特別で、格別な二夜

はじめに

この文章は、これまでの自分を振り返る記録のために書いたただの自己満足です。想いがあふれすぎててかなり暑苦しい&長文です。感想はすべて自分の独りよがりの独断です。ご了承いただいた上でお読みいただけますと幸いです。

待望の二夜

2023年2月24日と25日。
この日を、待ちわびていた。

出会い

一昨年2021年10月7日。
この日に遡って長い1人語りを始める。
この日を境に、自身の生活が大きく変わることとなった(大袈裟でなく本当に)
近野淳一さんのYouTubeカバー曲チャンネルが、中国語学習仲間のツイートで紹介されていた。
それを何の気なしに見て、直球ど真ん中ストライクに好みな透明感あるその美声に痺れ、一目惚れならぬ一耳惚れ。いつの間にか思いきりハマってしまっていた。
最初はこんなに美しい声なんだから叫ばなくていいのにと思っていたのに、叫んでも美しいことに気づき、むしろもっと叫んでほしい、バンドの音と合わせてほしいと思うようになっていた。
手に入るCDはすべて買いあさり毎日ヘビロテで聞いたり、YouTubeやツイキャスアーカイブの見られるものはすべて見たりし、近野さんや近野さんのバンド鴉のライブに行きたい、生で聞きたいとの気持ちを募らせていった。

同じ年の12月、京都のライブハウスModern Timesでトミタショウゴさん(以下、敬愛の念を込めてトミショーさんと表記)とふらっと♭のぽんちゃんのツーマンライブがあることを知った。
募りに募った「ライブに行ってみたい」欲を満たしたいたがめに、生まれて初めてライブというものに飛び込み(当日予約)で行った。
おふたりのことは「作人さん主催の動画配信フェスcosmofes.21に出ていた人」という以外は何の予備知識もないままだった(めちゃくちゃ失礼)

トミショーさんの第一印象「不思議な独特な声の人やなぁ」
なんだか少し気になる人になり、YouTubeで動画を探しては見るようになった。
トミショーさんにハマる決定打となったのは、磔磔で収録されたトミタショウゴバンドのライブ動画だった。衝撃だった。
なんなんこれ。めちゃくちゃかっこええやん。

※2023年6月27日現在、元あったライブ動画フルバージョンは削除されており、ダイジェストのみ視聴可能なようです

翌2022年1月31日に開催された京都文化芸術会館でのバンドライブ「NEXT TIME」で、生でそのかっこよさを再確認し、以降、京都・大阪開催のトミショーさん出演のライブで行けるものはほぼ全部顔を出すようになった。

ツーマン!?

短期間でハマってしまった近野さんとトミショーさん。
お二人のツーマンライブ「弾き語るハ・ツーマンライブ」が2022年4月2日に名古屋で開催されると告知された時、迷うことなく親子3人分の予約を入れた。

ライブ名はお二人でのツーマンライブが初めてだから「初」と「ツーマン」をかけ合わせて主催者のトミショーさんが名付けたとのことだった。
※共演は以前もしたことはありますが、ツーマンは初

近野さんがライブ前に、ツイキャス「よるのほうそう ガットなカーラジオ」で「トミショーさんがなんでライブ一緒にやろうって俺を誘ってくれたのかよくわかってないんだよね。『突破口』っていうのは名曲だけどさ。いや、いい曲だなんだよ」との趣旨のことをおっしゃっていて、お二人はあまり接点があるわけじゃないのかな?と感じた。

とあるライブの終演後、トミショーさんに近野さんをなぜ誘ったのかを訊ねてみたところ「あんまり知らない人とやるのって楽しいし刺激になるから、積極的にいろんな人に声をかけるようにしてるんです」とおっしゃっていたのも印象的だった。

そして、2022年4月2日。
楽しみにしていたツーマンライブは、開催されなかった。
トミショーさんが新型コロナウイルスに感染してしまい、名古屋のライブはツーマンではなく近野さんのワンマンライブに変更された。
落胆はしたものの、思いを募らせていた近野さんの歌声とギターを、初めて生で聞ける貴重な機会だ。
予定を変更する選択肢は頭に浮かぶ余地もなく、親子3人、名古屋へ向かった。
子供たちも私も、近野さんのライブと名古屋観光を大いに楽しんだ。
でも、ツーマンを聞きたかったなという気持ちはずっと心の隅に残った。

翌々日4月4日に近野さんの埼玉・大宮B +でのワンマンライブ(こちらは元からワンマンだった)に行き、終演後、新しくできたばかりの近野さんのCD「手ぶらでは行けない」の2枚目を買った。
4月2日に買った1枚は自分のため、4月4日の1枚はトミショーさんへのお土産として。
残念ながら今回はツーマン開催ならずだったが、いずれ必ず実現してほしいとの願いを込めて、お土産のCDをトミショーさんに手渡した。

余談だが、トミショーさんがご自身のラジオ番組「Music Paper Driver」でそのCDから1曲かけてくださったときには嬉しすぎて興奮してしまい、近野さんのツイキャスで思わず報告してしまった。
「はて?なんで俺のCDをトミショーさんが持ってるんだ?俺、あげてないはずだぞ?」と近野さんがおっしゃったのには椅子から転げ落ちそうになった。(忘れていらっしゃった模様)

次はいつ?

