日本ではなぜ日本式縦社会が維持されているか・・・「縦社会敬語起因説」

本記事では、なぜ日本で縦社会が発展し、維持されてきたか、その理由をずばり説明します。というか、答えは書いてありますね。それは敬語の存在です。でも、皆さん、信じられますか?本当にそうだと思いますか?それを、この記事では解き明かしていきたいと思います。

第1章 日本式縦社会が維持されている理由は何か・・・それは敬語の存在だ

日本はよく縦社会と言われている。
社会の中に、確固たる上下関係が存在している。
このことを、初めて世に広く問うた文献は、おそらく、中根千枝著の
「タテ社会の人間関係」 (講談社現代新書)だろう。
自分も、若かりし頃の相当昔に、この本を読んだことがある。
内容については、おぼろげな記憶しかないけれど、日本特有の縦社会がどういうものであるか、鋭く分析していた。
中根氏自体は、その著書の中では、縦社会について、ちょっと皮肉的な目で見ていたように思う。
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ところで、その著作には、日本の縦社会がどんなものであって、他国とどう違うかについては、詳しく解説があったが、
「なぜ日本の縦社会が出来上がったのか」もしくは「なぜそれが維持されているのか」
については、詳しい解説はなかったように思う。
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※あくまで大昔に読んだだけの自分の記憶の範囲なので、間違っているかもしれない。近々読み直してみようと思う。
※ちなみに、この本の出版は1967年だそうだ。自分が読んだのは1980年代だから、そのときすでに、出版されて約20年たっていた。
※現在、出版されて50年以上だが、いまだに増刷されているという。超ロングセラーだ。
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もちろん、この著作は、偉い学者さんが一般向けに書かれた解説なので、難しい学術的なことは省かれていたのかもしれない。
当然、学会論文などでは、縦社会出来上がった理由や維持されるメカニズムについても、議論され公表されているのかもしれないが、
少なくとも、自分がネットで検索した限りにおいては、
「なぜ日本では縦社会が形成され、維持されているか」についての記載は見つからなかった。
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自分には、なぜ日本で縦社会が維持されているか、その理由がはっきりわかる。
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ずばりそれは、「敬語が存在するから」だ。
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敬語が存在するから縦社会なのか、縦社会だから敬語が維持されているのか。
そんな「鶏が先か卵が先か」の議論は、もはや意味がない。
敬語が出来上がった当初は、先に縦社会(身分制度)があったから敬語が発展したのかもしれない。
だが、少なくとも、身分制度は幾多の時代を経て様々に変わってきたにも関わらず、敬語は、脈々と受け継がれてきた。
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表現自体は多少の変化はあったものの、尊敬語謙譲語丁寧語の枠組みに関しては、時代とともに大きな変化があったとは言えない。
なので、今現在を言うなら、「敬語が存在するから、縦社会が維持されている」と明確に言える。
少なくとも「縦社会があるから敬語が維持されている」ではない。
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ただ、どちらが原因でどちらが結果なのかはさほど重要ではない。
今現在となっては、持ちつ持たれつだろう。
重要なのは、持ちつ持たれつの関係であるにせよ、敬語の存在があるから縦社会が厳然と維持されているという点だ。
身分制度社会制度は時代とともに様変わりしたものの、敬語はしぶとく生き残り、
時代を超えて、「はっきりとした上下関係」「日本式縦社会」を維持することに大きく関与し続けているのだ。
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以降、自分の説を、恰好つけて「縦社会敬語起因説」と呼ぶことにする。
ひとことで言えば、「日本式の縦社会を維持している最大の要因が敬語の存在である」という説だ。
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