秋の夜

RUFUS HARLEYを聞きながら、秋の夜を中央線で駆け抜ける。

何を見てもなんだか懐かしいような気がするのは、ぼくがそれなりに物を見ながら三十年近くを生きてきた証なのかもしれない。

そういえば、モンスターハンターが発売されたようだ。買おうかしら、と思っていたものの、機会を逃してしまった気がしてもう買わないだろうなぁ、と思っている。

だいたいのことはそんなもので、会おうと思ってた人、行こうと思っていたライブ、みようと思っていた映画、「機会」を逸したという言い逃れで惰性で見過ごしてきたものばかりだ。

中央線は神田を出て、今四谷に止まった。

2012年の年末は四谷駅でスポーツのフリーペーパーを配っていたなぁ、と思いながら乗り込んで来る人たちに足を踏まれる。
顔をあげると、白い半袖のワイシャツを着たサラリーマン。
肌寒そうだなぁ、と思いながらとりあえず足を踏み返す、というようなことはせず、再度外を見る。これは、怠惰か、それとも理性か。

暗闇に満ちた街中を走る電車の車窓はうっすらと乗客を浮かび上がらせ、僕の目の前には僕がいる。

耳元で流れるバグパイプの音は、異国を感じさせるようで、なぜか懐かしい。その音にあわせてひびく、赤ん坊の声。一瞬びっくりするが、CDの音だと気付く。

新宿で大量の人間を飲み込んで中央線は走る。

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