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★毎月第1週分は無料!★《9》谷舖雄大メールマガジン【越境入学で賄賂。小中学校システムに限界か!?】

▼第9号
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2024/09/01

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谷舖雄大メールマガジン
Vol.009

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0..今週の一言

 こんにちは!谷舖雄大です!変わらずご購読いただいている皆様、本当にありがとうございます!
 さて、本日から9月ですね。私は、メルマガ創刊から2か月、株式会社NextMessageで勤務するようになってから1か月が経過致しました。
 毎週の執筆に慣れてきた今だからこそ、これまでの皆様の声を振り返り、皆様に求めていただいていることは何なのかを考え、その強みによりコミットした記事にしていきたいなと思いました!
 ということで、今月から本メルマガの構成・コーナーを刷新致します!"一見難しそうな話題を、分かりやすく・面白く伝える"ということにフォーカス。時事をはじめ、歴史・文学・偉人・経済など、好きな教養を好きなだけ学べる構成に致します。
 少しでも皆様のお仕事や勉強、プライベートのお力になれればという気持ちは変わりませんので、今後とも何卒よろしくお願い致します!

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1.1時間目-時事

 このコーナーでは、直近1週間で私がチェックしたニュースの中から、特におもしろいと感じたものを10個取り上げ、ランキング形式で解説しております。
 ※執筆の都合上、8/24(土)〜8/30(金)のニュースからセレクトしております。

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【10】「核汚染水」の呼称今も=中国で広がる風評被害―処理水放出1年(時事通信ニュース)
https://00m.in/WgTGl
<<概要>>
 8/24(土)、中国が原発処理水海洋放出問題を理由に日本産水産物の輸入を禁止してから、ちょうど1年を迎えた。

<<解説・所感>>
 中国国内でも意見が分かれているという。
 政府はいまだに「核汚染水」と言い続けており、国際的な監視制度をつくるべきだと主張している。自国産の海産物については安全性を訴えて続けている現状だ。
 一方、漁師ら国民の中には、「海はつながっている。それなのに日本産は汚染されていて中国産は汚染化されていないというのは無理がある」と主張する人もいる。
 以前、日中の有力者会議について解説した際にも書いたが、この問題には外交的思惑も絡んでいる可能性がある。日本が輸出先の一つとして中国を必要としているのが分かっているがゆえに中国はこの態度を一貫させている。
 代わりに中国が求めるものは、台湾問題へのスタンスの変化だろう。台湾を「一つの中国」として統一・一国二制度化して一帯一路政策に繋げたい中国は、そのスタンスを変えない限り、処理水問題も日本人がビザ無しで渡航できない問題も解決されるのは難しい。
 中国と仕事をする人、出張で行くことがある人も一定数いるだろうが、しばらくは現在の関係性が続くと思っておいた方がよいだろう。

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【9】千代田区立校の越境入学で虚偽申請 元議長あっせん、保護者から金品(朝日新聞デジタル)
https://00m.in/aTFqW
<<概要>>
 千代田区立の公立小中学校への越境入学をめぐり、元区議会議長が、越境入学の基準を満たさないにもかかわらず虚偽の書類などを用いて審査を通過させるよう保護者と区職員に働きかけ、見返りとして保護者から金品を受け取っていたことが分かった。

<<解説・所感>>
 保護者側の越境入学の意図は、"この地域の公立小中学校が進学にも有利なブランド校だから"だ。本来なら引っ越しや、兄弟の在学、保護者の勤務先が学区内であることなど、物理的事情がなければ越境入学はできないルールになっている。
 個が重要視されるようになってきた世の中で公立小中学校という仕組みを維持させることの難しさが露呈した話題だ。この仕組みを維持させる国側の目指すべき姿としては、単純な教育レベルの向上だろう。
 数値化しづらい分野なので難しいが、結果が出ている教員のやり方をとにかくできる範囲で共有・マニュアル化して全教員にインプットさせる。最近、モデルケースとなりうるような人格的にも技術的にも素晴らしい教員の方に出会う機会があったためより一層そう感じた。

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【8】“豆を使わないコーヒー”が日本初上陸 カフェインを緑茶から抽出 アメリカ・シアトルのスタートアップ企業が開発(TBS NEWS DIG)
https://00m.in/vPPKp
<<概要>>
 8/26(月)、日本で「代替コーヒー」の販売が開始された。

