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falls 1st Album MARTYR 【UnOfficial】Official Review +

fallsのアルバムレコ発(先行発売?)ツアーで配布したZINEの内容に、ちょこっとツアーを終えての追記をしました。8月9日より、アルバムの正式発売スタートですので、是非未聴の方は併せて読んでもらえると嬉しいです!!

fallsはマイペースすぎる


2022年の年末から、2023年の年明けごろのこと。
新型コロナウイルスが世間一般に猛威を振るって早3年近く。
フェードアウト気味に色々な行動規制が緩和され出し、随分ライブハウスにもコロナが蔓延しだしたころよりも、活気が取り戻されてきたころ。
ついにfallsがアルバムのレコーディングを行っていて、2023年中にはリリースするとのことを将さんから聞いた。そのときの率直な思い、
そんなこと言ってても、結局出さない可能性もありそうだし、でたら嬉しいなあ…
ぐらいのめちゃくちゃ失礼な、ファンとしてあるまじき態度で話を聞いておりました。まじですみません、まず謝罪します。
正直もはや何年待たされたのかわからないぐらいの感覚で、待望ではあるのですが、べつにアルバムが出ようが出まいが、fallsのメンバー3人が嫌にならないペースで活動を続けてくれることが、目下の願望となっており、まさかまさか、DIY・アンダーグラウンドパンクのバンドとしては、常軌を逸するぐらいの膨大な時間をかけて丁寧にレコーディングを行い、本当に文字通りバンド活動の集大成となるようなアルバムを作り上げてしまった現在のことが、未だに俄には信じがたい気持ちで、このような文章をしたためております。感慨深いにもほどがあるという。
そういう気持ちをきっとfallsを好きな方はわかってくれると信じているので、なんの足しになるのかはわからないんですが、アルバムの全曲を極々個人的な思い入れや、初めてライブで聴いた時のことなんかを織り交ぜてレビューとして綴ってみようと思い立ったのです。だって、
fallsのフルアルバムが世に放たれてしまったら、EMO・メロディックパンクというジャンルとかシーンなんて超越しちゃうぐらいの圧倒的な金字塔となることが確約されているじゃないですか。
そんな力を十分すぎるぐらい持っている最高のバンドだと信じているわけです。
デジタルリリースや、フィジカル化されていない曲でもライブで演奏するとバチバチに盛り上がるって、そんなバンド現代においてなかなかいないと思うんですよね。
自分はべつに大して音楽にめちゃくちゃ詳しく精通しているわけでも、バンド活動や、音楽業界に関わる仕事すらしてないんですが、2015年に初めてfallsのライブをみて、SoundCloudでDeadとWendnesdayの音源を聴いしまってから、かれこれ8年、自分のライフワークのように活動を注視して、様々な思い出深いライブを体験させてもらったんです。だから、ファーストアルバムとして出すタイミングがいつになろうと、究極にマイペースなfallsが動いてリリースするぐらい渾身で納得いった作品なんだから、聴く側も人生添い遂げるぐらいの気持ちで聴くしかないだろうと勝手に自分の想いを乗せ狂っているわけです。重い愛ですね。ちょっと自分で書いてても気持ち悪くなってきました。とにかく、そんな勝手な思い入れは置いておいても、本当に前述の通りの圧倒的名盤が生まれてしまいました。きっと今までfallsの音楽を聴いてきた人にも、これからはじめて聴く人にも、一瞬で沸点に達するEMO・メロディックの衝動的な演奏のカッコよさと、なにもうまくいかない日に寄り添ってくれるような歌詞やメロディの沁みる優しさも持ち合わせた、僕らの暮らしの様々な季節や情景にフィットする珠玉の12曲がパッケージ化されました。願わくは、ちょっと集中して音楽と贅沢に向き合って聴いたりしてみる際に、このレビューも合わせて読んでみたりして貰えると嬉しい限りです。

