で伝え、「この改札を出て右行ってすぐ」と言われたときは崩れ落ちた。

 へとへとで店前の写真を撮ることも忘れてしまったが、席についてモーニングを注文した。小倉トーストである。バターと餡子のハーモニーに舌鼓。

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 なお、この店は私が訪店した5日後にリニューアルオープンして、『ぴよりんSTATION カフェジャンシアーヌ』に変わってしまったため、メニューはがらりと変わってしまった。

 と言う訳で、今となっては役に立たないであろう旧メニューは以下の通り。
 赤い表紙が可愛い。そう言えばソファーや椅子も赤だった。客の回転を良くさせたい店は内装に赤を使って落ち着かないようにすると知り合いのパスタ屋オーナーから聞いたことがあるが、場所が駅だけにそんな意味もあるかもしれない。

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 今ではぴよりんが焼き付けられたトーストとサラダとヨーグルトとドリンクとぴよりん本体がセットになったモーニングプレートがあるそうだ。私はいわゆる普通のモーニングが食べたかったのだから別に悔しくなんかないしね。別に…。

 モーニングに追加で、黄色いのと茶色いのを注文した。
 ぴよりんの店頭販売開始時間は10時、14時、17時の3度と決まっており、もし持ち帰り用で購入するには店の前に並ばなければならないそうだが、食べて帰る場合は販売開始時間より前に入店し、注文だけして提供時間を待てばよい。(2021年11月3日現在) 

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 モニターにどアップで映されているぴよりんを見ながら待つ。ご対面が楽しみである。

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 可愛いではないか。 


 そこへ同伴者の一刺し。てっぺんからとは豪快な。

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 一刀両断。豊島先生の念が届いたのだろうか。なお、これ以上はお見せできない。惨殺という表現が相応しかった。



 続いて私も黄色い鳥を亡きものにした。

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 木村九段が王位を失冠したのは2020年なので、2021年王位戦のおやつであるぴよりんにとっては筋違いとも言えるが、そこはしつこく逆恨んだり八つ当たったりする所存である。

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 三角頭巾の姿になってなお、アカンベーをするとは小癪なひよこだ。さてはひよ音だな、その色からして。(注:ぴよ将棋)

 さて、数々の行儀が悪い振る舞いをご容赦いただきたい。パーツが自由自在に取れるなら自分好みにカスタマイズしたくなる。それが自然な心の動きだ。ただしセンスは問われる。

 では、ぴよりん解剖記録を。
 黄色のノーマルタイプのぴよりんは、優しい味だ。ふわっとしたスポンジの内側にはバニラ味のなめらかなババロア、その下部にはブロック状のプリンが入っている。名古屋コーチンの卵で作られている贅沢なプリンで、弾力がある。
 茶色はトアルコトラジャぴよりんで、中のババロアも茶色いコーヒー味。ほろ苦さと甘みが良いバランスで、ノーマルぴよりんよりも好みだった。茶色はこのカフェでしか買えないとのこと。
 くちばしやトサカなどのパーツはチョコレート。食べたらマジパンでガッカリなんてこともない。最高である。

 このスイーツを作る工程がぴよりんの公式サイトに載っているが、あまりの手間に頭が下がる。なのに、パーツで遊んで申し訳ない。

 こんなに可愛く面白いぴよりんを家族や友達へのお土産にしたい気持ちはあったが、家まで10時間近くかけての生スイーツ持ち帰りは安全ではないため断念した。
 なお、Twitterで#ぴよりんチャレンジを検索すると数多の猛者による持ち帰りの記録を見ることができるので、ぜひご覧いただきたい。

(つづく)


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