<<解説・所感>>
 代替コーヒーとは、コーヒー豆を使わないコーヒーのこと。開発の背景には地球温暖化がある。今のペースで温暖化が進むと、2050年にはコーヒー豆栽培の土地が半減してしまうというデータがあり、コーヒー需要に対応するために代替コーヒーの開発が求められている。
 今回販売が開始されたコーヒーは、農業廃棄物を原料としている。カフェインの香りは緑茶から抽出してつけているとのこと。
 大枠で言えば、大豆ミートなどと同じく人気食品の代替品。こういった製品における味の再現は難しいが、もし仮に高いレベルで再現ができればかなりの市場になるだろう。

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【7】テレグラムCEOを仏当局が逮捕…イーロン・マスクは「言論の自由の侵害だ」と擁護(ビジネスインサイダージャパン)
https://00m.in/SDEpq
<<概要>>
 X社オーナーであるイーロン・マスク氏は、テレグラムCEOのパーヴェル・ドゥーロフ氏がフランスで逮捕されたことをうけて、言論の自由の侵害だと述べた。

<<解説・所感>>
 テレグラムはメッセージアプリの1つであり、他のメッセージアプリに比べてセキュリティー性が極めて高いという特徴を持つ。1対1のやり取りを行うことができ、その内容はテレグラム運営側も含めて誰も見ることができない。そのうえ、一定期間経てばやり取りは削除される。
 こういった特徴から、テロリストや闇バイトの連絡手段に頻繁に用いられてきた。そこを問題視する声も多く、政府や社会から機能の変更を求められてきたが、ドゥーロフ氏は「テロリスト以外の方々のために安全性を高めることはできない」として拒否してきた。
 そんな中、ドゥーロフ氏の逮捕という事件があった。X社と名前を変更して以降、自他共に認める「言論の自由第一主義者」となったマスク氏は大いに反発。
 いわゆる言論の自由vs公共の福祉の問題なのだが、非常に判断が難しいところだ。秘匿性の高い場所での情報伝達ができる点で言論の自由には資するが、想定される言論内容は政治的なものなどとは異なると思われるので保護の重要性は低い。
 このあたりの事情を加味すると、規制はやむを得ないとも思える。とはいえ、マスク氏の主張、見る未来も想像できるため、今後の政府と、マスク氏をはじめとするビッグテック企業トップの争いが見ものだ。

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【6】Threadsが24時間以内に消滅する投稿ツールをテスト中、Instagram「ストーリーズ」のように定着するか?(INTERNET Watch)
https://00m.in/UueJP
<<概要>>
 Meta社が運営する、テキストを中心とするSNS・Threadsは、通常の投稿機能とは別に、24時間で消滅する投稿機能についてテスト中であると明かした。

<<解説・所感>>
 Xにおいても、Twitter時代に同様の機能「Fleets」がリリースされたことがあったが、あまり使われずに廃止された過去がある。
 たしかに、24時間消滅型という点だけに着目すれば、Instagramでいえば、通常投稿に対してのストーリーズの位置付けと同じだと言えるだろう。だが、これは通常投稿よりも圧倒的にストーリーズの方が労力が少なく投稿できるという点が魅力的だ。
 一方、テキストの場合は24時間消滅型であるか否かによって、投稿者の投稿ハードルは変わらない。SNSに投稿しない瞬間の心理は、「面倒」だろう。24時間で消えるからといって心理的ハードルが下がるかといわれれば疑問だ。
 また、通常投稿とストーリーズでは、コメントした人とのその後の関係性がやや異なるという点も盲点かもしれない。通常投稿へのコメントは第三者からも見える位置でのコメントになるが、ストーリーズへのコメントはDMのような形で届く。主にフォロワーに届くものだという理由もあるが。
 現在のInstagramユーザーはそれを無意識に分かったうえで、ストーリーズにコメントし合うというやりとりを行なっているだろう。テキスト中心のため異なる点は多いが、このコメント者との関係性が密・ダイレクトという特徴は、再現性があるかもしれない。
 いずれにせよ、直前の告知投稿などには効果的であることは間違いないため、企業の広報担当者らはチェックしておくとよいだろう。

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【5】<独自>保護司の報酬制導入見送りへ 改革、大幅に後退 29日に最終報告書案提示(産経ニュース)
https://00m.in/WQioj
<<概要>>
 8/26(月)、法務省が主催する保護司に関する有識者検討会が開かれ、保護司の「報酬制」の導入が見送られることとなった。