1. dawn


fallsの往年のファンにとっては最も音源化が望まれていたといっても過言ではない、オープニング曲として100億点ぐらい叩きだしちゃうハイパーキラーチューンです。
ライブでは、たぶん2017年ぐらいから披露されているかと思います。
Latterman ミーツCastevet的な、まさにメロディックパンクとEMOの美味しい所を凝縮したfallsの良さが最大限に発揮された楽曲だと思います。セットリストのどこに持ってきても、この1曲で激上がり間違いなし。そもそもそんな強い楽曲が、今回のアルバムでは、ゴムさんのギターが新しくG&Lになったことにより、さらに伸びやかで綺麗なハイトーンでギターが重ねられていて、無敵の解放感を放っています。ラストパートのドラムが入る瞬間なんて、超鳥肌で初めて音源を聴いたときは、音のスケールに圧倒されてしまい情緒崩壊状態でしたので、是非ドカンと良いスピーカーで再生して、ライブでどこでステージダイブしてやろうかな等を妄想しながらお聴き下さい。そんなブチ上がり曲なんですが、歌詞はfallsの初期の曲同様のSadで虚無な感じなので、ギャップを楽しむのもアルバムで歌詞カード読みながら聴く醍醐味ですね。後述する最近の曲の歌詞は結構、なんだか朗らかに心境の変化的なものがあるのかなとか(超勝手に)感じられますので、そこも今回のアルバムの要チェックポイントです。


2. Paradise Last


dawnがオープニングチューンでリードシングル的なちょっと特別感があるので、なんとなく「こっからアルバム曲のスタートやで!」というドヤ感があるのは、この曲からな気がします。次の曲と合わせて、鬼キャッチー・J-Popミックス的なfallsのパンクやEMOとは別の文脈のルーツが垣間見える気がするなんともナイスな構成です。fallsの楽曲は展開が多いのに、聴いていて飽きないし耳に残ってフレーズを口ずさんでしまうのは、スピッツやLUNA SEAがメンバーの音楽的ベースにあるからと思ってます。将さんとカラオケに行って歌ってもらうJ-Popは本当に最高です!!それは置いといて、fallsと東南アジアツアーをしたり盟友とも言えるforestsのBass/Vo.ダレルがゲストボーカルでがっつり歌っていて最高。ただ、歌ってる歌詞の文法に難癖付けられて、レコーディングでは結構ゴネられたらしいです笑 そんなエピソード含めて、アルバム製作の現場もこれまでのfallsの軌跡を辿っている感じがして、微笑ましくなります。


3. Earth Bit


前の曲からの繋がりがとってもお気に入りで、The Get Up KidsのセカンドアルバムのHoliday~Action&Actionみたいな、序盤でガッチリ掴んで最後までアルバムとして聴けるなという安心感をもたらしてくれる展開です。アルバムを作るって意識して追加されていった曲(だと思います)で、なぜか仮タイトル段階で「スラムダンク」と呼ばれていました。たしかに、なんだかサビはこれまでの曲にない異常な爽やかさを放っている気がします。個人的にはCメロ(Flower blooming ~)部分の歌いまわしが、本当に将さんの歌心をビシバシ感じて、何回聞いても琴線に触れてきてドキドキしてしまいます。アウトロもシンプルに潔くビシッと締まっていてカッコイイです。

4. Consume


コロナ禍になって、配信のライブなんかを結構やっていた時期にお披露目された楽曲です。将さんと前さんの掛け合いのツインボーカルがグイグイ引っ張っていく展開からのズドンとハードコア的なフレーズがぶち込まれるジェットコースター的な楽しさがあります。演奏しているときの楽しさがフロア側にも伝わってくる感じもfallsの魅力なので、楽曲は良いけどライブは迫力がないとか、ライブは良いのに音源が大人しいとか、残念な感情が一切湧いてこないところも、このアルバムにきっちり魂が落とし込まれて熱量が入っている感じがして、アガりますよね。

5. Geek and Mafia


Imagination Ghostや、Wednesdayといった初期の珠玉メロディ曲に匹敵するグッドメロディです。昨年ぐらいからライブでは結構頻繁に披露されています。こういうミドルテンポの曲でも眠たくならずに曲に起伏があって、フックが効きまくっているところ、もはや職人感を感じてしまいます。音源ならではの左右に振り分けられたゴムさんのギターが本当に美しい響きをしています。間奏部分のベース/ドラムとの絡みは超聴き所で胸が熱くなって最高。歌詞になんと初の日本語が登場しており、前さんの歌声ともあいまって、90年代後半のJ-Rockみを感じざるを得ません。哀愁。

