部屋に虫が出た。
仕留め損なって、どこかへ行ってしまった。
うわあああ。漫画でみるやつ・・・・・・。
地元は寒すぎて虫が少なかったので、こんなとぼけた感想になる。
思えば、漫画やテレビで見ていた世界で生きているんだな、何年も。
探しまわるついでに、あちこち掃除できたから良かった、と自分に言い聞かせる。
あちこち掃除しても出てこなかったのは忘れることにする。

大学の同級生が、家に出るクモに名前をつけていたっけ。
確か、クモ吉。
響きが可愛らしい。
私も何となくクモは殺さない。
名前はつけないけど。

昔は、あらゆる仕留められるものたちの気持ちを想像して、具合悪くなっていたっけ。
大人になって、深く考えないことを覚えた。
それで良いのかどうかは知らないけど、今でも時々は思い出す。
そういうときは大抵、心の底に別の悩みや不安があって、それが表出するときに、あらゆる仕留められるものたちの気持ちの想像という形をとるに過ぎない。
悩んでいるときっていうのは、ただ悩みたい自分が先にある。
気持ちが先にあって、内容は後から作られる。

虫っていうのは、きっと、人間にとって最も身近な生き物の1種だ。
だって、犬や猫のいない家があっても、虫が全くいない家はない。
植物だって、家の中にまでは生えられないのに、虫とは部屋の中でさえ遭遇するのだ。
こんなに身近にいるのに、どうして一緒に生きていこうという気持ちになりにくいのだろうか。
そんな気持ちがわくのは、それこそクモくらいだ。
あと、好ましくはないが、テントウ虫とかも放置してしまう。
飛び始めたらうるさいので、放っておけないけれど。

本を食べる虫っていうのがいるんだっけ。
まさに本の虫。
まだ見たことはない。
これからも、できれば見たくない。

今日は、なんでこんなに虫の話ばっかりしているんだ。
好きでもないのに。
あ、そういえば、今日は部屋に虫が、いや、そうだ、忘れたんだった。


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