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脱・洗脳

現状で満足している人は、もしかすると洗脳されているのかもしれません。
洗脳を解くためには、少しずつでも現状を変えていく必要があります。

コンフィートゾーン

人間は、居心地のいい場所にいようとします。
居心地のよい場所(ポジション)を「コンフィートゾーン」と言うのですが、一度確立したコンフィートゾーンから外れると、精神の不安に襲われます。
具体的には、脈拍が上がり、内臓をコントロールしている自律神経が交感神経優位の緊張状態になります。つまりストレス状態に陥るというわけですね。
春になって、進学したり就職したりすると、今までの環境とは全く違い、不安を感じる人のですが、それは今までのコンフィートゾーンから離れてしまったから。
なので、人間はなるべくコンフィートゾーンを守り、そこから外れることを嫌います。

ただ、コンフィートゾーンに長く浸り、現状に満足するのも危険です。
なぜなら、現状に満足してしまう人は自分から動こうとしなくなり、与えられたもので満足してしまうから。
つまり、情報を与えられるまま信じてしまい、知らず知らずに洗脳されていくのです。

そして、いつの間にかコンフィートゾーンから外されてしまうのですが、洗脳された人間はその状態でも心地いいと思い込んでしまいます。
たとえば満員電車はコンフィートゾーンから外れた状態で全く心地よくないのですが、慣れてしまうと「自分にはこれがお似合いだ」とあきらめ気味で満足してしまうんですね。
洗脳とは、「自分はしょうもない存在だ」と認めさせることから始まるので、これこそ洗脳されている状態です。

ホメオスタシス

なぜ人はあきらめ気味で満足してしまうのか?
それはホメオスタシスという現象が関わっています。

ホメオスタシスとは、環境が変わっても体内の環境を一定に保とうとする身体現象のことです。
例えば、暑いと汗をかきますが、それもホメオスタシスです。
暑くなると体温が上がるのですが、体温が上がれば熱中症になってしまいます。
そこで人体は汗をかくことで体温を調節しようとします。
この体温を一定に保とうとする仕組みこそ、ホメオスタシスなんですね。

そしてホメオスタシスは外的環境だけじゃなく、脳内環境によっても起こります。
例えばイライラしたときつい貧乏ゆすりをしてしまうのですが、これは自律神経を緊張状態の交感神経からリラックスさせる副交感神経に変えるためだと言われています。
リズムを刻むことで心拍数を安定させ、副交感神経に変えようとするんですね。
イライラという脳内環境に対して、体内環境を一定に保とうとする働きなので、これもホメオスタシスなんです。

コンフィートゾーンから外れると人の精神は不安定化するのですが、ホメオスタシスが働いて、なんとかその状況に慣れようとします
そのため、脳は「この状況こそコンフィートゾーンだ」と情報を書き換え、異常状態を無理やり受け入れてしまうんですね。
これこそ、「あきらめ気味で満足する」ということ。つまり、洗脳されるということです。

作られるコンフィートゾーン

社会には様々な洗脳が仕掛けられています。
なぜなら、社会形成には秩序が必要で、秩序維持のためには洗脳によって人をコントロールするのが手っ取り早いから。
同調圧力なんかはまさに秩序形成に適した洗脳と言えます。
例えば新型コロナウイルスを防ぐためマスクをつけろと言われますが、マスクが嫌いな人にとってマスクをつけることはコンフィートゾーンから外れてしまいます。
しかし、同調圧力に負けてマスクをつけると、ホメオスタシスが働いてそれを心地いい状態だと錯覚してしまいます。
すると、「マスクも意外と息苦しくないんだな」と思ってしまったり「これで感染を抑えられるのなら仕方ない」と意見を変えてしまうんですね。
洗脳と言うのはこうした形で行われます。

似たような心理状態に「認知的不協和」というのがありますね。
これも、本当はやりたくなかったけどやらされるとそれを肯定してしまう心理です。
「やらされた」というのは自分に力がなかった証拠ですが、それを認めたくない場合「しょうがなくやった」とか「はじめは嫌だったけどやってみたらよかった」と、プライドが傷つかないような理由をでっち上げてしまうんですね。

特に仕事となると、嫌なことでもやらないといけなくなるのでこうした洗脳に陥ってしまうことが多々あります。
新人の頃は厳しい上司が嫌だったけど、仕事を強制されると、「厳しい上司に鍛えてもらったことで今の自分がある」と思うようになり、嫌だったはずの上司と同じような人間に染まってしまうのです。
他にも、マナーや常識も洗脳装置になり得ます。
苦しいのにネクタイをキュッと縛るのはコンフィートゾーンから外れることだけど、続けていくうちにネクタイをしていない人に対して嫌悪感を抱くほどネクタイに縛られていく。
「自分が苦しい思いをしてるのに、あいつだけズルい」と思うのならそれは洗脳です。
こうして自分の苦しみを人に強要したくなり、非合理なマナーや堅苦しいルールを定着させてしまうんですね。

