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映画【野火】感想

【映画「野火」感想】
スクリーンから放たれる狂気にただ圧倒された。日本がフィリピンを侵攻した経緯や戦況に詳しくはない。
でも武器も食料も尽きているのに撤退できないという状況からすると、このときすでに敗北は決まっていたのではないかと思った。撤退を目指して平野を這う日本兵を戦闘機が容赦なく銃撃する、夜襲の光景が脳裏から離れない。

少ない予算でよくここまでのものを作ったと思うと同時に、アクションやグロテスクな表現を見慣れている現代っ子に、この異常さがどこまで伝わるのか?という怖さを感じた。状況を説明するセリフはたぶん意図 的に省かれている。理屈抜きの恐怖を描くために。

しかし誰より私自身が、映画を見ながら「これはあくまで映像だ」と思ってしまった。

私は戦争に反対だけど、有難さだけでは平和を語れないように、恐ろしさだけでは戦争を語れないと思う。
感覚では理解できないほど、私たちは平和に慣れてしまったから。

この先もずっと平和であり続けるためには、戦争が起きる仕組みを理解する必要があるのではないか。

戦争に賛成の人も反対の人も、また意見のない人も、この映画を観て戦争ってなんだろう?と考えてくれることを願ってやまない。