6. blunt


前半の締め、レコードだったらこの曲でA面が終わりって意識されている感じがします。それにふさわしくというか、この曲はMVも制作されている通り、アルバムの中でもかなり異才を放っている質感の超名曲です。The Promise Ringの4枚目 WOOD/WATERのような、完全に「経た」バンドが作っちゃう系のやつです。アルバムを作ろうとなって、この曲の存在がかなり大きかったらしいです。これまでのfallsには無い感触だけど、たしかにfallsだとも思う不思議な感覚になります。少し寂しくて、なんだか足りなくて物悲しい雰囲気は歌詞にあるんですが、その1つ上のステージというか、そういうことわかってて引きずりながら暮らしていくんだという将さんのメッセージが感じられて、何年もfallsみてる人間からすると、もう沁みすぎて、ひとしおに感慨が押し寄せてしまいます。letniy のGt/Vo.鈴子ちゃんのコーラスはそんな湿った感情を少しクールに冷まして正してくれるような刺さり方で、これまた超良い塩梅でたまらないです。一緒に演奏してくれる機会はあるんでしょうか。楽しみです。

7. Arowana


B面スタート的な、Snuffy Smile直系な響きをバチバチ感じるサマーメロディックチューンです。2017年の来日ツアーで共演したSportの雰囲気なんかも感じたりして、彼らからのインスパイアもあったのかななんて、この曲もコロナ以前2019年ぐらいにはガンガンにライブでやっていた記憶ありなので、まあ音源化を待ちましたという笑 ただ早いだけとかではない、フレーズへのこだわりが随所にみられて、ライブだとブチ上がってて気付きづらい部分もしっかり聴こえるところもアルバムの素敵なところですし、UKメロディックをちゃんと昇華している点もfallsを聴く上で外せないポイントですね。

8. Racoon


アルバム曲の中ではかなり最新の曲。THEローファイインディーといった曲で、将さん自身Weezerみたいな曲やりますと言ってライブしてるヤツですが、歌われている内容は、一番重め暗めというなんともパンチある楽曲。やっぱりハッピー全開、みんなで楽しく生きていこうみたいな歌ってエンターテイメントとしては優秀かもだけど、僕らの暮らしは全然救ってくれないよなあとこういう曲を聴くと襟を正されるわけで、まさに初期のWeezerの楽曲のように自分のような屈折した人間に寄り添いを与えてくれる最高の希望の歌だなあと思います。これからツアーで色んな場所で、同様の人間に刺さっていってほしいと願ってやまないわけです。

9. Gas


もう歌い出しで完全勝利感がありますね。完全にfallsの十八番的要素が詰まり狂っていて、「これ待っていました!!!!」というシングル感がある曲です。ツインクルに輝くギターフレーズ、歌メロ、リズム、コーラスどれをとっても、fallsの3人が生み出すすべての音が、本当に頭からアウトロの最後鳴り止むところまで1秒も飽きない、3分ちょっとを喪失する魔法みたいな曲です。また、この曲をこの位置に配置できるのも、本当にすごいなあという思いにも浸れて、やっぱり冷静に考えて、12曲も新録でfallsの曲が聴けるなんて、ここまでの全ての活動に感謝せざるを得ない、ある種のモニュメント的な名曲です。

10. odd ones


インスト曲は初の試み。アルバムの中では異質だから仲間外れ、浮いた存在みたいな曲名の意味なのかなと。ここから最後の2曲へのブリッジ的な感じで、ミッドウェストエモの雰囲気をぷんぷん放つアルペジオと、浮遊感のある鉄琴やアコースティックの音色、エフェクトかかったドラムが終盤の雰囲気を醸し出しています。
こういう曲を挟み込むセンスってやりすぎるとダサいし、絶妙なところでまとめてくるのはさすがの懐の深さだなあと聴き入ってしまいます。ただ、たぶんライブではSEみたいに流したりもしないし、演奏もやんないなと勝手に予想しています(失礼)。

11. Lazy


本編終盤にひかえる超重要曲。この曲も2019年ぐらいにはやっていて、初めて聴いた時はちょっと馴染みがなかったというか、かなりオルタナティブな方向に振り切った印象を受けました。全体を通して印象的なアルペジオのリフと、語りかけるようなAメロはPinegroveのインフルエンスを感じます。音源化もされないので、ひたすらライブで何年も聴いていると、すごくフィットしてきて、bluntなんかが生み出された背景・文脈には、やっぱりこの曲の存在ってめちゃくちゃ大きかったのではないかなと思います。一緒に歌わずには居られなくなるような、思わず共鳴しちゃう、ずっと自分の人生のそばにいてほしい友達のような、僕にとってそんな曲になってしまいました。

