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ソリューショニズムの危険性

テクノロジーの進化に連れて、テクノロジーへの依存が高まっています。
例えば、コロナウイルス蔓延によってテレワークが持ちだされたり、ウーバーイーツが利用されたりしていますね。
またあおり運転を防止するためにドライブレコーダーが普及したり、自動運転技術への期待が高まっています。
しかし、テクノロジーに頼り過ぎると、テクノロジーによる支配を招いてしまう可能性があります。

今のように、社会問題が起こるたびにテクノロジーに頼ろうという考えを「ソリューショニズム」と呼びます。
ソリューションとは問題解決という意味ですが、ソリューショニズムでは問題を根本的に解決するのではなく、問題をどう切り抜けるかが重視されます。

例えば、コロナウイルスを収束させるためにワクチンが開発されましたが、これもテクノロジーに頼るソリューショニズムと言えます。
しかし、これは根本的な解決にはなりません。
なぜなら、ワクチンを打ったとしても、全ての感染症を予防できるわけではないからです。
もしかすると、何年か後に今の新型コロナウイルスでは対応できない新しいウイルスが蔓延するかもしれません。
そうしたとき、また新しいワクチンを開発しなきゃいけません。
それが収束しても、また新しいウイルスが出るかもしれない。
ワクチンはそのたびに作らなきゃいけないんですね。
このように、ワクチンとは目の前の問題を切り抜けるための手段でしかなく、根本的な解決方法ではありません。

あおり運転や高齢ドライバーの操作ミスに対する解決策も同じです。
こういった事故を防ぐためには、ドライブレコーダーや自動運転が用いられるのですが、それが普及しても安心や安全は脅かされます。
例えば、ドライブレコーダーが普及してきましたが、前方だけを録画するものだと、後方から追突されたときの映像が残らないので不安が残ります。
後ろの映像を録画できるようになったら、今度は横からの映像や車内の映像が残らないと不安になります。
このように、いくら機材をそろえたところで様々な不安が残るので、根本的な解決にはならないんですね。
自動運転が完全に普及して、全方位を捉えるドライブレコーダーが搭載されても100%事故がなくなるわけではないでしょう。
自動車が安全になったとしたら、次は自転車や歩行者の危険が注目されるかもしれません。

テクノロジーを売る方からすれば、問題は宝です。
問題があるからこそ、解決方法という需要が生まれます
もし世界中の問題が解決されてしまえば、需要がなくなるのでこれ以上なにも売れなくなってしまいますね。
それを防ぐためにも、テクノロジーは決して問題の根っこを解決してくれません。
あえて火種を残して、問題を先送りするのです。
最悪の場合、テクノロジーによって問題を起こし、テクノロジーによって解決させるというマッチポンプが行われます
ウイルス対策ソフトを作る側がコンピューターウイルスをばら撒いてるという噂を聞いたことがありますが、そういう噂が出るのはソリューショニズムの構造がマッチポンプを助長させるからですね。

ソリューショニズムの問題は、マッチポンプだけではありません。
本当に問題なのは、テクノロジー供給企業に頼らないと生きて行けなくなることでしょう。
それがマッチポンプだとしても、解決策(テクノロジー)を与えられないと問題が蓄積されて立ち行かなくなってしまう。
だとしたらマッチポンプを黙認するしかありません。
さらに、依存度が深ければ提供者の要求に従うことが当たり前になります
問題解決に個人情報が必要だと言われれば惜しみなく提供する。
それが詐欺に使われようが、撤退されると困るので目をつむることになるでしょう。

また、ソリューショニズは思考停止を招きます。
テクノロジーが何でも解決してくれると、自分達で考える力を失います。
なので、何か問題に直面した際も、自分で解決方法を探そうとするのではなく、「助けてドラえも~ん」ならぬ、「助けてグーグル~」と泣きつくしかないんですね。
テクノロジーによる解決ばかりに頼ると、他の方法よりも新しい技術が開発されるのを待つしかありません
高度なテクノロジー技術は個人では開発できないので。
これはもう、エサを待つ犬と同じですね。

これが巨大テック企業の目論見です。
自分でエサを狩る力を失った者は、与えられるままに支配されていくしかありません

今巨大テック企業と言ったらアメリカのGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾンの総称)ですが、いずれ中国に置き換わるかもしれません。
そうしたとき、僕たちは中国に与えられるまま従うしかなくなってしまうんですね。
中国企業が提供するサービスを受ける代わりに、個人情報を与え中国の監視下に置かれてしまう。
これがソリューショニズの危険性です。

参考
室伏謙一『霞が関リークス』公式チャンネル
COURRiR

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