本題に戻る。
トミショーさんのライブに行き、終演後にツーマンはいつ実現するんですか?と何度か質問するも「なかなかスケジュールが合わなくてねぇ」とのお返事。

その後、近野さんは、
2022年9月25日にアダチケンゴさん、磯山純一さんとのスリーマンライブ「あいこdeショー」で神戸「Ageha Base」
2022年10月10日に大柴広己さんとのツーマンライブ「春闘歌百花RE.」で大阪心斎橋「夜を灯して」
と二度のライブで関西にいらっしゃった。(岡山にも)
いずれも素晴らしいライブだった。
特に、大柴さんとのツーマンは、「とにかくすごい人」と私が常々尊敬している大柴さんとの、大好きなライブハウス「夜を灯して」でのライブでもありめちゃくちゃ楽しかった。
春闘で長年ずっと一緒にツアーをされていたお二人だけあって息の合った、違和感が全くない音が頭に入ってきて耳に馴染む感覚を最初から最後まで楽しんだ。言葉にできないぐらい素敵なライブだった。(なんならあまりにも楽しすぎて帰りたくなくなってしまい、急遽子供と一緒に大阪で1泊してしまったぐらい素晴らしい夜だった)
近野さんが大柴さんの出番の間中ずっと大柴さんのことを凝視されていたのも印象に残った。

そして同時に、コロナ禍もだいぶ落ち着いてきており、関西にもこれだけ来やすくなってるんだし、そろそろ、トミショーさんともやってほしいなぁとの思いも募る一方。

ようやく!

待つこと1年近く。

2023年2月24日名古屋と25日大阪で近野さんとトミショーさんのツーマンライブが開催されると知ったときは飛び上がって喜んだ。

場所は名古屋新栄「sunset BLUE」と大阪谷町四丁目「SKIPPY」
名古屋は昨年のライブ会場だった「Bar Sandees」がライブ営業をやめられてしまったとのことで別のライブハウスで行われることになった。(とても素敵な会場とマスターだっただけに残念)

名古屋はトミショーさんの主催「弾き語る ハ・ツーマンライブ」(昨年の実現しなかったライブ名そのまま同じ)
大阪は近野さんの主催「単身奏デ夜〜縁〜7」

名古屋は私1人で、大阪は子供と私3人での予約を受付開始と同時に入れた。

この日を指折り数えて待つと同時に、ほんのりとした不安な気持ちにも若干かられるようになった。
あんまりお互いのことを知らないというお二人、どんなライブになるんや?

第一夜

2023年2月24日。
ツーマンライブ初日がやってきた。
初めてのツーマン「ハ・ツーマン」がいよいよ実現する。

美味しい名古屋飯を堪能し賀茂鶴でうっすらほろ酔い気分になって会場に到着。
期待と、少しの不安を胸に着席した。

一番手は近野さん。
いつ聞いてもええ声や……叫び声も冴え渡ってるわ……。秋田在住のお方のそうそう生では聞けないお声を生で聞ける幸せを噛み締めた。
「白い金魚」が昔飼っていた金魚に起こった出来事にインスピレーションを得てできたという話が興味深くて帰宅後、子供に話して聞かせてしまった。
(余談:そういえば「すみません。ハイボールお願いします」が今日はなかったな……とチラッと思った。飲んでなかったんかな?)

次はトミショーさん。
いきなり聞いたことのない曲から始まった。
ライブにお客さんがあまり来てくれないことを歌った、なんだか悲哀の篭った、でもどんな状況でも丁寧に歌っていこうという決意を感じさせる曲。新曲?私が聞いたことないだけ?(終演後にトミショーさんに聞いてみようと心にメモしておいた。結果、出来立てほやほやの新曲でした)
それ以降は、耳に馴染んだ温かみのある声が脳に広がっていく感覚に身をゆだねた。
トミショーさん、「近野くんと一緒に歌ってるとよりハイトーンメロディーになっていく、笑」とツイートされてたけど、それもめっちゃ感じた。
(これも余談:息子氏が「トミショーさんの歌声って聞いてるとほっとするねん。めっちゃ安心感がある」と言ってたけどまさしくその通りだと思う今日この頃。叫んでてもそうなの)

そしてアンコール。
セッションくるやろと思ってたら案の定だった。高まる期待と不安。
お二人の声が合わさったらどうなるの?

