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その方と初めてお会いしたのは、2015年10月のこと。季節は秋に移り変わっていたけれど、暑さの残るよく晴れた日だった。彼はテレビで拝見するよりも小柄で、静かで、しかしその眼光は非常に鋭く、底知れぬ雰囲気を漂わせていた。当時、御年81歳。現役のジャーナリストだ。 彼はゆっくりと椅子に腰掛け、じっと私の方を見た。 「今日は、TPPの話をしようと思う」。 静かに、はっきりとした声で話し始めた。 彼は若い頃から報道のタブーに果敢に挑み、時代の寵児からマフィア、宗教法人、