直感は鍛えられる
ネコの後ろにキュウリを置くと面白いことが起きます。
キュウリに気づいたネコは、恐らくビックリしてまるでマンガのように跳び上がるでしょう。(※ストレスになるので実際にやらない方がいいですが)
なぜネコがキュウリにビックリするかといえば、キュウリをヘビだと錯覚してしまうからですね。
ネコは本能的にヘビの危険性を知っていて、「ヘビっぽい」と認識されると、それがキュウリだとしても体が勝手に反応して、ジャンプしてしまいます。
もし、これが本当にヘビかどうかを確かめていたら、ヘビに噛まれてしまうので、認識する前に体が反応するようにできているんですね。
これは人間も同じで、危険そうなものが目の前に現れたとき、それが何なのか分析する前に体が反応してしまいます。
こういった行動は無意識で行われるため、恐怖を感じてその場を離れたとしても、なぜそんなことをしたのか「言葉」で説明できません。
脳の危機管理
通常、脳内では何かを認識するためには、「目(①)」から入った情報は、情報を大雑把に処理する「視床視覚野(②)」に送られ、そこから情報を分析する「大脳皮質視覚野(③)」送られます。
そして、大脳皮質視覚野でその情報が分析された情報は、「偏桃体(④)」へ送られ、そこで体を動かすよう命令が下る。
しかし、ヘビのように危なそうなものを見た場合は、「目(①)」から「視床視覚野(②)」に送られるのですが、その情報は③を飛ばして「偏桃体(④)」へ送られ、あいまいな情報のまま体へ命令が下されてしまいます。
よって、わけも分からずとっさに体が動いてしまうんですね。
もし③で分析していたら、その間に危険に遭う可能性があるので、②で「危ないかも」と認識されたら③を飛ばすようにプログラミングされてるんですね。
こうした危機回避システムのようなものを「本能」や「直感」と言うのですが、この「本能的な直感」は経験や知識を積み重ねることで鍛えることができます。
つまり、経験や知識を積むことで、視覚や聴覚など五感で感じ取ったものに対する認識能力が格段と上がるわけです。
僕たちの社会は自然界よりも複雑で、それが危険なのか良いことなのか、瞬時で判断するのは難しい。
でも、直感を鍛えれば、そうした判断がすぐにできるようになるんですね!
直感進化論
では、なぜ経験や知識の積み重ねで直感が鍛えられるのでしょうか?
そもそも、本能や直感というものは経験から進化してきたものです。
キュウリに驚くネコだって、進化の過程でヘビの危険性を学んだからこそ、ヘビっぽいものに反応するようになったわけですし。
先祖が身を持って体験した経験や知識が遺伝子に組み込まれたおかげで、ヘビを見たことのない子ネコでさえキュウリに驚いてしまうんですね。
つまり、僕たちに備わっている本能や直感というものは、先祖の学習の証というわけです。
知識や経験によって得た直感が遺伝していくとなれば、当然自分にも影響することになります。
よって、経験や知識の積み重ねは、直感に影響するのだと言えるんですね。
コツを掴め
僕は最近、人の似顔絵を練習するようになったのですが、最初は全然似ていませんでした。
しかし、練習を重ねるにつれて、だんだんその人の特徴が把握できるようになった気がします。
その人の目の形や、鼻の形など、初めて描く人の人物でも捉えることができるのは、経験を重ねることで直感が鍛えられたからだと思います。
最初は目と目の間隔もよく分からず描き直すことも多かったけど、今では直感で「だいたいこの辺だな」と分かるようになってきました。
これは自転車に乗ることにも似ていますね。
自転車に乗れない子供は、最初は全くうまくいかず、転びながら何度も何度も練習を重ねます。
しかし、乗れるようになったら、もう何も考えずに乗れてしまいます。
まるで生まれながら自転車に乗る才能があったんじゃないかと思ってしまうほど、本能的に乗れてしまうんですね。
「直感を鍛える」というのは、このようなものだと思っています。
新しいことにチャレンジしたとき、恐らく脳内では、五感から入った情報を、様々な角度から分析し、解決策を見出して、体をどう動かせばいいのかが検討されます。
でも、それに慣れてくると、分析がや解決策を探すといったことが省略されて、反射的に体が動かせるようになる。
こういうことを「コツをつかむ」と言いますが、「コツ」というのは「直感的な判断ができるようになる」ということなんでしょうね。
直感を鍛えるには、様々なことに挑戦し「コツ」を掴む必要があります。
コミュニケーションも積み重ねていけば、「なんとなく」相手のパターンなどが読めてきて、会話の「コツ」が掴めてきます。
何事も「コツを掴むこと」を意識すれば、直感が鍛えられていくでしょう!
参考
「脳は直感している」(佐々木正悟)22-29頁
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