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顔の出来物

顔に小さな出来物がある。
そこまで目立つものでは無いけれど、手で触れるとわかる。
少しずつ大きくなってる気もするし、そんなこともないような気もする。
気になってついつい触ってしまうけれど、本当は触らない方がいいんだと思う。
少しずつ少しずつ大きくなっている気がする。

今の職場に勤めて、気づいたら8年近くが経つ。働き始めた頃はなかった人間関係が少しずつできてきた。それは全てが良いものとは言い難いけれど、日々生きる僕の当たり前の存在になっている。
音楽をやる仲間も増えた。増えた結果いなくなった人も増える。結果、好きなものが残ると思ってたけど意外にそんなもんでもなくて、体の傷みたいに残るものと残らないものは不作為で面白いもんだったりする。
家にある服や楽器みたいに好きなものだけ残して生きるってのは意外に難しいのかもしれない。会いたい人に会えるのは奇跡だったりするんだろうか。

今年僕は35歳になる。
子供の頃はなかったホクロや、いつの間にかそれなりに生えるようになった髭なんかも少しずつ身体に馴染んでいく。
この顔の出来物ももしかしたらこのまま僕の中で当たり前の存在になるのかもしれない。
もっともっと大きくなって、死ぬ前には僕のばあちゃんの顔にあったイボみたいになるのかもしれない。
アレもきっと、本当は生まれた時からあるものではなかったのかもね。
生きていくうちに選んだものや選べなかったものが積み重なって、結果死ぬ前に僕は僕になり切るんだろうなと思う。
とりあえずあんまり触らないようにしなくちゃなあ。


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