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芥子の種

久しぶりに、死について考えていることを、ゆるゆると書いていきます。

今日、たまたまInstagramで仏教の漫画を読みました。
それは、「芥子の種」と題されたお話で、仏陀の弟子の女性のお話でした。

内容を簡単に要約してみます。
ある女性が、とても可愛がっていた幼い子供を病気で突然亡くしてしまいました。
悲しみにくれた女性は、子供の死が受け入れられず、狂ったように、その子供の病気を治せる人を探します。
女性に出会う人は、みんな彼女に同情しますが、亡くなってしまった子供を治せる人はおらず、もう子供が亡くなっていることを彼女に伝えても、彼女はそれを信じようとしません。
かわいそうに思ったある人が、あの人ならその子を治せるかもしれないと言って紹介したのが仏陀でした。

漫画はここで終わっていました。
自分の命より大切にしていた子供を亡くした彼女に、仏陀はどんな言葉を掛けたのだろう。
私だったら、彼女の想像しきれない悲しみを前にして、何の言葉も掛けられないかもしれません。
そんな状況で、現代に至るまで、世界に大きな影響を与えてきた仏陀が何と答えたのかが気になり、続きを調べました。

物語はこう続きます。
仏陀は、女性の子供がもう亡くなっていることに気付き、「町から芥子の種をもらってきたら、その子を治す薬を作ろう」と言います。
「ただし、一度も死人を出したことのない家からもらって来なさい」と。
女性は町に行って、あちこちの家を訪ねますが、死人を出したことのない家は一向に見つかりません。
そして、疲れ果てて仏陀の元に戻ったとき、その女性は、人は必ず死ぬこと、自分の子供は既に死んでしまっていることを知ったのです。

全ての人がいつか必ず死んでしまう。
言葉にするのは簡単ですが、それを心の底から実感するのはとても難しいことだと思います。
また、いつか必ず死んでしまうという事実と向き合ったとき、自分はどう生きていきたいか。
その指標を持つのも、とても大変なことだと思います。
だからこそ、自分や周りの人の死と生に向き合うきっかけとして、こうした教えが語り継がれてきたのかもしれません。

この女性は、自分も含め、人は必ず死んでしまうという事実を前にして、出家をし、仏陀の元で修行に励んだと言います。
最近は、死ぬことについて考えない日も増えてきた私ですが、こうしてきっかけを得たのも何かの縁と思って、今一度、必ず迎える死と、これからの生について考えていきたいと思います。


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