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おっさんの茶室探訪―マンダリンオリエンタルバンコクのアフタヌーンティー

バンコクで茶室探訪と言ったら、行かなければいけないのはマンダリンオリエンタルのアフタヌーンティーだろうと思っていた。


滞在先はプロンポン。マンダリンオリエンタルがあるサパーンタクシンまではBTSを乗り継いで50分くらいだとGoogle Mapsが教えてくれた。


ちょっと面倒くさい。


でも、おっさんにとって茶室の探訪はやめるわけにはいかないことだ。


行ってみた。


デコラティブな白いティールームである。天井は空の色が分かる半透明なドームである。白い階段の踊り場にギタリストがいて、スタンダードナンバーをクラシックギターのアレンジで弾いている。


素晴らしい。素晴らしい空間のはずなのに、なぜか癒やされるという感じがない。


残念ながら、そこは私にとっては茶室にならないものだった。サービスは丁寧で快適なのになぜだろう。なぜか茶室感がないのである。


正面中央にはなぜかTWGが堆くディスプレイされている。なぜ、TWGなのだろうか。


タイ風のアフタヌーンティーを頼んだ。これはなかなかよかった。


しかし。。。これは食べたことのある何か。。。そう、これは、點心だ。香港の點心なのである。


そんなことを言ったらタイの人に怒られそうだ。無知は罪だ。自分がどんな罪を犯しているともしらず。


それはさておき。


そう思うと、何か全体的に香港風味な気がしてきたのである。適度にカジュアルで適度に商業主義的なのである。完全な言いがかりでしかないけれど。


なんというか世間から隔絶されている、という感じがしないのである。


そういえば香港のペニンシュラホテルのアフタヌーンティーも世間との隔絶というより、世間そのものというべき空間だった。それはむしろ、活気というべきものだ。そういうもてなしもある、ということだ。


しかし、現実に塗れたおっさんにとっては世間からの隔絶が欲しいのである。現実から逃避したいのである。


バンコクのアフタヌーンティーで、世間からの隔絶感が欲しければ断然スコータイホテルがおすすめだ。ケンピンスキーホテルもなかなかだが、隔絶感でいえばスコータイホテルだ。ラーマ4世通りという立地も一役買っていると言えるだろう。


マンダリンオリエンタルのおかげで欲しかったものが分かった。隔絶感だ。空間による現実逃避だ。


生演奏のある場所に来ると音楽の効用ということをいつも考えてしまう。こういう現実逃避の空間では音楽はドンと強く来て欲しい。


ピアノとギターでは出せる音量がまるで違う。空間を整えるということは、空間を支配するということだ。音楽は強い音で空間を支配して欲しいのである。ピアノが人気の楽器になった理由がわかった気がした。


ところで、エンポウムの中にあるマンダリンオリエンタルのお菓子屋さんのマカロンは最高だ。マカロンが分厚いってこんなに幸せなものかと思う。

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