1曲目は「メロディ(玉置浩二カバー)」
近野さん:ギター&ボーカル、トミショーさん:ハンドマイクでボーカル(これは2日間全てのアンコールでそうだった)
聞いていて頭がついていかず放心状態になってしまった。これは現実なの?
今目の前で起こっていることが本当なのか嘘なのかわからないような感覚に囚われてしまった。
聞いていても聞いていないような。ただほんまなん?夢ちゃうんか?というおかしな感情に支配されたまま終わってしまった。
ボーッとしたまま、ああ、結局なんやようわからんまま終わってしまったと思っていた。

そのとき、客席から「もう1曲ぐらい歌ってほしい!」との声が飛んだ。お二人、目を合わせ、アイコンタクト。歌うか!
まったく予定になかったダブルアンコールで、ステージ上で何を歌うかの打ち合わせ開始。
ギター担当の近野さんの譜面ファイルを二人でめくりながら、これは歌える?これ知らんねんなぁ、これはキーが高すぎるかな?などとと言っているのを聞いていてようやく現実に引き戻された。
こうやって、親しくなってってくれたらええなぁ。
ようやく次の曲が決まった。

2曲目は「異邦人(久保田早紀カバー)」
トミショーさんメインからスタート。途中で近野さんメインにかわり、そこにトミショーさんがハモリを入れた瞬間、脳天を打ち砕かれた。
1曲目だってハモってたはずなのに、そのときには味わえなかった感情。
すごいすごい。めちゃくちゃいい。見事に融和してる。
涙が溢れた。
これや。これが聞きたくて名古屋まで来たんだ。
1年近く、待っててよかった。

終演後、近野さんはトミショーさんの運転する車で京都のトミショーさん宅に行き、お泊まりされると聞いて、翌日の大阪SKIPPYライブへの期待値がぐんと上がった。
名古屋から京都までの車中やトミショーさん宅で、話したりお互いのことを知るうちに、今日とは違う何かが、生まれる気がする。

第二夜

2023年2月25日。
ツーマンライブ2日目。
大阪谷町四丁目SKIPPYは私自身は2021年12月の谷口貴洋さん×今西淳さんのツーマンライブ以来2回目。
近野さんはコロナ前はSKIPPYでよくライブをされていてマスターとも親しく、「SKIPPY」という名曲があるぐらい。コロナ禍で3年ぶりの再訪。

名古屋から乗った新幹線を京都で降り、京都駅にて子供と合流。
そこから3人で大阪へ向かった。
息子は終わっているはずだった定期テストがインフルエンザの学級閉鎖で延期になり、次週に試験があるため試験勉強道具を持参して会場入りした。(後で伏線回収します)

ここではお二人がどんな曲をどんなふうに歌ったかは語らない。
よかった。すごくよかった。

1曲だけ。この曲については述べておく。
近野淳一「SKIPPY」という曲について、彼自身がMCで語ったエピソード。
この曲は、他でも何度か聞いてはいたし、YouTube動画や音源も何度も聞いてはいた。しかしやはり、SKIPPYで歌われてこそ最高な曲だと思った。
近野さん談。
初めて酒を飲んでから歌うことを覚えたのがSKIPPYだった。大柴さんと階下の居酒屋で飲んでべろべろになってから歌って惨敗した。そうして、金輪際、歌う前には酒は飲まないとは……決めなかった。酒を飲んでも飲まれないで歌うことを覚えないといけないと決意した。
その辺は歌詞にも反映されている模様。興味のある方はぜひ。
近野淳一「SKIPPY」

時間はあっという間にすぎてゆき、訪れたアンコールタイム。
アンコールを求める手拍子が始まってすぐに「こんなタイミングでなんやけどトイレ行ってくる」とトミショーさんが出ていってしまった。
ギターを抱えた近野さん、トミショーさんの帰りを待つ間に、昨日トミショーさんとアンコール何を歌うかを相談していて、キーが高すぎて没になった曲をソロで歌うと言い出した。
いきものがかり「SAKURA」
女性ボーカルのハイトーンな曲でも軽々とこなすのは前から知ってはいたが、やっぱりいい。
そこに、トイレから戻ったトミショーさんのハモリが後ろから被さる。最高だ。
今日も、近野さん:ギター&ボーカル、トミショーさん:ハンドマイクでボーカルでのアンコールセッション。
歌ったのは以下3曲。
「メロディー」(玉置浩二カバー)
「ロビンソン」(スピッツカバー)
「糸」(中島みゆきカバー)
昨日は涙が溢れたが今日は涙は出なかった。かわりに、重なり合う声と声があまりに馴染みすぎていて、聞いているうちに頭が痺れるような感覚に襲われ身体中が震え出して、聞きながら頭を抱えてしまった。それぐらい、最高で素晴らしかった。

