離婚考03

結婚観

わたしには、結婚願望がなかった。言ってしまえば、そこからわたしの離婚は運命づけられていたのかもしれない。

母は二度離婚して、三度結婚した。
わたしは母とよく話した。母の離婚も結婚も、納得した上で進んでいった。

母の生きた時代と、わたしの生きる時代は違う。

母にとっては結婚が当たり前で、自分の能力や才能を引き出すよりも、結婚をして安定した暮らしを望んでいた。
すごく女らしい人だと思う。わたしはその割り切り方を羨ましいとも思う。女として生きるやり方を知っている母を素敵だと思っている。

でも、わたしはそうは生きられないと思った。母の二度の離婚を目の当たりにして、わたしは結婚という制度を信用できなかった。

一人で生きて、その上でパートナーを見つけるのはいい。でも、誰かと添い遂げる前提で生きるのは不安だった。結婚は幸せを保証してはくれないし、わたしは貪欲でもっと自分の力を試したかった。

母の二度目の結婚を、中学生だったわたしは反対した。恋人でいればいい、籍を入れる必要はないんじゃないかと、当時の自分なりに考えて伝えた。

その時母から言われた。

「私は母である前に、一人の女だから」

頭を殴られたような衝撃だった。当時のわたしには、母は母だった。でも、母である以前に女だった。そんなシンプルな事実を、言われるまで気づかなかった。
そして、女としての母の決断に、口を出す筋合いはないと思った。

母は結婚を信じていた。わたしは信用できなかった。意地悪な言い方になるけど、案の定母は離婚した。
何のために結婚をするのか?両親の揃った家庭に育った人と比べたら、そこと向き合う機会が多かった。

そうしてわたしの出した結論は、結婚はしないで、自由恋愛でいればいい。一人で生きられるように生きて、一緒にいた方が心地よければパートナーとしていられればいいんじゃないか。という考えだった。

恋人として過ごしていれば、先の約束をしたくなる。甘い時間の中で、結婚したいとか言うこともある。それを言われる度にわたしは、真顔になって結婚をする意味ってある?と返していた。夫に対してもそうだった。だいぶかわいくない。
でも、それくらい結婚への不信感を持っていた。

わたしの結婚観は、そうして形作られていた。

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