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#8「全員を救える人なんて居ないから、企画を分ける」週刊連載「メタバースとコミュニティ」

週刊連載「メタバースとコミュニティ」
と題しまして書き進めているシリーズです!
これまでの記事は以下のマガジンから読むことができます。


第三章 コミュニティインフラを整備する

全員を救える人なんて居ないから、企画を分ける

企画分けとは?

私が作っているコミュニティで心がけている文化の一つに同一の名称を使いながら内部で企画をわけるというものがあります。
・イベントのフォーマット転用&改変OK
・コミュニティのディスコードサーバー内に連絡用のチャンネルを作成OK
・出演者やスタッフの募集も同サーバー内で告知OK
こうすることで気軽にイベントを始めることができます。

企画分けの例

由宇霧が仲間と運営しているイベントコミュニティCLUSTARSでは、CLUSTARS学園、歌STARS、笑STARSのようにジャンルごとに企画が別れています。
それぞれ担当者が異なり、イベントの内容はもちろん目的や頻度も様々です。

なかでもわかりやすいのは居酒屋イベントです。
同一の名義、居酒屋ワールドを使用しますが、営業形態はさまざま。
それぞれにオリジナルの店名をつけて運営しています。

企画分けをする理由

①みんなで同じ名前を使うことで「CLUSTARS」を聞いたことあるものにする

何かステージに出てみたいとき、スタッフに挑戦したいとき、イベントを企画してみたいとき「CLUSTARSっていうイベントコミュニティがあるよ」とだけ言われてもなかなか飛び込みづらいものです。
でも、過去に居酒屋CLUSTARSに遊びにきたり、CLUSTARS学園、歌STARS、笑STARSなどのイベントに参加したことがありCLUSTARSという言葉に聞き馴染みがあれば参加ハードルはぐっと下がります。
これはグループ内のどの企画にも️相互に効果が期待できます。
このような状況にするには数多くイベント運営をしなくてはいけません。
それを1人でやるのは大変なので、みんなでCLUSTARSという看板を共有してイベントを開催し認知を増やしています。
実際CLUSTARSは発足から半年で100回以上イベントを運営することができました。
また、無料の娯楽が増えた現代では1人のインフルエンサーが大きい声で発信するよりも、小規模で身近な人が発信している情報の方が温度も高く着実に魅力を伝えることができますし、炎上などのリスクも軽減できます。
だから1つのイベントにパワーを集中させるのではなく企画分けという形でなるべく権限を分けてのびのびと主催できる在り方を目指しました。 

② 良い場所は人によって違うので1企画だけで居場所を作ろうとしても無理

再び居酒屋を例にして解説します。
「良い居酒屋」と聞いて、あなたがイメージするのはどんなお店ですか?
沢山話しかけてくれるお店が好きな人もいれば、とくに話しかけずそっとしておいてくれるお店が好きな人もいます。
ゲームをして盛り上がっているところを眺めながら飲むのが好きな人もいれば、アバターの話で盛り上がりたい人もいます。
これらのバラバラな好みを全て一つの店舗で叶えることはできません。
そして、これは接客スタイルだけじゃなくて人間もそうです。
全員に好かれることは不可能ですし、同じように全員を好きになる事も不可能です。
対価が発生しているお仕事であれば多少の不快とも向き合うことが求められますが、現状メタバースはみんなの「やりたい!やって楽しかった!」という気持ちを満たすことが報酬です。
苦手な人と無理して向き合う必要はありません。
だから企画分けをしてジャンルや接客スタイル、キャストも様々なバリエーションが選べる状況を作っています。