終演。
いつまでも聞いていたかったが、そうはいかない。
名残惜しいぐらいがちょうどいい。
近野さん、トミショーさん、SKIPPY、ありがとうございました。

SKIPPY

最後の前に一つだけ。(まだ最後ではない)
SKIPPYにはメニュー表というものが存在しない。他のライブハウスにはおそらく必ずあるメニュー表がないのだ。代わりにあるのは、カウンターの前後に所狭しと並べられた酒瓶とビールサーバーのみ。
ドリンクオーダーの際は、自分で何が飲みたいかはっきり主張しないといけない。
息子は最初から「酒場には必ずあるはずで自身も好き」なジンジャーエール(辛口)をオーダー。
娘はリンゴジュースを飲みたいと決めていたが、あいにく店にはなかった。
ソフトドリンクは何がありますか?
マスターは客に訊かれるたびに慣れた早口で同じフレーズ(脳内にあるソフドリメニュー表)を捲し立てる。娘はその中からコーラを選択。
私はハイボールをお願いした。
「ウイスキーいっぱいあるけど、どれでハイボールにします?」意外な返答に、一瞬答えに窮した。確かに、これだけたくさんの酒瓶(選択肢)が並んでいるのだし、客は己の意思で自分の気にいる1本を選び取らねばならないわけだ。
「特に決まったのがなければ角で作りますけど」とマスター。
角は家にもあるし、ここで飲むのはちょっと違う気がした。
スコッチは何がありますか?
マスターは少し困った顔で「スコッチもいっぱいあるから……よく出るのはデュワーズかな」
デュワーズも普段からよく飲んでるしな……飲んだことないのを飲んでみたいと思ったが、それ以上は何も思い浮かばず。
でも、デュワーズにしておいてよかったと後で思った。

本当に美味しかった。
何これ?ほんまに普段から飲み慣れたあのデュワーズなん?
同じ「ハイボール」と名乗っていてもまったく違う。丁寧に作られたハイボールってこんなに美味しいのね。
ゆっくり、味わっていただきました。
その感動を終演後、マスターに素直に伝えたところ「嬉しい言葉をありがとう。これで明日からもがんばれる」とおっしゃってくださった。こちらこそ、とても嬉しかったです。

近野さんのこの一言↓に背中を押され、思い切って子供を連れてSKIPPYに行ってよかった。

特別で、格別な二夜

一年近い熟成期間(?)を経て実現した2日に渡るツーマンライブ。
あの時のたったの1晩ではなく、今、2日間で行われてよかったのではないかと思った。
もしもはないし仮定の話はしない。
徹頭徹尾すばらしく、心の底から行ってよかったと思ったライブは他にもいくつかはある。けれど、この二夜がそんな最高のライブの一つとであり、かつ、今までに行ったどのライブより最も心に残るライブになったことは間違いない。

最後に。
伏線回収の時が来た。
思いの外遅くなってしまい、帰宅を急ごうと谷町四丁目駅までの道を速足で歩いていた。
突然、後ろから「あめちゃ〜ん!」
トミショーさんの叫び声が聞こえた。
振り返ってみると近野さんとトミショーさんがこちらに向かって走って来ているではないか。
何事?何が起こった??
呆然としていたら。
近野さんが息を切らせながら「これ!忘れ物!」
息子に手渡されたのは、SKIPPYで開演前に広げていた試験勉強道具一式。
「おめえら歩くのはえぇんだよ。息切れちゃったじゃん」
肩で息をしながらそう言う近野さんと、横でニコニコ笑うトミショーさんに、何度も頭を下げながらお礼を言い続けた。
なんてええ人らなんや。
最高。(そして本当にごめんなさい)
肩を並べて談笑しながら戻っていくお二人の後ろ姿を見つめながら、込み上げてくる感情。
近野さん、トミショーさん、やっぱり大好きや!
ハ・ツで終わらせずに、また一緒にライブやってほしいです!絶対に行きます!

特別で、格別な二夜でした。
ありがとうございました。

付記:トミショーさんは2日間のセットリストを公開されております。リンクを貼っておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?