<<解説・所感>>
 保護司とは、執行猶予中の人や仮釈放中の人と定期的に面会を行ったり、地域での啓発活動を行ったりすることにより更生を後押しする、非常勤の国家公務員である。
 保護司が無報酬であることは以前から問題視されており、無報酬どころか経費計上もされず実費で持ち出すことも少なくなかったという。また、昨年には保護司が保護観察中の者に殺害されるという事件も発生しており、安全面にも不安が露呈していた。
 このような事情がありながら今回報酬制が見送られた理由は、無報酬であることが、「保護司が自発的な善意を持っていることを象徴」しているからとのこと。
 たしかに、どうせお金もらってるんでしょ、となるという主張も分からなくはないが、逆に保護司という公務員だけをそのような扱いにしてしまうと、裁判官・教員・警察官など他の業務に対する、報酬があることによる不信感が募ることになりかねず、全体の利益につながらないのではないか。
 現役の保護司の意見によって法務省の方針が変更となったというのはたいへん残念な話ではある。

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【4】ウーバーに470億円の制裁金 運転手の個人情報移転はGDPR違反(朝日新聞デジタル) https://u.lin.ee/1DumM5Z?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none
<<概要>>
 8/26(月)、オランダデータ保護局は、米国発配車アプリ『ウーバー』の運営会社に対し、GDPR違反に基づいて約470億円の制裁金を科すと発表した。

<<解説・所感>>
 本メルマガでも何度か扱っているが、GDPRとはEUの定めた個人情報保護に関する規則である。EU加盟国の国民に関する個人情報を、EU域外に転送することを原則禁じ、仮に転送する場合にもGDPRのデータ保護基準を満たしたうえで行わなければならない。
 今回、ウーバーはその基準を満たすことなく本社アメリカに、EU域内の運転手の個人情報を転送していたとのこと。その中には犯罪や病歴など、秘匿性の高い情報も含まれていたため問題となっていた。
 歴史的に見ても、ヨーロッパは人権思想が生まれるのが早く、この個人情報保護への想いも、他国から見たら厳しすぎだと思われることもあるだろうが、10年後には世界各国でスタンダードになっている可能性も大いにある。
 現状では、ヨーロッパと取引を行う担当者の方はGDPRの知識は必須であるし、世界的にテクノロジーの進化に伴ってこの個人情報保護の流れは間違いなく加速すると思われる。よって、現在の最先端といえるGDPRを学んでおくとよいだろう。

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【3】中国、フィリピン巡視船を妨害 南シナ海、包囲で補給断念(共同通信)
https://00m.in/QkhEf
<<概要>>
 8/26(月)、フィリピンの巡視船が、中国海警局の船や軍艦計9隻に包囲・接近される妨害を受けた。

<<解説・所感>>
 別の大型巡視船への補給任務を担っていた巡視船であったが、この妨害により任務を断念。中国とフィリピンの間には緊張が走っている。
 そもそも、中国・フィリピンの双方が面する南シナ海では、島々を巡って領土問題に発展している。中国・フィリピン・台湾・ベトナムなど6か国以上がその領有権を主張しており、同海域ではこのような妨害、威嚇が起こることは珍しくない。
 この問題には各国の利権はもちろんのこと、米中対立も大きく関係している。南シナ海で中国に覇権を取られたくないアメリカは、元植民地のフィリピンと友好関係を築いてきた。が、フィリピンのドゥテルテ前大統領政権時は、アメリカではなく中国に近づき経済発展を果たす。
 ベトナムも同様で、中国と歴史的に対立を繰り返してきた国であるが、経済的には依存しているため、米中の間で板挟みに合っている。
 中国は中国で、この南シナ海での覇権を巡り最大の問題となる台湾との関係性を優先するため、ベトナムにはかなり配慮している印象だ。フィリピンの現政権はアメリカとの関係修復に向かったため、中国からの信頼度はやや低め。
 そのような状況下での事件であるため、今後このような中国の圧力を感じる事件を目にした時、台湾にまで頭を巡らせる状況がある。台湾政府の発言や態度が、中国に行動を起こさせている可能性があるということだ。
 もし台湾有事が起こった際には、沖縄付近を中心に自衛隊の動きが活発になるだろう。日本の領土に何か影響が出る確率は低いが、注意は必要だ。

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【2】子どもの「出生届」がオンラインで提出可能に 窓口への提出負担を軽減(TBS NEWS DIG)
https://00m.in/HeuXG
<<概要>>
 8/30(金)、出生届と出生証明書のオンラインでの提出が可能となった。