③不快もある方が実は豊か

居酒屋CLUSTARS という看板の後に「したため」「まにまに」「まひる」のようにオリジナルネームを付けてもらっているのにも理由があります。
まず、全て同じ名前だと内容が店舗によって異なる場合に混乱するのがひとつ。
もうひとつは、自分の好みと異なる他者が加入した場合に正義の押し付け合いが発生しないようにするためです。
Aさんが店長やスタッフとして積極的に運営に関わっていくと店舗が自分ごと、自分のものになります。
それはとても良いことなのですが、そこに自分と異なる好みを持った他者、Bさんが現れ意見されたりアイデアが持ち込まれた時、不快になったり怒りを覚えてしまうことがあります。
Aさんにとっては、あまり話しかけない接客スタイルが「居心地のいいもの」であり、それを信じて続けてきてお客さんにもたのしんでもらってるのに後からやってきたBさんに「この店はちゃんと接客をしていない、これではお客さんが楽しめない。もっと話しかけるべきだ」なんて言われたら悲しいですよね。
この意見どちらも間違ってないんです。
なぜならば、人の好みは様々だから。
一店舗にパワーを集めたい場合はこのような衝突を繰り返しながらブラッシュアップして「多くの人にとってなるべく不快ではないもの」を作る流れになっていきます。
どんどん角がとれていくんですね。
こうなると、あたりさわりのない内容になり確かに広く受け入れられやすくはなるのですが、それは受け入れやすいだけであって「好き」という感情が生まれるほどの火力が湧きづらくなります。
誰かの好きは、誰かの嫌いなのです。
だから、看板は共有しつつもオリジナルネームをそれぞれ持つことで「あの店とこの店は違う」と線を引く必要があります。

このように、自分の好みと異なる他者を無理矢理受け入れるのではなく上手く距離を取り線を引きながらも同じ名前を共有することで、普段の自分の人間関係だけでは届かないところにいる人達にも「姉妹店の店長、スタッフ」として自分を知ってもらうことができます。
それをきっかけに新しい仲間に出会えることもあるかもしれません。
そして好みが合わない人とも隣人として共に過ごし、困った時や利害が一致した時は助け合うことができます。

苦手な人、意見が合わない人は居て当たり前なのでこうやってキチンと線を引くことで平和に協力し合える可能性があるのです。

④一人勝ちしても意味がない

これまでの数十年間は一箇所にチカラを集めて数字を増やし影響力を高める時代でした。
「社会」という仮想の概念が提唱する「一般的な幸せ」という仮想の指標を共通認識にしてみんなで一枚岩になり巨大な富みと影響力をもち世界に飛び出そうと叫けばれてきました。
ですがこれからはメタバースを活用して時間や住んでいる所の制約も乗り越えチカラを分散して小さな輪を沢山作り、その輪の中でそれぞれが実現可能な自分自身にとっての幸せを見つけて生きていく時代が来ます。
こちらの方がよっぽど現実的だとさえ思えます。
だから、これからの時代は一人勝ちしても意味がないのです。
一般的な勝利、一般的な幸せとされてきた数字や権力の価値がガラガラと崩れます。
そんなとき支えてくれるのは「仲間」です。
仲間はお互いを潰し合う関係では生まれません。
生きる目的や好みが違っても、上手く距離をとりながら同じ看板を活用していくことでいつの間にか仲間になることがあります。

こうして、コミュニティに必要なインフラとして「認知とロール」それを得るための「企画分け」というシステムが整備され、200人以上が参加する居場所ができました。
私が今までやってきた事をなるべく誰でもどこでも再現できるようにと書き進めている本連載なのですがやはりこの旗振り役は誰にでもできることではないなと痛感する日々です。
自分で言うのは大変恐縮なのですが、やはり強めのカリスマ性をもった人が道を切りひらいて、周りを盛り上げたり励まさないといけません。
ですが、カリスマが1人だけいてもコミュニティは維持できません。
共に道を切り拓き続けてくれるパートナーも同時に必要です。
さらにこのカリスマにも様々なタイプがおり、それと同様に必要なパートナーのタイプも異なることがわかってきたので次週はコミュニティ誕生に必要なカリスマとパートナーについてご紹介いたします!

筆者 由宇霧(ゆうぎり)プロフィール

世界で初めて性教育の本を出版した特化型VTuber♨️
メタバースで居場所作りの探求中。
雑誌連載中「出張版 #特化Vの会 」(VTuberスタイル)
メタバースイベントコミュニティ CLUSTARS運営
Virtual ASOVIVA TV -ビバテレ-プロデューサー
取材や講演会のご依頼は yugiri.staff@gmail.comまでご連絡ください。

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