2023年6月の記事一覧
見える少女の相談【後編】
コトン。
薄い朱色の陶器を置き、風に飛ばされないように気をつけながら、髪の毛を入れる。
「ここの守りと、鑑定はします。後は、頼みますよ?」
「うっす。頑張ります」
新に言われて、満は首から下げていた笛を思い切り吹いた。4本の尻尾が風に揺れる。
「人間を守ることができるやつは集まれー」
ピィー。
笛の音が響き渡ると、ぽつぽつと妖が集まってきた。ひそひそと話し声が聞こえる。
「……
見える少女の相談【前編】
コンコンコン。
満がドアを開けると、高校生くらいの少女が立っていた。
「どうぞ。こちらにお座りください」
手のひらで椅子を示すと、少女は会釈して腰を下ろした。店内をきょろきょろと見回している。
「どのような用件でしょうか?」
満が優しく訊くと、少女は俯きながら小さな声で言った。
「その……私、色々なものが見える体質で……生活にも支障が出始めてしまって、その、どうにかしたくて」
「