<<解説・所感>>
 これは非常に良い施作だ。本来これらの書類は、子どもが生まれてから14日以内に自治体の窓口に紙で提出しなければならなかった。
 出生直後という、肉体的にも精神的にも最も労うべき時期に、このような事務的な手続きのために時間と体力を使わせることがテクノロジーによってなくなるというのは喜ばしい話だ。
 夫が育休をとっているのに妻の負担もほとんど減っていないような気がする、なんて話もこういったオンラインでできる事務手続きを1つ1つちゃんとオンライン化していくことによって解決されるだろう。
 なお、2026年にはオンラインでの申請すら不要となり、医療機関から直接自治体に送られるとのことだ。

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【1】敦賀原発2号機 事実上の「再稼働不許可」 「規制基準不適合」の審査書案を了承 正式決定で初の“不許可”に 原子力規制委員会(TBS NEWS DIG)
https://00m.in/IMfgg
<<概要>>
 8/28(水)、原子力規制委員会は、福井県敦賀原発2号機について、事実上再稼働を認めないとの判断を示した。

<<解説・所感>>
 原子力発電の再稼働については国民の中でも意見が分かれるところであるが、ここでは簡単に再稼働のメリット・デメリットを説明しておく。
 まず、原子力発電は火力発電に比べて圧倒的にCO2排出量が少なく、地球温暖化対策に効果的な発電方法だ。また、水力発電や再生可能エネルギーと比べて、一度発電所をつくってしまえば安定的なエネルギー供給が見込める点も魅力的である。
 一方、原子力発電所では放射線が発生するため、東日本大震災時のように事故が起きた場合、大規模な放射能汚染が発生してしまうというリスクがある。
 また、使用済みの核燃料の廃棄方法についても明確な答えは出ておらず、これらも数万年にわたって安全に保管し続けなければならない状況だ。
 これらの情報を鑑みて、一人ひとりが再稼働の是非について意見を持つ必要があるだろう。他人事ではなく自分や家族を含む国民の安全・インフラに関わる事項だからだ。
 ただ危険性があるならやるべきではない!という意見の場合は、電力が逼迫した場合どうするのかと自分に問うてみてほしい。個人的には、車や飛行機に乗る時にもリスクがあるように、発電にもリスクがあるものだと思っている。
 壊れている飛行機には乗りたくないが、安全性が保証されているものには乗りたい。同じように、過度に恐れるのではなく、現在考えうるリスクを加味した上で安全だと判断されたものは再稼働させるべきではないか。

