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焼肉ライクはいいぞ!

焼き肉ライクは良いぞ。
特に秋葉原電気街店が良い。

これまで焼き肉店というのは体育会系の人間が行く場所だった。部活動の集団、大学のサークル、営業系のサラリーマンが後輩を連れてやってくる…などなど、基本は集団で来る場所。

つまり焼き肉は陽キャしか食べれない食べ物だった。

しかし焼き肉ライクはそれを変えてくれた。

そう。焼き肉ライクは1人で焼き肉を食べれるという革命的な店なのだ!

一蘭の味集中カウンターばりに狭い空間に座らされ、黙々と肉を焼く。

陰キャボッチの私にとってこれほど落ち着く店はない。

店の構造から値段、コンセプトまで、何から何まで感動的なのだが、今日はそれを3つのポイントに分けて語りたい。語らせてくれ。

①忍者屋敷みたいなカラクリ座席

焼き肉ライクの一番の特徴はギミックが込んだ座席だろう。

狭い空間で焼き肉を食べるのだから、設備もコンパクトにしなければならない。

1人分の座席にそれぞれ用意された排気ダクトはライン工みたいなディストピア感があるし、テーブルに埋め込まれたちっちゃなグリルも愛らしい。

1人で肉を焼くならこれぐらいで丁度良い。

脇には水が出てくる給水器がある。

小さな空間で出てくる水と食事。
まるでゲージに飼われるハムスターになった気分だ。

テーブルには引き出しがあり、これを引っ張ると割り箸やお手拭きが出てくる。

アメイジング!

まるで忍者のカラクリ屋敷じゃないか!
こうした空間の節約に焼き肉ライクの努力が垣間見られる。

テーブルには謎の溝が掘られている。
ここが肉を置くスペースになるのだ。

食事はトレーで運ばれてくる。そのトレーと溝の形がピッタリハマるので、食事中手をぶつけてトレーを落としてしまう…なんて事もない。

全てが計算された空間。ゾクゾクしちゃうね。

そして驚くことに、2人席の場合はこの小さなグリルを2人で共有して使わなければならない。

嘘だろ!?

と思うが、これはこれで秘密基地感があって良い。
押し入れで焼き肉してるみたいだ。

狭い空間で密着しながら飯を食うので、心なしか2人の距離も縮まる気がする。

②脂身だらけの肉

SNSで検索すると、焼き肉ライクの肉がいかに薄くて脂身だらけなのかを呟く投稿が定期的に上がってくる。

『なにこれ、脂身だらけじゃん!』
『肉薄ッッ!』

…と、まぁ、世間的にはあまり良い評価は得られてないようだ。だが、私はこのジャンキーな肉が大好きなのだ。

私はカリカリに焼いたベーコンが大好きなので、肉は脂身が多い方が興奮する。

『よ~し、この肉をカリカリの肉に仕上げてやるぞ!』

と心が燃える。

極限まで焼いたカリカリ肉をご飯と一緒に頬張る時の快感よ…!たまらんね!

余談だが、欧米人からすると日本の焼き肉は邪道な文化らしい。

『こっちは金を払ってるのになんで自分で肉を焼かなきゃいけないんだ!』

と怒るのだとか。

それに加えて欧米人は赤身肉が大好きなので、脂身だらけの肉を出されて『自分で焼け』と言われようもんなら国際裁判に発展しそうだ。

いや、でもこの“自分で最高の肉を作る感じ”が良いんじゃないか。

脂身は可能性の塊なんだよ。

③値段が安い

何と言ってもやっぱりこれがアドバンテージ高いんじゃないか?

一般的に焼き肉に行くとなるとそれなりに値は張るものである。

特に他の焼き肉店だと集団で食べるのがスタンダードなので、単品注文というよりも食べ放題コースがメインになる。そうするとおのずと値段も上がるのだ。

だが焼き肉ライクは1人が満足する分だけの提供なので値段も安上がりだ。

ミックスカルビセットの並なんて580円だぞ!
牛丼屋とそう相場は変わらない。

焼き肉が牛丼屋と同じくサッと食べれるファーストフードの枠に入るとは。焼き肉ライクはそういう意味で大革命な店なのだ。

狭い空間でペラペラの肉を食べるというとなんだか貧相な感じだが、別にリッチな事だけが贅沢ではない。

むしろ広い空間に座らされる方が周りの目が気になって味に集中できない。

昔、社会人になりたての頃1人で焼き肉屋に行ったら、後からやってきたサラリーマン集団に『1人で焼き肉!?』と言われて笑われた事がある。

いいじゃんか!好きに食わせてくれよ!
まぁ、みんなが集団でワイワイしてる所に1人客がいたら向こうも気になるだろうが。

だが焼き肉ライクはそんな周りの目を気にする事なく、自由な気持ちで焼き肉を楽しめる。

それに贅沢なもてなしをされたところで私にとっては不相応。申し訳なさを感じてしまう。

世界の片隅で隠れて肉を食ってる方が私は落ち着くのだ。

ただ1点。焼き肉ライクに心配な面がある。
万が一火事が起きたらどうしようという点だ。

店を構えられてるということは消防法はクリアしてると思うが、こんなに狭い空間でそれぞれが肉を焼くとなると、万が一の事があった時に、あっという間に火が回りそうで心配なのだ。

店内は空調が利いてるがゆえに、おしぼりの袋が風で飛ばされて、それがグリルに落ちそうになるという経験が何度かあった。

小回りの利かない狭い空間なので、何かの拍子でグリルに物を落としてしまったら大事故に発展しそうな気がする。

そうやって火事やら事故やらが起こった矢先、絶対ワイドショーなんかで総批判されるに違いない。

『こんな狭い空間で焼き肉だなんて、危機管理が薄すぎます!事故が起こるのは必然的と言えるでしょう。』

『一体運営会社は何を考えているのでしょうね。』

…それを言われたらぐぅの音も出ない。
雑居ビルの1室で焼き肉だなんてクレイジーですよ。うん。

万が一こんな事になってしまえば、世界の隅で焼き肉を食べれる貴重な空間が無くなってしまう。せっかく見つけた私だけの秘密基地が…!

どうやら調べたらお肉の中でも特にホルモンは油脂が多く含まれるため、火事の原因になりやすいらしい。

だから私は焼き肉ライクに行く時、ホルモンは他の肉と一緒に焼かないとルールを設けて焼いている。