マスコミという洗脳装置

テレビなどマスコミもまた洗脳装置です。
マスコミは次々と新しい価値観を放送していきます。
それは必ずしもあなたの価値観に沿ったものではなく、中にはあなたの価値観を古いものだと否定することもあるでしょう。
「すでに社会は新しい価値観を取り入れています。ついていけないと置いてかれますよ」というメッセージをバンバン出すのですが、これはあなたが今いるコンフィートゾーンから外れるように仕向け、ホメオスタシスによって望まないコンフィートゾーンへ誘導する洗脳術
なぜそのような洗脳をするのかと言うと、あなたの持っている古い商品を捨てさせ、新しい商品を浸透させるためですね。
ワイドショーなどで、悪質なあおり運転を特集するのも、ドライブレコーダーや自動運転を普及させるためです。
「粗暴な運転が野放しになっている古い社会より、互いに監視し合って制御された車に乗る未来の方が安全でしょ」ということです。
新しい商品を広めるためならまだかわいいものですが、そこにはイデオロギーを押し付けようとするプロパガンダも含まれています

例えば人種差別報道。
人種差別に反対する報道は一見素晴らしいですが、そこには日本に移民を受け入れさせようという意図があるのではないでしょうか?
移民を受け入れることで安い労働力が手に入り、企業としては人件費削減ができます。
そこで人種差別はいけないことだと言い、どんな国の人でも暖かく受け入れようということで、移民を進めていくんですね。
また移民政策に反対する人を差別主義だと叩けば、受け入れざるを得ない空気が出来上がります。
移民を良く思わない人たちにとって、それはコンフィートゾーンを追い出される形になりますが、やがてホメオスタシスが働き「外国人のおかげで少子化による人手不足をカバーできている」と納得し、受け入れてよかったと思うようになるんですね。

こうしたプロパガンダによって、グローバルやリベラルな考えが浸透していますが、結果的に「儲けるのは投資家たちだけ」という形になるのではないでしょうか?
企業がコストカットで上げた利益は、社員の給料に還元されず、株主への配当へ回されるので。
現に日経新聞の記事によると、上場企業の社員の年収伸び率は年率1%に対して、配当金は年率12%も伸びています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49706030R10C19A9DTD000/


再洗脳

では、洗脳を防ぐにはどうすればいいのでしょう?
それは自分に洗脳をかけるしかありません。
「毒を以て毒を制す」というように、洗脳に対抗するためには洗脳が一番です。
「お前には無理だ」という洗脳から「自分なら出来る」という洗脳に変えることができれば、ネガティブな洗脳を防いだり、そこから抜け出すことができます。

では、どうすればポジティブな洗脳をかけることができるのでしょうか?
答えは、ネガティブな洗脳と同じく、コンフィートゾーンから外れて、ホメオスタシスを働かせることです。

ネガティブな洗脳の場合、他人から無理やりコンフィートゾーンを追い出されてしまいます。
そこを自ら出ていくことでポジティブな洗脳が可能となります。
多くの場合、今いるコンフィートゾーンは誰かから強いられて行き着いたコンフィートゾーンです。
つまり本来はそこが落ち着く場所じゃないんだけど、ホメオスタシスによって「自分にはこの程度がちょうどいいのかもしれない」と錯覚している状態だということ。
ポジティブな洗脳は主体的にそのコンフィートゾーンを捨てて、新たなコンフィートゾーンを作り出そうというものですね。
ただ、ここで注意が必要なのはいきなりコンフィートゾーンから飛び出ないということ。
人は心地の良いコンフィートゾーンはから出ると不安に駆られます。
コンフィートゾーンから外れると過度な緊張によりIQが下がると言われていて、もしそうなったら再びネガティブな洗脳にかかりやすくなってしまいます。
なので、徐々にそこかた抜け出すことが大事です。

どのように今のコンフィートゾーンから抜け出すのかというと、日々の目標を徐々に上げることです。
例えば1日に10分しか本を読まない人なら、30分読むようにする、などですね。
毎日30分読むようにしていけば、最初はめんどくさいかもしれませんが、少しずつ習慣化して、最後にはそれが普通の状態になるでしょう。
まさに、ホメオスタシスですね。

このように少しずつハードルを上げて、それを習慣化していく
それを続けていけば、自らコンフィートゾーンを作り出すことができるでしょう。
気付けば、今では考えられないような生活が普通になってゆくのかもしれませんね。

ネガティブなスパイラルをポジティブなスパイラルに変換させるのは大変かもしれません。
でも、どんな人間にもホメオスタシスは働きます。
慣れるまで続ければ、きっと上昇気流に乗れるはずで

参考
テレビは見てはいけない」(苫米地英人)
日経新聞

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