12. Useless day


1曲目のdawnがオープニングチューンとして、特別感があるのとセットで最後にこの曲の再録をもってくるのも、完全にファン泣かせですし、再録はしないんじゃないかとも思っていたので、fallsなりのこだわりというか、このアルバムを永遠に残すものという気概で腹をくくって録ったんじゃないかなと、噛み締めるような気持ちになりました。今回のアルバムの中では、最も初期から演奏していて、活動開始を共にしたSUMMERMANとのスプリットソノシートに収録されている、名曲中の名曲です。何気ない1日と愛が綴られている歌詞も胸を打ちますが、やっぱり、SUMMERMANとのエピソードや、共演のアレコレを思い出さずに聴く方が無理という個人の感情ダダ洩れ状態で、もはやレビューとして機能しなくなってしまう迷文状態に陥りそうなので、このあたりでやめておきます。fallsのセットリストでUseless dayが入るときは、なにかしらの想いが乗っていることが多いので、名演になる確率が高いです。いつも聴きたいけど、こいつはとっておきだからこそ、出会えたときに確実にずっしり心に響くそんなナンバーであり続けるだろうなと思っております。
リリースツアーでもきっと、ここぞという場面で演奏されるんじゃないでしょうか。

~Post script~


本当にこんなわけのわからない、ごく個人的で勝手な文章をここまで、たとえ一部分でも、お手に取って読んでくださり、誠にありがとうございます。僕は、本当にただのfallsのファンでして、まあ難しいことは考えずにライブでワーキャーするのが好きなだけの人間です。ただ、自慢では無いですが、このアルバムに収録されている全ての楽曲がライブハウスで鳴らされてきた軌跡とか、練り上げられてきた行程をリアルタイムでみて、感じてきたことを記せたことは本当に誇りに思っています。バンドだけではない場面にしても楽しいだけではなく苦悩や悩みもあったと思うので、そんな中でアルバムとして形にしてくれたことがなによりも嬉しいですし、fallsのお三方には、心の底から「逆にThank you!」の気持ちで一杯です。
そんな方がいらっしゃるのか不明ですが、少しでも近しい感情でこの作品を聴いたりした上で、これからのfallsの活動や作品にも興味を持っていただけるきっかけになったりしたなら、本望です。
一緒にツアーで最高の景色がみられることを祈っております!!!!
2023.06.11

~ After tour ~

無事にツアーも全箇所成功に終わり、8月9日の正式リリースに至って改めておめでとうございますという気持ちです。僕は、小岩・愛媛・岡山・吉祥寺(WARP/DAY DREAM)を会場でみることができて、ほんとに各会場最高の求めていた光景で感動しまくったんですが、その上で、今この文章を読み返すと、かなーーーり勢いで書いてて超恥ずかしい気持ちでいっぱいになっております。でも、実際に刷って紙面を持っていったものを、手に取ってすぐその場で読み込んでもらえて、共感したよと伝えてもらえたり、ツアー先で、僕が一緒に行けなかった場所でも手に取ってもらえて、ご好評をいただけたりしたようで、そんな風に暖かく受け取ってくれるfallsを愛する方々を含めて、やっぱり最高だなと再認識した次第です。ツアーファイナルのDAY DREAMにて、将さんがMCで言ってた、お客さんや共演したバンドもみんな変だけどカッコイイし、この先もずっと最高ですって、そんな言葉通りの熱量を行く先々でビシビシ感じた上で、In The Way Back~Useless dayを360度みんなで囲んで歌えた瞬間は、もう涙で前見えない状態で、一生の思い出です。
9月には、Nothings Feels Real招聘 の The Hotelier/Oso Oso/Prince Daddy&The Hyena/Origami Angelのツアーでの共演もありますから、もっと幅広く、世界中でこのアルバムが聴かれることを願っております。
いつかアメリカでfallsライブやってほしいな(連れてって)という勝手な願望で締めます。これからも何卒よろしくお願いしますー!!
2023.08.08   

2023.7.22  Tour Final  Kichijoji DAY DREAM 


Nothings Feels Real渾身のブッキングです 各地で共演する日本のアーティストも最高!

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Waterslide Records

Nothings Feels Real
The Hotelier / Oso Oso / Prince Daddy & The Hyena / Origami Angel Japan Tour 2023 (nothingfeelsreal.com)

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