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2.2時間目-世界史

 第一次世界大戦概観。
 産業革命により、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の資本家は、大量生産が可能になった。すると、自国だけでは消費が追いつかず、もっと市場を広げたいというニーズが強くなっていく。
 それにより、英仏らがアジア・南米圏の国々を植民地化していくいわゆる帝国主義の流れは止まらず、やがてその目はアフリカに向いていくのであった。特に積極的にアフリカ進出を行ったのが、イギリスとフランスだ。
 ドイツのビスマルクの提案により、アフリカの植民地化に関する大まかなルールは、"早い者勝ち"と決められていたため、英仏は競うようにアフリカ諸国を我がものとしていった。アフリカを縦断する政策をとったのがイギリス、横断する政策をとったのがフランスだ。
 長年対立を繰り広げていたこの2か国であったが、このアフリカ植民地化に関しては、それぞれが縦と横に進みぶつかった時、フランスがイギリスに譲る形をとって直接の戦争・衝突を免れることになるのだが、その理由はこの後の話にも関係してくるため先にそちらの話をしよう。
 同じ頃、ドイツでは高齢となった宰相ビスマルクがいまだ健在であったが、若き皇帝ヴィルヘルム2世が誕生し、彼はビスマルクを目の上のたんこぶとしてうっとうしく思っていた。そこでビスマルクを宰相の座から外し、自ら積極的に先代とは異なる政策を打ち出す。
 ビスマルクはそれまで小さな派閥で対立していたドイツおよび周辺諸国に対し、フランスという共通の敵を見せることによってドイツ内部を固めるということを最優先した。一方、ヴィルヘルム2世は積極的に外交に打ち出した。これが3B政策だ。
 ベルリン、ビザンティウム、バグダッド。英仏がアフリカ進出している間に、ドイツはこの東西ヨーロッパから中東にまで及ぶ3都市を結ぶ経済圏を作ろうとしたのだ。ここでドイツとぶつかるのが、ロシアである。
 ロシアは不凍港を求めて東側に進出したが日露戦争に敗れた。それにより再び地中海進出を目論んでいたが、ビザンティウムをドイツにおさえられてしまうとその進出ルートが阻まれてしまう。
 そこで、ナポレオン3世がビスマルクによって捕虜にされるなど過去ドイツとの因縁が深かったフランスは、ロシアと手を組み、ヴィルヘルム2世への包囲網を形成する。そのため、イギリスとは一時的に友好関係を結んでおく必要があったため、アフリカをめぐる争いでは手を引いたのだ。
 ドイツはオーストリア・イタリアという、神聖ローマ帝国時代から関係が深かった国々と同盟を結び、三国同盟を結成。イギリス・フランス・ロシアは三国協商と呼ばれ、この3対3の構図で、第一次世界大戦は始まった。
 イタリアが開戦早々に寝返ったこともあり、ドイツは無制限潜水艦作戦を決行。さらにはロシアで革命の流れができていたことより戦況は拮抗していたが、ある事件が起こったことで連合国側の勝利が確定する。
 イギリス周辺にて攻撃を繰り返していたドイツの潜水艦が、イギリス艦隊と誤認して、中立の立場に近かったアメリカの客船を攻撃してしまったのだ。ここでアメリカの連合国側での参戦が決まり、勝敗は決定。ドイツは降伏して第一次世界大戦は終戦を迎えた。
 戦後の体制はヴェルサイユ体制と呼ばれる。ドイツに対しては多額の賠償金が科され、なんと返し終わったのは2010年。これには訳があり、英仏は勝利したものの、戦費をアメリカから借金しており、アメリカへの返済に苦しんでいた。
 そこで、英仏はドイツからの賠償金をアメリカへの返済原資とするべく、多額の賠償金を科したのだ。ドイツの経済立て直しのための費用はアメリカがもっている。
 すなわち、英仏のアメリカへの返済のため、アメリカがドイツに経済立て直しのためのお金を出し、そのお金を使ってドイツは経済復興し、そこで得られたお金を英仏に賠償金として支払い、英仏はそのドイツから受け取ったお金をそのままアメリカへの返済に充てる。
 このように、第一次世界大戦後はアメリカを中心とした世界経済の仕組みができあがった。アメリカは過去のスペイン、オランダ、イギリスのような沈まない繁栄を見せ、ディズニー、コカコーラなど、今もなお続く世界的大企業もこの頃生まれたものである。
 事態が一変したのは1929年。その日も変わらずアメリカ国民は超好景気を楽しんでいたが、ふとニューヨーク・ウォール街の株価を見ると暴落している。見間違いだと思って何も気にせず過ごしていたが、次の日も株価は変わっていない。
 そこからアメリカが完全に不況に陥り、アメリカ経済に依存していた英仏独らヨーロッパ諸国、そして日本もアメリカの流れをうけて不況に陥る。いわゆる世界恐慌だ。この世界恐慌に対応できたか否か、ここが第二次世界大戦の開戦のきっかけ、そして勝負の分かれ目となった。
 ロシアは既に、世界初の社会主義国家、ソ連となっていたため、そもそも資本主義の仕組みになっていなかった。五カ年計画という、政府がすべての経済を管理する計画経済を導入していたため、アメリカの株価暴落による影響をあまり受けず、不況は小さかったという。
 世界恐慌の引き金となったアメリカ自身は、それまで資本家たちに自由に行わせていた経済について、フランクリン・ローズヴェルト大統領は政府が積極的に動かしていくと宣言。このニューディール政策により、徐々に立て直していく。
 イギリス、フランスはブロック経済という仕組みによって世界恐慌に対抗した。どこかの経済に依存することなく自国で安定した発見を遂げるため、英仏自身と、そこに従わざるを得ない植民地のみで経済を立て直す選択を取ったのだ。
 ソ連のように計画経済を行うわけでもなければ、英仏のような大量の植民地も持っていないドイツとイタリア、そして日本では、経済を立て直すためには全体のことを考えた動けるリーダーが必要だ、というファシズムの思想が広まっていく。
 この流れからヒトラー、ムッソリーニといった国のトップが生まれているのだが、その第二次世界大戦に突入するまでの流れについてはまた後日。

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3.編集後記

 今週も最後までお読みいただきありがとうございました!刷新したメルマガ、いかがだったでしょうか?
 私としては、新しい構成にチャレンジしてみて、さらに来週はこういう構成にしようという案が浮かんでいます。これまでは、時事ネタは10個、コーナー別の目次を立てて構成する、などが、"そうしなければならない"という固定観念になっていました。
 が、来週以降、時事も世界史も偉人も全て関係なく、勉強して気付いたことをシェアする場所になれるよう、改めてその願いが叶えられる構成にして参ります。
 少しでも皆様のお役に立てるコラムをたくさん執筆致しますので、今後とも何卒よろしくお願い致します!

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