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世論調査 正しいのか?

新聞やTVなどでは、よく世論調査の結果を公表しています。
内閣の支持率だとか政策に賛成か反対か。
でもその調査内容をよく見ると、たった2000人くらいしかアンケートをとってないんですよね。
少ないときには1000人くらい。

日本人の人口は1億を超えています。
「たった2000人の調査で全体の意見が反映されるわけない!」
そう思う方も多いと思いますが、
実は計算上ではたった2000人でも信用度が高いデータを抽出できるんです。

標本調査

世論調査のように大規模な意見やデータを知りたいときに、
全ての人にアンケートを取るのは難しいです。
そこで一定の人数をランダムに選び出して意見を聞くのを、
「標本調査」
と呼びます。
ただここで問題になるのが、何人の人に聞けばより正確なデータが得られるのか?
なんですよね。

サンプル数の計算

人数(サンプル数)が少ないと、片寄った意見に傾く確率が増えます。
逆にサンプル数が多いと、正確な結果は出ますが調査に時間と費用がかかります。
ちょうどいい人数。
それを割り出す計算式があるんですよ。

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N=母集団の数
E=許容できる誤差の範囲
P=想定する調査結果=50%
(50%のとき最大のサンプル数となるため)
K=信頼度係数=1.96
(通常、信頼度95%を基準とするため)

これを元に母集団に対するサンプル数を割り出した結果がこちら。

母集団の数100・・・サンプル数94
母集団の数1,000・・・サンプル数606
母集団の数10,000・・・サンプル数1,332
母集団の数100,000・・・サンプル数1,513
母集団の数1,000,000・・・サンプル数1,534
母集団の数10,000,000・・・サンプル数1,536
母集団の数100,000,000・・・サンプル数1,537

つまり1億人の意見を聞きたければ、
サンプル数は1537人がちょうどいい人数ということですね。
だから世論調査の2000人というのは妥当な人数だということです。
(ちなみにこの計算は「K(信頼度数)=95%、E(標本誤差)=2.5%」になるように設定した計算結果です)

調査機関によって違う結果になるのはなぜか?

よく新聞の世論調査を比べると、社によって調査結果が違うことがあります。
なぜそんなことが起こるのか?

新聞の世論調査にはだいたい聞き取り調査を行った人数が発表されていて、
それはだいたい1500~2000人の場合が多いです。
なので各社サンプル数には問題ありません。

では何が結果を変えているのか?
①質問方法
「今の政権に賛成か、反対か」という質問をする場合でも、
「今の政権には様々な問題を抱えていますが、あなたは現政権に賛成ですか?」
と聞かれたら思わず「反対かな」と答えてしまいますよね。
でも、
「今の政権は様々な課題が課せられていますが、あなたは今の政権に賛成ですか?」
と聞かれたらまた印象がかわりますよね。
こう聞かれると課題に取り組む姿を想像してしまうので「賛成」が多くなります。
質問の方法が各社で違うので、世論調査での結果が各社違ってしまうのです。

②社名を名乗ることでバイアスがかかる。
新聞社はそれぞれ方針や購読者層が違います。
なので、「○○新聞の調査です」と名乗った瞬間に、
回答者はその新聞社の方針をイメージして、つい相手が求める答えを探ろうとしてしまいます。

もし、その新聞社の方針に反対でも、面と向かって「反対だ」というのは言いにくいですよね。
なので「どちらでもない」があると、反対なのについ「どちらでもない」を選んでしまいます。
こういったバイアスが世論調査の結果を歪ませてしまうのです。


③RDS法という調査方法
RDS法=Random Digit Sampling
これはコンピュータが無作為に固定電話を選んでくれるというサンプリング方法です。
しかし携帯電話ではなく固定電話のため、固定電話を持っていない人の意見は反映されません。
また平日の昼間に調査が行われることが多く、平日出勤の方は除外されてしまいます。
こういった調査方法が正しくない結果を導いてしまうのかもしれませんね。

ただ質問の仕方も、どう質問したら「正しい結果が出るのか」という答えが見つかっていません。
そもそも「正しい結果を出す質問」を考えてる時点で、結果ありきの質問になってしまいますよね。
また新聞社の名前を出すことでバイアスになると言いましたが、
名前を公表しなければ不信に思い電話を切ってしまうでしょう。
RDS法も調査利便を考えて行った方法なので仕方ない部分があります。
固定電話が問題なら携帯にもかけるべきと考えますが、
携帯電話番号で調査すると、人が多い都会に調査が集中するでしょう。
固定電話なのは、市外局番を頼りに地域に偏りを出さないためだと言われています。

調査側にはそれぞれ思惑があり、調査結果を陰謀だと決めつける人がたまにいますが、思惑がないとしても正しい調査というのは難しいものがあるんですね。


参考
菊川怜の数学生活のススメ
世論調査におけるサンプリング数の決定
部屋とバナナと私

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